【2026年8月時点】能登地方は令和6年能登半島地震からの復旧途上にあり、施設の営業時間・料金・休業の状況が変わることがあります。とくに沿岸部は最大4メートル程度の隆起(水産庁)により磯場の地形が大きく変わっており、岩のりやテングサなど磯根の海藻の採取・出荷状況は地区によって異なります。お出かけ前に、各施設の公式サイトや電話で最新の状況をご確認ください。
能登半島は日本海に面した長い海岸線を持ち、古くから豊かな海藻文化が根づいてきました。冬の荒波が育む岩のり、夏の内浦で採れるもずく、寒天の原料となるテングサなど、能登の海藻は地域の食文化と暮らしを支える大切な海の恵みです。能登の海女文化とも密接に関わるこの海藻の世界を、能登の郷土料理や漁師町めぐりの視点からご紹介します。
能登の海藻文化と岩のり

能登の海藻文化を語るうえで欠かせないのが岩のりです。冬の日本海の荒波が打ちつける岩場に自生する天然の岩のりは、能登を代表する冬の味覚のひとつ。12月から2月にかけて、地元の人々が寒風の中、手作業で岩のりを摘み取る「のり摘み」の風景は、能登の冬の風物詩として知られています。
能登の岩のりは、磯の香りが濃厚で、養殖のりとは一線を画す力強い風味が特徴です。板状に干した「板のり」のほか、佃煮や吸い物に加工されることも多く、地元の直売所などで購入できます。とくに輪島や珠洲の岩のりは品質が高く、贈答品としても知られてきました。ただし令和6年能登半島地震で外浦の沿岸が大きく隆起し、これまで岩のりが着生していた磯が陸化した場所もあります。地区によって採取の状況が異なるため、購入を目的に訪れる場合は販売店に在庫を確認してから出かけると確実です。
能登のもずくとテングサ
能登では春から夏にかけてもずくが採れます。能登のもずくは太くてしっかりとした食感が特徴で、沖縄のもずくとはまた異なる歯ごたえと風味を持っています。酢の物やみそ汁の具材として親しまれてきました。輪島では海女が素潜りで採る「海女手摘み天然岩もずく」が知られ、石川県漁業協同組合輪島支所の公式サイトでも天然わかめとともに紹介されています(同支所のネット販売は震災の影響で休止中と案内されています)。
テングサ(天草)は寒天やところてんの原料となる海藻です。能登の海女の漁場である舳倉島(へぐらじま)・七ツ島は輪島の沖合48キロにあり、石川県漁業協同組合輪島支所によれば、アワビやサザエと並んで寒天・ところてんの原料になる「エゴ(寒天原藻)」採りもさかんに行われてきました。初夏の舳倉島・七ツ島では、採ったエゴを干す風景が見られます。輪島の海女は約200名、年齢は10代から70代までと幅広く、その素潜り漁技術は2014年(平成26年)に石川県無形民俗文化財に指定されています。ただし地震で潜る漁場そのものが変化しており、漁の状況は震災前と同じではありません。能登で作られるところてんは、原藻の風味が豊かで、ツルリとした喉ごしが魅力です。
能登の浜料理と海藻グルメ

能登の浜料理は、漁師やその家族が日々の暮らしの中で作ってきた素朴な海の幸の料理です。海藻はその中でも重要な食材で、わかめの茎を使った煮物や、ひじきの炊き込みご飯、海藻をたっぷり入れたみそ汁など、日常の食卓に海藻が溶け込んでいます。いしる(魚醤)と海藻を組み合わせた調理法は、能登ならではの味わいを生み出しています。
近年では、能登の海藻を使った創作料理を提供するレストランや食堂も増えています。海藻のパスタ、海藻のサラダ、海藻を練り込んだそばやうどんなど、伝統的な食材を現代風にアレンジしたメニューが登場し、若い世代にも海藻の魅力が広がっています。能登の漁師町を訪れれば、地元の食堂で本場の浜料理を味わえます。
能登の海藻と健康
海藻は低カロリーでありながら、ミネラル・食物繊維・ビタミンが豊富な健康食品です。能登の人々が日常的に海藻を食べてきたことは、地域の健康長寿にも貢献してきたとされています。岩のりにはカルシウムや鉄分が、もずくには「フコイダン」と呼ばれる粘り成分が含まれ、いずれも研究が進められている段階です(特定の疾病への効果を保証するものではありません)。
能登では海藻の健康効果に着目した商品開発も進んでおり、海藻エキスを配合した化粧品や、海藻を使った健康茶なども販売されています。能登の郷土料理に欠かせない海藻は、現代の健康志向とも親和性が高く、能登の新しい特産品としての可能性を秘めています。里海の恵みを日々の食卓に取り入れる能登の知恵は、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。
能登の海藻を買える場所とアクセス
輪島朝市は、令和6年能登半島地震とそれに伴う火災により、河井町の朝市通りでの開催が休止しています。現在は朝市組合員による「出張輪島朝市 in ワイプラザ輪島店」(輪島市宅田町41/9:00〜13:00・水曜休。不定休となる日もあります)で、野菜や魚介、輪島塗などが販売されています。海藻製品の品揃えは日によって変わるため、目当てがある場合は問い合わせてから訪ねてください。七尾市の能登食祭市場(道の駅/9:00〜17:00・火曜休、祝日は営業。元日は休館)でも能登各地の海藻加工品が並びますが、こちらも地震の影響で営業時間の変更が続いています。
各漁港の直売所でも地元産の海藻を入手できることがあります。珠洲市や能登町の道の駅でも海藻商品が扱われていますが、奥能登の道の駅は営業日が縮小しているところがあり、たとえば道の駅「狼煙」は震災と人手不足のため週末のみの営業で、金曜は12:00〜16:00、土・日は10:00〜17:00(12月〜2月末は土・日のみの営業予定)となっています。営業日は変わることがあるので、訪問前に公式SNSなどで確認してください。アクセスは金沢からのと里山海道を利用し、七尾まで約1時間が目安。輪島・珠洲方面は国道249号の沿岸部で本復旧工事による片側交互通行や時間帯規制が続いており、震災前より所要時間がかかります(2026年8月時点。輪島市門前町〜珠洲市の権限代行区間は令和11年(2029年)春までに本復旧完了予定)。当日の道路状況は石川県の「石川みち情報ネット」で確認しましょう。
能登の海藻文化は、里山里海(さとやまさとうみ)という能登の独自の自然観と切り離せません。海藻採りは代々の女性(海女・あまさん)や漁師家族によって受け継がれてきた生業で、岩のりや干しナマコ、テングサなどは能登の台所を支えてきました。こうした能登の海の恵みを生かした「浜料理」は、観光地化されていない素朴な漁師町でこそ味わえる本物の食体験です。
| 主な海藻 | 岩のり(冬)・もずく(春〜夏)・テングサ(夏)・わかめ・ひじき |
|---|---|
| 海女文化 | 輪島市海士町が日本海側有数の海女の里として知られる |
| 浜料理が味わえるエリア | 輪島・珠洲・能登町・志賀町の漁港周辺(営業を再開した店とそうでない店があるため要確認) |
| 特産品 | 能登の塩(揚げ浜式塩田)・いしる(魚醤)・能登産乾物類 |
| 買える場所 | 出張輪島朝市 in ワイプラザ輪島店(9:00〜13:00・水曜休、不定休あり)/道の駅 能登食祭市場(9:00〜17:00・火曜休、祝日は営業。元日休館) |
能登の海藻文化と浜料理のよくある質問
能登の海藻(岩のり・もずく・テングサ)とはどんな食材ですか?
能登の浜料理や海藻料理を楽しめる場所は?
こんか漬けとかぶら寿しとはどんな食べ物ですか?
能登で海藻を買うときの注意点は?
写真クレジット:
能登半島の海岸と岩場 — 雷太(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
能登の漁港風景 — 雷太(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
















