【2026年9月時点】能登地方は令和6年能登半島地震からの復旧途上にあり、施設の営業時間・料金・休業の状況が変わることがあります。お出かけ前に、各施設の公式サイトや電話で最新の状況をご確認ください。
能登半島の蛸島・小木・宇出津は、いずれも漁業で栄えてきた港町です。小木のイカ漁・宇出津のあばれ祭り・地元の食堂で味わう海の幸など、観光地とは違う能登の日常に触れられる土地でした。地震で大きな被害を受けた地域でもあり、町の姿は復旧の途中にあります。
能登半島の東海岸・内浦には、豊かな漁場に支えられた漁師町が点在しています。珠洲市の蛸島(たこじま)、能登町の小木(おぎ)、宇出津(うしつ)は、いずれも古くから漁業で栄えた港町で、独自の食文化や祭り文化が受け継がれてきました。ただし2024年1月の能登半島地震で、この一帯は住宅・漁港ともに大きな被害を受けています。石川県によれば蛸島漁港をはじめとする県内の複数の漁港では2026年時点でも復旧工事が続いており、港や集落の風景は震災前とは変わっている場所があります。訪れる際は、店舗や施設の営業状況を事前に確認したうえで出かけてください。
蛸島の漁師町と能登の最果ての港

蛸島は珠洲市の東端に位置する漁師町で、能登半島の最東端にあたる漁港です。かつてはのと鉄道能登線の終着駅「蛸島駅」があり、能登の最果てのイメージが漂う場所でした。現在は鉄道が廃線となり、静かな漁村の風景が広がっています。蛸島漁港では主にサザエ・アワビ・ワカメなどの磯根資源のほか、定置網漁業が盛んに行われています。蛸島の名前の由来は、かつてこの地でタコが大量に獲れたことに由来するとされ、タコ料理は今も地元の名物です。蛸島の集落は、板張りの民家が密集する港町の景観で知られ、石川県の景観大賞を受けたこともあります。ただし震災による家屋の被害と解体が進んだため、以前と同じ町並みがそのまま残っているわけではありません。珠洲市によると、高倉彦神社の秋祭りである「蛸島キリコ祭り」は毎年9月10日・11日の開催で、漆塗りに彫刻を施した豪華なキリコが町を練り歩きます。11日夜の「早船狂言」は県指定無形民俗文化財です(開催の可否は珠洲市観光交流課へご確認ください)。見附島や禄剛埼灯台からも近く、奥能登観光の拠点としても便利な場所です。蛸島周辺の珠洲焼の窯元を訪ねるのもおすすめです。
小木の船凍イカと漁港グルメ
小木は能登町の南東部に位置する漁港で、日本有数のイカ漁の拠点として知られています。特に「船凍(せんとう)イカ」は、漁獲直後に船上で急速冷凍する技術によって鮮度を保ったスルメイカで、小木港のブランド水産物として全国に出荷されています。能登のイカとふぐは能登を代表する海の幸であり、小木港はその中心地です。2020年に開業した「イカの駅つくモール」は、小木のイカ文化を発信する拠点施設で、巨大なイカのモニュメントが目印です。施設内では船凍イカを使った刺身や塩辛、イカ墨カレーなどのイカグルメを楽しめます。ただし公式サイトによると、同施設は震災後の縮小営業が続いています(2026年9月時点)。海中が見える遊覧船「イカす丸」は10時から15時まで1時間ごとに1日6便運航しており、九十九湾を約40分かけて周遊します(乗船料 一般1,500円・小人800円・幼児400円、税込)。一方、カヤックやSUPなどのマリンレジャーは休止中です。営業時間は9時30分〜17時、定休日は水曜日ですが変更されることがあるため、訪問前に公式サイトで確認してください。小木港の周辺には、九十九湾の美しい入り江が広がります。小木では毎年5月2日・3日に「とも旗祭り」が行われ、高さ約20メートルの大幟と五色の吹き流しを立てた小型漁船が港内を巡ります。石川県指定無形民俗文化財の春祭りです。いしる(魚醤)を使った郷土料理も、小木ならではの味わいです。
宇出津の港町の暮らしとあばれ祭り

宇出津は能登町の中心部に位置する港町で、能登半島内浦の交通・経済の要衝として栄えてきました。宇出津港は天然の良港として古くから漁業が盛んで、定置網漁を中心にブリ・アジ・サバ・イカなどの水揚げがあります。宇出津を代表する文化が、毎年7月第1金曜・土曜に行われる「あばれ祭」です。石川県指定無形民俗文化財のこの祭りは、能登のキリコ祭りの先陣を切る祭りとして知られ、約40本のキリコが大松明の火の粉のなかを練る初日と、神輿を海・川・火のなかに投げ込む「あばれ神輿」の2日目で構成されます。2026年は7月3日(金)・4日(土)に開催されました。観覧者向けの臨時駐車場は宇出津新港(約700台)に設けられますが、会場までのシャトルバスはなく、徒歩20〜30分かかります。港の周辺には鮮魚店や寿司店があり、能登丼を提供する店もありますが、飲食店の営業状況は震災前と同じではありません。食事を目当てに行く場合は事前に営業を確かめておくと確実です。なお、仲代達矢が主宰した無名塾ゆかりの能登演劇堂は宇出津ではなく七尾市中島町にあり、宇出津からは車でおよそ1時間かかります(仲代氏は2025年11月に死去。無名塾の公演は現在も同劇場で続いています)。
能登の漁師町の漁港グルメと食文化
能登の漁師町を巡る最大の楽しみは、漁港直送の新鮮な海産物を使ったグルメです。蛸島のタコ料理、小木の船凍イカ、宇出津のブリやアジなど、それぞれの港ごとに特色ある海の幸が楽しめます。能登の漁師町では、いしる(魚醤)を使った鍋料理「いしる鍋」が冬の定番です。いしるはイカやイワシの内臓を塩漬けにして発酵させた調味料で、能登の食文化を象徴する発酵食品です。能登かきは七尾湾で養殖される大粒の牡蠣で、冬場のかき小屋では炭火焼きを堪能できます。能登牛は漁師町の料理店でもステーキや丼で提供されており、海の幸との食べ比べも魅力です。能登ワインは地元の食材との相性が抜群で、漁港グルメとのマリアージュを楽しめます。揚げ浜式製塩で作られる天然塩は、刺身やてんぷらに添えると素材の味を引き立てます。能登の漁師町の食文化は、能登の里山里海が育んだ豊かな恵みの結晶です。
能登の漁師町周辺の見どころ
能登の漁師町めぐりと合わせて訪れたいスポットが周辺に数多くあります。小木港から車で約10分の九十九湾は、日本百景に選ばれた美しい入り江です。遊覧船やシーカヤックなどの体験は事業者ごとに運航状況が異なり、休止しているものもあります。能登町ふるさと振興課(0768-62-8526)で最新の状況を確認してから訪ねてください。真脇遺跡では4,000年続いた縄文集落の歴史に触れることができ、ウッドサークルの復元も見どころです。恋路海岸は悲恋伝説が残る美しいビーチで、縁結びスポットとしても人気です。珠洲方面では見附島や禄剛埼灯台、曽々木海岸の窓岩など、奥能登の景勝地が続きます。これらは震災で地形や施設が変化した場所を含み、立ち入りが制限されている区域もあります。訪問前に各市町の観光担当窓口で状況を確認してください。輪島キリコ会館は実物のキリコを通年で展示している施設ですが、令和6年能登半島地震の影響で当面の間、臨時休館が続いています(2026年9月時点)。再開の予定は施設の公式サイト(wajima-kiriko.com)または電話0768-22-7100でご確認ください。和倉温泉は漁師町めぐりの帰りに立ち寄れる名湯で、七尾湾を眺めながら旅の疲れを癒せます。能登食祭市場では、能登各地の海産物を一堂に味わうことも可能です。
能登の漁師町へのアクセスと駐車場情報
アクセス
| 車(金沢から) | 金沢から車で約2時間30分から3時間 |
| 車(穴水ICから宇出津) | のと里山海道・穴水ICから一般道を利用して約30分 |
| 車(穴水ICから小木) | のと里山海道・穴水ICから一般道を利用して約50分 |
| 車(穴水ICから蛸島) | のと里山海道・穴水ICから一般道を利用して約1時間20分 |
| 電車・バス | のと鉄道穴水駅から北鉄奥能登バスの穴水宇出津線 |
駐車場
| 場所 | 収容台数 | 備考 |
|---|---|---|
| 小木/イカの駅つくモール | 普通車65台・大型車2台・バリアフリー3台 | 施設利用者用。営業時間9:30〜17:00、水曜定休 |
| 宇出津/宇出津港いやさか広場(みなとオアシス宇出津) | 普通車27台 | 隣接するうみとさかなの科学館は2026年9月時点で臨時休館中 |
| 宇出津/あばれ祭の臨時駐車場 | 宇出津新港に約700台 | 祭り開催時のみ。シャトルバスはなく会場まで徒歩20〜30分 |
| 蛸島/蛸島漁港ほか | 約300台(無料) | 蛸島キリコ祭り(9月10日・11日)開催時の案内 |
蛸島には、祭り以外の平常時に観光客が使える公設駐車場の公表情報が見当たりません。漁港の岸壁は漁業関係者が使う区域で、復旧工事の車両も出入りします。集落の町並みを歩くために車を停める場所は、事前に珠洲市観光交流課(0768-82-7776)に確認してください。小木・宇出津も、祭りや工事の日程によって駐車できる場所が変わります。
のと里山海道は通行できますが、復旧工事にともなう夜間通行止めや車線規制が随時行われています。出発前に石川県の「石川みち情報ネット」で規制情報を確認しておくと安心です。バスは震災後にダイヤ改正が重ねられているため、便数・所要時間は北陸鉄道の公式サイトで最新の時刻表を確認してください。宿泊は宇出津や小木に民宿や旅館がありますが、震災の影響で休業中の宿もあります。予約時に営業を確かめてください。能登の漁師町めぐりは1泊2日が組みやすく、初日に蛸島・珠洲方面、2日目に小木・宇出津というルートが回りやすい順路です。
写真クレジット:
小木のイカの駅つくモールと能登の漁港グルメ — Asturio Cantabrio(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
九十九湾の穏やかな入り江と能登の漁師町の風景 — Panoramio upload bot(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)









