能登半島の夏を彩る祭りの中でも、とりわけ勇壮で幻想的なのが「宝立七夕キリコまつり」です。珠洲市宝立町で毎年8月7日に開催されるこの祭りは、高さ約15メートルもの巨大キリコ(奉灯)が夜の街を練り歩き、クライマックスには松明の火の中を海に突入する「海中乱舞」が行われます。能登のキリコ祭りの中でも最もダイナミックな祭りのひとつで、輪島キリコ会館でその歴史を学ぶこともできます。奥能登の珠洲を代表する夏の風物詩をご紹介します。

宝立七夕キリコまつりの歴史と由来

能登のキリコ祭りで夜空を照らす巨大キリコ
夜空を照らすキリコの灯り(Photo: Daniel Ramirez / CC BY 2.0)

宝立七夕キリコまつりの起源は、江戸時代にまで遡ると伝えられています。七夕の夜に行われるこの祭りは、もともと地域の豊漁と五穀豊穣を祈願する神事として始まりました。「キリコ」とは切子灯籠の略で、能登地方独特の巨大な奉灯のことを指します。宝立のキリコは能登半島の中でも特に大きく、その壮大さは一見の価値があります。

祭りは地域の各町内が競い合うように豪華なキリコを製作し、担ぎ手たちが力を合わせて練り歩くことで、地域の絆を深める役割も果たしてきました。能登半島地震からの復興の象徴としても、この祭りは地域の人々にとって特別な意味を持っています。能登の祭り文化全体の中でも、宝立七夕キリコまつりは最も迫力があると評される祭りです。

宝立七夕キリコまつりの見どころ

宝立七夕キリコまつりの見どころは、何といっても巨大キリコの勇壮な巡行です。高さ約14〜15メートルにも達するキリコは、数十人の担ぎ手によって町中を練り歩きます。キリコの前面には武者絵や花鳥画が描かれた大きな絵柄が飾られ、背面には町名や家紋が記されています。夜になると内部の灯りが点され、巨大な行灯のように幻想的に輝きます。

夕暮れとともに始まる巡行では、笛や太鼓の囃子に合わせて「サカサイ、サカサイ」の掛け声が響き渡ります。担ぎ手たちの威勢の良い声と、キリコが揺れるたびに鳴るきしみ音が独特の雰囲気を醸し出します。沿道には露店が並び、地元の人々や観光客で賑わいます。キリコの灯りに照らされた夜の珠洲の街は、日常とは異なる祭りの熱気に包まれます。

宝立七夕キリコまつりのクライマックス・海中乱舞

宝立七夕キリコまつりの最大のクライマックスは、深夜に行われる「海中乱舞」です。鬼ヶ城の海岸に集まったキリコが、浜辺に焚かれた巨大な松明の炎の中を駆け抜け、そのまま海に突入するという、能登の祭りの中でも最もダイナミックな場面です。火の粉が舞い散る中、波打ち際でキリコが暴れるように揺さぶられる光景は、まさに圧巻の一言です。

海中乱舞は深夜0時頃から始まり、松明の炎、キリコの灯り、海面に映る光が一体となって、幻想的かつ勇壮な光景を生み出します。担ぎ手たちは腰まで海に浸かりながらキリコを操り、波と格闘する姿は見る者を圧倒します。この海中乱舞は、海の神様への感謝と豊漁祈願の意味が込められており、能登の海とともに生きてきた人々の信仰の深さを感じることができます。

宝立七夕キリコまつりの日程と観覧ポイント

宝立七夕キリコまつりは毎年8月7日に開催されます(旧暦の七夕に合わせた日程)。祭りのスケジュールは、夕方からキリコの巡行が始まり、夜にかけて町内を練り歩きます。海中乱舞のクライマックスは深夜0時頃からで、鬼ヶ城海岸が会場となります。

観覧のベストポジションは、海中乱舞を間近で見られる鬼ヶ城海岸の浜辺です。ただし、良い場所は早い時間から確保する必要があるため、夕方までには到着しておくことをおすすめします。深夜まで続くため、防寒対策と懐中電灯の持参が便利です。輪島キリコ会館で事前にキリコ祭りの予備知識を得ておくと、祭りの鑑賞がより深く楽しめます。写真撮影は三脚があると便利ですが、担ぎ手の邪魔にならないよう配慮が必要です。

宝立七夕キリコまつりへのアクセスと周辺観光

宝立七夕キリコまつりの会場である珠洲市宝立町へは、金沢からのと里山海道を利用して車で約2時間半〜3時間です。祭り当日は臨時駐車場が設けられますが、混雑が予想されるため早めの到着がおすすめです。公共交通機関の場合は、北陸鉄道の特急バスを利用するか、七尾駅からレンタカーを利用する方法があります。

祭り前後には、周辺の観光スポットもぜひ訪れてみてください。見附島(軍艦島)は珠洲市を代表する景勝地で、宝立町からも近い位置にあります。禄剛埼灯台は能登半島の最先端に立つ灯台で、日本海の絶景を堪能できます。また、石崎奉燈祭など、能登の夏には各地でキリコ祭りが行われていますので、日程を合わせて複数の祭りを楽しむのもおすすめです。奥能登の珠洲には他にも見どころが多く、1泊2日以上の滞在がおすすめです。


写真クレジット:
能登のキリコ祭り — Daniel Ramirez(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)

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よくある質問

宝立七夕キリコまつりとはどんな祭りですか?
宝立七夕キリコまつりは石川県珠洲市宝立町で毎年8月6〜7日頃に開催される能登キリコ祭りのひとつです。高さ10m前後の巨大なキリコ(奉燈)が夜の海岸で神輿を先導し、海に向かって運ぶクライマックスでは担ぎ手たちがキリコごと海に入る「海中御渡」が最大の見どころです。キリコが海に入る夏祭りとして能登の中でも特に迫力があると評判で、夜の海に揺れるキリコの灯りが幻想的な光景を作り出します。ユネスコ無形文化遺産「能登のキリコ祭り」のひとつです。
宝立七夕キリコまつりへのアクセスと観覧のポイントは?
宝立七夕キリコまつり(珠洲市宝立町)へのアクセスは①車:金沢から能登有料道路・のと里山海道経由で約2時間30分②臨時バス:祭り期間中は金沢方面からの直行臨時バスが運行される場合があります。観覧のポイントは①早めに宝立海岸近くの観覧スポットを確保(海中御渡の場面は混雑)②夕方の宮出しから夜の海中御渡まで3〜4時間かけて進行③熱中症・虫対策が必要④駐車場は宝立町の公共スペースを利用(臨時駐車場あり)。2024年の地震の影響で一時中断しましたが祭りの復活・継続に向けた取組が進んでいます。
能登キリコまつりの中で「海中御渡」が見られる祭りは宝立七夕まつりだけですか?
海に入るキリコ祭りは能登でも数が限られています。宝立七夕キリコまつり(珠洲市・8月)は担ぎ手がキリコごと海中に入ることで有名ですが、他にも①あばれ祭り(能登町宇出津・7月・キリコが川に入る)②九十九湾のキリコ(能登町)③石崎奉燈祭(七尾市・8月・高さ15mの巨大キリコ)などでも海・川に近いダイナミックな場面が見られます。能登のキリコ祭りは地区ごとにキリコの形・大きさ・演出が異なり、7月〜10月に能登各地で順次開催されます。
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