能登半島の夏を彩る祭りの中でも、とりわけ勇壮で幻想的なのが「宝立七夕キリコまつり」です。珠洲市宝立町で2019年以降は8月第1土曜日に開催されるこの祭りは、高さ約14メートルもの巨大キリコ(奉灯)が夜の街を練り歩き、クライマックスには松明の火の中を海に突入する「海中乱舞」が行われます。能登のキリコ祭りの中でも最もダイナミックな祭りのひとつで、輪島キリコ会館でその歴史を学べますが、同館は令和6年能登半島地震の影響で当面の間、臨時休館しています(2026年9月時点。再開時期は公表されていません)。奥能登の珠洲を代表する夏の風物詩をご紹介します。

宝立七夕キリコまつりの歴史と由来

能登のキリコ祭りで夜空を照らす巨大キリコ
夜空を照らすキリコの灯り(Photo: Daniel Ramirez / CC BY 2.0)

宝立七夕キリコまつりの起源は、江戸時代にまで遡ると伝えられています。七夕の夜に行われるこの祭りは、もともと地域の豊漁と五穀豊穣を祈願する神事として始まりました。「キリコ」とは切子灯籠の略で、能登地方独特の巨大な奉灯のことを指します。宝立のキリコは能登半島の中でも特に大きく、その壮大さは一見の価値があります。

祭りは地域の各町内が競い合うように豪華なキリコを製作し、担ぎ手たちが力を合わせて練り歩くことで、地域の絆を深める役割も果たしてきました。能登半島地震からの復興の象徴としても、この祭りは地域の人々にとって特別な意味を持っています。能登の祭り文化全体の中でも、宝立七夕キリコまつりは最も迫力があると評される祭りです。

宝立七夕キリコまつりの見どころ

宝立七夕キリコまつりの見どころは、何といっても巨大キリコの勇壮な巡行です。高さ約14メートルのキリコは、数十人の担ぎ手によって町中を練り歩きます。キリコの前面には武者絵や花鳥画が描かれた大きな絵柄が飾られ、背面には町名や家紋が記されています。夜になると内部の灯りが点され、巨大な行灯のように幻想的に輝きます。

夕暮れとともに始まる巡行では、笛や太鼓の囃子に合わせて「サカサイ、サカサイ」の掛け声が響き渡ります。担ぎ手たちの威勢の良い声と、キリコが揺れるたびに鳴るきしみ音が独特の雰囲気を醸し出します。沿道には露店が並び、地元の人々や観光客で賑わいます。キリコの灯りに照らされた夜の珠洲の街は、日常とは異なる祭りの熱気に包まれます。

宝立七夕キリコまつりのクライマックス・海中乱舞

宝立七夕キリコまつりの最大のクライマックスは、深夜に行われる「海中乱舞」です。鬼ヶ城の海岸に集まったキリコが、浜辺に焚かれた巨大な松明の炎の中を駆け抜け、そのまま海に突入するという、能登の祭りの中でも最もダイナミックな場面です。火の粉が舞い散る中、波打ち際でキリコが暴れるように揺さぶられる光景は、まさに圧巻の一言です。

海中乱舞は深夜0時頃から始まり、松明の炎、キリコの灯り、海面に映る光が一体となって、幻想的かつ勇壮な光景を生み出します。担ぎ手たちは腰まで海に浸かりながらキリコを操り、波と格闘する姿は見る者を圧倒します。この海中乱舞は、海の神様への感謝と豊漁祈願の意味が込められており、能登の海とともに生きてきた人々の信仰の深さを感じることができます。

宝立七夕キリコまつりの日程と観覧ポイント

宝立七夕キリコまつりは2019年以降、8月第1土曜日に開催されます(2026年は8月1日に復興プレイベントとして開催済み)。地震前は夕方から巡行し、深夜0時頃に鬼ヶ城海岸で海中乱舞がクライマックスでした。震災後は会場・時刻・規模が年により異なるため、その年の主催発表で確認してください。

観覧のベストポジションは、海中乱舞を間近で見られる鬼ヶ城海岸の浜辺です。ただし、良い場所は早い時間から確保する必要があるため、夕方までには到着しておくことをおすすめします。深夜まで続くため、防寒対策と懐中電灯の持参が便利です。輪島キリコ会館は令和6年能登半島地震の影響で当面の間、臨時休館しています(2026年9月時点。再開時期は公表されていません)ため、事前の予備知識は珠洲市観光交流課や能登の各観光協会の案内で補うとよいでしょう。写真撮影は三脚があると便利ですが、担ぎ手の邪魔にならないよう配慮が必要です。

宝立七夕キリコまつりへのアクセスと周辺観光

アクセス・駐車場

会場珠洲市宝立町
車金沢からのと里山海道を利用して約2時間半〜3時間
駐車場祭り当日は臨時駐車場が設けられますが、混雑が予想されるため早めの到着がおすすめ
公共交通北陸鉄道の特急バスを利用するか、七尾駅からレンタカーを利用する方法があります

祭り前後には、周辺の観光スポットもぜひ訪れてみてください。見附島(軍艦島)は珠洲市を代表する景勝地で、宝立町からも近い位置にあります。禄剛埼灯台は能登半島の最先端に立つ灯台で、日本海の絶景を堪能できます。また、石崎奉燈祭など、能登の夏には各地でキリコ祭りが行われていますので、日程を合わせて複数の祭りを楽しむのもおすすめです。奥能登の珠洲には他にも見どころが多く、1泊2日以上の滞在がおすすめです。


宝立七夕キリコまつりのよくある質問

宝立七夕キリコまつりとはどんな祭りですか?
石川県珠洲市宝立町鵜飼地区で行われる能登のキリコ祭りです。高さ約14m・重さ約2tの大キリコを約100人で担ぎ、沖合の松明を目指して海に入る「海中乱舞」が本来のクライマックスです。2015年度に日本遺産「灯り舞う半島 能登~熱狂のキリコ祭り~」の構成文化財に認定されています。令和6年能登半島地震でキリコが津波により流失し、震災後は規模を縮小した復興プレイベントとして開催されています。
2026年は開催されましたか?いつ・どこで見られますか?
2026年は8月1日(土)に復興プレイベントとして開催されました(終了済み)。会場は見附公園駐車場で、17時30分に大キリコ運行開始、20時に北國花火珠洲宝立大会でした。例年の日程は2019年以降、8月第1土曜日です。地震前は大キリコ6基と子どもキリコ1基が海中乱舞していましたが、震災後は残ったキリコを中心に規模を縮小して運行されています。次回以降の会場・演目・新造キリコの披露時期は、主催の宝立七夕キリコまつり復興プロジェクトや珠洲市観光交流課で確認してください。
開催日は毎年8月7日ですか?
いいえ。2019年(令和元年)から8月第1土曜日に変更されています。2026年は8月1日でした。珠洲市の案内では従来18時頃から23時過ぎまでとされていますが、震災後のプレイベントでは開始・終了時刻が異なります。桟敷席の販売はありません。
宝立七夕キリコまつりへのアクセスは?
車の場合、金沢から、のと里山海道と珠洲道路経由で珠洲市内まで約2時間30分です。祭り当日の駐車場として、珠洲市立宝立小中学校や見付公園駐車場が案内されています。公共交通は北鉄バスの能登方面特急があり、金沢から珠洲方面はのと里山空港での乗り換えが必要になる場合があります。最新の時刻・運賃は北陸鉄道と珠洲市の案内で確認してください。
海中乱舞が見られるのは宝立七夕キリコまつりだけですか?
キリコごと海に入る祭りは能登でも限られます。宝立七夕キリコまつり(珠洲市)の海中乱舞が代表例で、穴水町の沖波大漁祭りでもキリコを海中に担ぎ込んで禊を行います。一方、能登町宇出津のあばれ祭で海や川に入るのは神輿であり、キリコではありません。七尾市の石崎奉燈祭は高さ約13m級の巨大キリコで知られますが、海中への突入は行いません。能登のキリコ祭りは地区ごとに形・演出が異なり、7月頃から秋にかけて各地で順次開催されます。

写真クレジット:
能登のキリコ祭り — Daniel Ramirez(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)

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わっか北陸編集部
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