【2026年8月時点】能登地方は令和6年能登半島地震からの復旧途上にあり、施設の営業時間・料金・休業の状況が変わることがあります。お出かけ前に、各施設の公式サイトや電話で最新の状況をご確認ください。
石川県珠洲市は能登半島最先端の市。見附島(軍艦島)・禄剛埼灯台・珠洲焼の工房・揚げ浜塩田など凝縮された見どころと、奥能登国際芸術祭(通称・奥能登芸術祭)の常設作品が点在する、能登観光の最終到達点です。
石川県珠洲市は能登半島の最先端に位置し、三方を海に囲まれた奥能登の秘境です。軍艦のような姿で知られた見附島(地震で南東側が崩落し姿が変わりました)、能登半島最先端の禄剛埼灯台、中世から続く珠洲焼の伝統、日本で唯一残る揚げ浜式製塩など、自然と文化が凝縮された珠洲市の見どころを総まとめでご紹介します。さらに2017年から始まった奥能登国際芸術祭は、会期が終わったあとも残る常設作品として、いまも珠洲の各所で見ることができます。

目次
珠洲市のシンボル・見附島(軍艦島)の絶景
見附島は珠洲市の代表的な景勝地で、その姿が軍艦に似ていることから「軍艦島」の愛称で親しまれています。高さ約28メートルの巨岩が海上にそびえ立つ姿は能登半島を代表する絶景でしたが、2024年の能登半島地震で南東側が大きく崩落し、島へ続く飛び石も失われました(周辺には立入制限区域が残ります)。見附島の名前の由来は、弘法大師が能登を訪れた際に「見つけた」ことにちなむと伝わっています。周辺は「見附島公園」として整備されており、島の前の砂浜は「えんむすびーち」と呼ばれ、恋人の聖地として親しまれています。震災前に行われていた夜間のライトアップは、現在も実施されているかが公表されていません。訪れる前に珠洲市観光交流課(TEL 0768-82-7776)へご確認ください。近くの恋路海岸とあわせて、珠洲のロマンチックな海岸線を散策するのがおすすめです。隣接するキャンプ場は震災の影響で営業状況が変わっているため、利用を検討する場合は珠洲市へご確認ください。
能登半島最先端・珠洲の禄剛埼灯台
禄剛埼灯台(ろっこうさきとうだい)は、能登半島の最先端、珠洲市狼煙町の禄剛崎に立つ白亜の灯台です。明治16年(1883年)7月に初点灯し、日本海を航行する船舶の安全を140年以上にわたって守り続けてきました。岬からは日本海が大きく開け、晴れた日には朝日が海から昇り夕日が海に沈む光景を同じ場所から眺められるという、日本でも珍しいスポットです。灯台の見学は外観のみ無料で、内部の公開は年に数回に限られます。起点は道の駅狼煙の駐車場(110台・無料)で、遊歩道を登って徒歩約10分。道は舗装されているため歩きやすいですが、岬は風が強いため上着を持参することをおすすめします。なお、道の駅狼煙は震災と人手不足のため営業日・営業時間を短縮しています。「聖域の岬」と呼ばれるパワースポットの珠洲岬は禄剛崎とは別の場所で、三崎町寺家にあります(青の洞窟・空中展望台は10:00〜17:00で営業、休業日は月ごとに運営元ランプの宿の公式サイトで告知されます)。

珠洲焼と揚げ浜塩田|珠洲の伝統工芸・文化体験
珠洲市には中世から続く伝統文化が今も息づいています。珠洲焼は平安時代末期から室町時代にかけて生産された古窯の陶器で、釉薬を使わず高温で焼き締める独特の技法が特徴です。一度は途絶えた珠洲焼ですが、1970年代に復興され、古窯の名品を収蔵する珠洲市立珠洲焼資料館と、展示販売施設の珠洲焼館は、能登半島地震の影響で当面の間いずれも休館しています(再開日は公表されていません)。作品の購入は珠洲焼のポータルサイトの通信販売か、営業を再開している窯元で可能です。黒くて力強い肌合いの器は、日本酒や料理を盛り付けるのにぴったりです。一方、揚げ浜式製塩は約500年前から珠洲の海岸で続く伝統的な塩づくりの技法です。海水を砂地に撒き、天日と風で水分を蒸発させて濃い塩水をつくり、それを大釜で煮詰めて塩を仕上げます。道の駅すず塩田村では製塩体験ができ、ミネラル豊富な能登の天然塩をお土産に購入することもできます。いしるとともに、能登の食文化を支える大切な調味料です。
奥能登国際芸術祭|珠洲の風景とアートの融合
奥能登国際芸術祭は、珠洲市全域を舞台に3年に1度開かれてきたアートフェスティバルです。世界各国のアーティストが珠洲の自然や文化にインスピレーションを得て制作した作品が、廃校や旧駅舎、海岸や里山など珠洲の風景の中に展示され、2017年・2020+(2021年)・2023年の3回が開催されました。海を望む場所に立つ石彫、廃線跡を使ったインスタレーション、保育所跡を丸ごと使った屋内作品など、珠洲でしか見られない風景とアートの融合が、過疎化の進むこの街に新たな活力をもたらしてきました。
4回目にあたる2026年の開催は、令和6年能登半島地震により見送られました。実行委員会は現在「奥能登国際芸術祭(Being)」として、作品や施設の修繕と公開、地域と協働するアートプロジェクト、ツアーの企画などを続けています(2026年8月時点)。次回の会期は発表されていないため、珠洲を訪れるときは「会期」ではなく「いま公開されている常設作品」を目当てにするのが実際的です。
公式サイトの「作品・施設のいま」では、常設作品が1点ずつ「公開中」「要修繕」と状態つきで示されています。2026年8月時点では10点以上が公開中で、屋外作品はそのまま見に行けます。屋内の3作品(塩田千春「時を運ぶ船」/河口龍夫「小さい忘れもの美術館」/ひびのこづえ「コスチューム×身体×スズズカ」)は10名以上の事前予約制で、個別鑑賞料金は330円です。一方、旧西部小学校の「石の卓球台第3号」や北山の棚田の「ボトルシップ」のように、修繕を待っている作品も残っています。
大谷町の旧西部小学校を改装したスズ・シアター・ミュージアムは、民具を主役にしたミュージアムで、震災による休館を経て2026年7月18日に2年半ぶりに再開しました。開館は土・日・祝日の10:00〜16:00(受付15:30まで)で、旧盆期間と秋の大型連休も開館し、今シーズンは11月末までの公開予定です。料金は一般800円・大学生600円・小中高生400円(10名以上の団体は各100円引き)。木造船とピアノに映像を重ねる「余光の海」も修復されて公開されていますが、分館は地震の影響で休館中です。併設の潮騒レストランは建築家・坂茂氏の設計で、日本海を一望しながら食事ができます。アート鑑賞とともに珠洲の食や温泉を楽しむ旅のスタイルは、能登の里山里海の新しい楽しみ方として注目されています。
珠洲めぐりの周辺の見どころ
珠洲市を拠点に、奥能登の名所を巡りましょう。珠洲市内では曽々木海岸の奇岩群「窓岩」や、日本海の荒波が生み出した断崖美が見事です。木ノ浦海岸は透明度の高い海が広がるダイビングスポットとして知られますが、海水浴場としては開設されておらず監視員もいません。2026年夏に珠洲市内で開設された海水浴場は、3年ぶりに再開した鉢ヶ崎海水浴場(7月18日開設)のみです。能登町方面では九十九湾の美しい入り江や真脇遺跡の環状木柱列が見逃せません。輪島方面へ足を延ばせば、輪島塗の工房めぐりが楽しめます(時国家は2023年8月31日で公開を終了し、令和6年能登半島地震で建物が倒壊したため見学できません)。輪島朝市は本会場が被災したため、輪島ワイプラザ内の常設「出張輪島朝市」で営業しています。珠洲の海で獲れた新鮮な能登のイカとふぐを味わいながら、奥能登の自然と文化を存分に堪能してください。
珠洲市へのアクセス・観光の基本情報
アクセス
| のと里山空港から | レンタカーで約40分(最も便利) |
| バス | 金沢駅西口から特急バスで「のと里山空港」乗り換え、珠洲市内のバスターミナル「すずなり館前」まで約3時間30分〜3時間50分(2026年3月15日改正ダイヤ)。金沢駅西口〜すずなり館前の運賃は2,730円 |
| 車 | のと里山海道(無料)を利用して金沢から穴水まで約1時間30分、穴水から珠洲市街まで国道249号線で約50分 |
| 車(市内の周遊) | 珠洲市内の観光は車が基本。レンタサイクルを活用する方法もあり |
| 駐車場 | 見附島は見附公園駐車場(200台・無料)、禄剛埼灯台は道の駅狼煙の駐車場(110台・無料)が起点 |
珠洲焼資料館(入館料は一般330円)は震災の影響で臨時休館が続いており、再開時期は公表されていません。揚げ浜塩田での製塩体験は要予約です。珠洲市内には温泉施設も点在しており、観光の合間に立ち寄り湯で旅の疲れを癒やすのもおすすめです。奥能登国際芸術祭の常設作品は珠洲市内に点在しているため、めぐるには車が前提になります。見附島のすぐ近く、上戸エリアの柳田児童公園にはN.S.ハーシャ「なぜここにいるのだろう」、旧上戸駅にはラックス・メディア・コレクティブ「うつしみ」があり、木ノ浦海岸周辺にはリチャード・ディーコン「Infinity 41.42.43」とアレクサンドル・ポノマリョフ「TENGAI」、蛸島の鉢ヶ崎海岸にはラグジュアリー・ロジコ「家のささやき」が立っています。作品ごとの公開・修繕の状況は、奥能登国際芸術祭公式サイトの「作品・施設のいま」で1点ずつ確認できます(位置は珠洲市公式サイト掲載の芸術祭MapのPDFが参考になりますが、更新は2025年6月で止まっています)。地震と豪雨の影響で通行止めや迂回路の残る区間があるので、出発前に道路状況を確かめてください。問い合わせは奥能登国際芸術祭実行委員会事務局(珠洲市観光交流課内/TEL 0768-82-7720)へ。
写真クレジット:
禄剛埼灯台 — Qurren(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
見附島(軍艦島) — Akimoto(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)















