いしる・いしり — 能登に伝わる日本三大魚醤の深い旨み

いしる(いしり)は、能登半島に古くから伝わる日本三大魚醤の一つです。イカの内臓やイワシを塩漬けにして長期間発酵させた伝統的な調味料で、独特の深い旨みとコクが特徴。能登の食文化を代表する味として、近年全国的に注目を集めています。

いしる・いしりとは — 能登に伝わる魚醤の文化

魚醤の製造
魚醤(Photo: MumblerJamie / CC BY-SA 2.0)

いしるは、能登半島で数百年にわたって作り続けられてきた魚醤(ぎょしょう)です。秋田のしょっつる、香川のいかなご醤油と並ぶ日本三大魚醤の一つに数えられています。

能登では地域によって原料や呼び名が異なります。能登半島の外浦(日本海側)ではイワシを原料にした「いしる」、内浦(富山湾側)ではイカの内臓を原料にした「いしり」が作られてきました。いずれも原料に塩を加えて樽に仕込み、1年半〜2年かけてじっくり発酵・熟成させることで、琥珀色の濃厚な魚醤が完成します。

いしるの使い方 — 能登の家庭料理から現代のレストランまで

伝統的な発酵調味料
発酵調味料(Photo: User: (WT-shared) Jpatokal at wts wikivoyage / CC BY-SA 4.0)

能登の家庭では、いしるは日常的な調味料として使われてきました。代表的な料理が「いしり鍋」(よばれ鍋)です。いしりで味付けした出汁に、能登の新鮮な魚介と野菜をたっぷり入れた鍋料理で、能登の冬のごちそうとして親しまれています。

近年では、その深い旨みに注目したシェフたちが、イタリアンやフレンチなど洋食の隠し味としても活用しています。パスタのアンチョビ代わりに使ったり、ドレッシングに加えたりと、和洋問わず料理に深みを加える万能調味料として再評価されています。お土産としても人気が高く、能登の輪島朝市などで購入できます。

いしるの製法 — イワシとイカの違い

能登の魚醤は大きく2種類に分けられます。能登半島の外浦(日本海側)で作られるのがイワシを原料とした「いしる」、内浦(富山湾側)で作られるのがイカの内臓を原料とした「いしり」です。どちらも魚介に塩を加えて1年以上じっくり発酵・熟成させて作りますが、原料の違いにより風味が大きく異なります。

イワシのいしるは力強い旨味とコクが特徴で、鍋物や煮物の隠し味に最適です。一方、イカのいしりはまろやかでやや甘みのある風味で、刺身や焼き魚、パスタなど幅広い料理に合います。どちらも少量で料理に深い旨味を加えることができ、化学調味料では出せない複雑な味わいを生み出します。

いしるの使い方と能登での購入場所

いしるの定番の使い方は、「いしり鍋」です。いしりをベースにした出汁で、能登の野菜や豆腐、魚介を煮込む冬の郷土料理で、能登の旅館や民宿で味わうことができます。また、醤油の代わりに刺身につけたり、炒め物やチャーハンの隠し味にしたり、パスタのアンチョビソース代わりにしたりと、和洋問わず使える万能調味料です。

お土産として購入するなら、輪島朝市や能登食祭市場、道の駅などの能登の観光施設で手に入ります。金沢駅の土産物店にも置いてあり、小瓶タイプは持ち帰りにも便利です。能登の食文化を自宅のキッチンに取り入れてみてはいかがでしょうか。

いしるの歴史と能登の発酵食文化

いしるの歴史は古く、江戸時代にはすでに能登の漁村で広く作られていたと記録されています。冷蔵技術のなかった時代、大量に獲れた魚介を保存する知恵として魚醤づくりが発展しました。能登は日本三大魚醤のひとつ「いしる(いしり)」の産地として、秋田の「しょっつる」、香川の「いかなご醤油」と並び称されています。

能登半島は「発酵食文化の宝庫」とも呼ばれ、いしるのほかにも、かぶら寿し、こんか漬け(ぬか漬けの魚版)、甘酒など、多彩な発酵食品が今も日常的に食されています。近年は発酵食品の健康効果が注目される中、能登の伝統的な食文化が全国的に再評価されています。いしるはその代表格であり、能登の風土と暮らしが生んだ究極の調味料と言えるでしょう。

いしる・いしりの基本情報

種類いしる(イワシ原料・外浦)/ いしり(イカ原料・内浦)
主な産地輪島市・珠洲市・能登町・穴水町など能登半島全域
熟成期間約1年半〜2年
購入場所輪島朝市、道の駅、能登の土産店など
代表料理いしり鍋(よばれ鍋)、貝焼き、煮物など
価格帯500円〜1,500円程度(容量による)

いしるとあわせて楽しみたい能登グルメ・観光

  • 輪島朝市 — いしるの購入にもおすすめ。千年以上続く日本三大朝市
  • 能登丼 — 奥能登の旬を一碗に凝縮したご当地グルメ
  • 揚げ浜式製塩 — 500年続く能登の伝統塩づくり
  • 能登かき — 七尾湾が育む冬の味覚

写真クレジット:
魚醤 — MumblerJamie(Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0)
発酵調味料 — User: (WT-shared) Jpatokal at wts wikivoyage(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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