記事の要点

  • 申し込む前に控除上限額のシミュレーションを必ず行う。上限を超えて寄付した分は控除されず、まるごと自己負担になる
  • 北陸3県は米と海産物が主役。石川は能登米・能登牛・加能ガニ、富山は白えび・ホタルイカ・寒ぶり、福井は越前がに・コシヒカリ
  • 2025年10月1日から、ポータルサイト独自のポイント付与は禁止。「どのサイトが一番お得か」で選ぶ時代は終わった
  • その年の控除にするには12月31日23時59分までに入金完了。ワンストップ特例は5自治体以内・申請書は翌年1月10日必着

石川・富山・福井の返礼品の選び方と、控除を取りこぼさないための手続きをまとめました。制度の内容は2026年8月時点のものです。返礼品の内容・寄付額・発送時期は変わるため、申し込み前に各ポータルサイトの商品ページで最新の情報を確認してください。

北陸のふるさと納税は「米」と「海」で選ぶ

石川・富山・福井の3県は、日本海と山に挟まれた細長い地形に、雪解け水が流れ込む水田地帯が広がっています。この地形がそのまま返礼品の顔ぶれになっていて、北陸のふるさと納税は米と海産物を軸に選ぶと外しにくい構造になっています。

米は3県ともコシヒカリが主力です。福井県は「コシヒカリ発祥の地」として県の農業試験場で品種が育成された歴史を持ち、石川県には世界農業遺産「能登の里山里海」で育つ能登米、富山県には近年評価が上がっているブランド米「富富富(ふふふ)」があります。海産物は、富山湾でしか本格的な漁がない白えびとホタルイカ、日本海のズワイガニ(石川では加能ガニ、福井では越前がに)が代表格です。

もうひとつ、北陸ならではの選択肢が能登半島地震・能登豪雨の被災地への寄付です。輪島市・珠洲市・七尾市・能登町・羽咋市などは返礼品なしの「災害応援寄附金」を受け付けており、これも寄付金控除の対象になります。返礼品つきの寄付と、応援だけの寄付を組み合わせるという使い方もできます。

申し込む前に、控除上限額のシミュレーションを必ず行う

ふるさと納税でいちばん多い失敗は、返礼品選びではなく寄付しすぎです。ふるさと納税は「税金の前払い」であって割引ではありません。自己負担2,000円を除いた全額が所得税・住民税から差し引かれる仕組みですが、控除される金額には上限があり、上限を超えて寄付した分は控除されずそのまま自己負担になります。3万円が上限の人が5万円寄付すれば、超えた2万円は単なる持ち出しです。

そしてこの上限額は、年収と家族構成によって大きく変わります。同じ年収でも、独身なのか、配偶者を扶養しているのか、扶養している子どもが何歳なのかで金額が動きます。他人の「年収◯◯万円ならこれくらい」という話をそのまま自分に当てはめると、簡単にずれます。

だから、返礼品を探すより先にシミュレーターで自分の上限額を出してください。楽天ふるさと納税のかんたんシミュレーターなら、年収・家族構成・扶養家族の3項目を入れるだけで目安が出ます。より正確に出したい場合は、源泉徴収票の数字を入れる詳細版シミュレーターを使います。

ただし、シミュレーターが出す金額はあくまで目安です。楽天のシミュレーターにも「より正確な金額を知りたい場合は、お住まいの市区町村の住民税を担当する部署、管轄の税務署、または税理士に確認してほしい」という趣旨の注意書きがあります。特に次に当てはまる人は、目安より上限が下がる可能性があります。

住宅ローン控除を受けているすでに所得税・住民税が減っているため、ふるさと納税で控除できる余地が小さくなる
医療費控除を申告する課税所得が下がるぶん、ふるさと納税の上限額も下がる。医療費控除を見込んだうえで計算し直す
年の途中で収入が変わった転職・退職・産休育休・賞与の増減などで、想定した年収と実際がずれる
給与以外の収入がある個人事業・不動産・年金など、給与収入だけの前提で作られた早見表は当てはまらない

不安なら、算出された上限額の8割程度に抑えて寄付するのが安全です。数千円分の返礼品を諦めるだけで、「全額自己負担だった」という最悪の結果を避けられます。

「控除されなかった」を防ぐ、5つの落とし穴

上限額の範囲内で寄付していても、手続きでつまずくと控除は受けられません。よくある原因は次の5つです。

  1. 12月31日までに入金が完了していない

    その年の控除対象になるのは、12月31日23時59分までに入金が完了した寄付です。基準は「申し込んだ日」ではなく「自治体が入金を確認できた日」。クレジットカード決済ならその場で完了しますが、銀行振込やコンビニ払いを選ぶと年をまたいでしまうことがあります。年末に駆け込む場合はカード決済が確実です。

  2. ワンストップ特例の申請書が1月10日に間に合わなかった

    確定申告をしない給与所得者が使えるワンストップ特例は、寄付先が5自治体以内であることが条件で、申請書は寄付をした翌年の1月10日までに寄付先の自治体へ届いている必要があります(消印ではなく必着)。年末に寄付すると書類の往復時間がほとんどないため、オンライン申請に対応している自治体ならそちらを使うほうが安全です。

  3. ワンストップ特例を申請したのに、確定申告をした

    これが最も見落とされやすい落とし穴です。ワンストップ特例を申請していても、その後に確定申告をすると特例は無効になります。医療費控除を受けようとして確定申告した結果、ふるさと納税の控除が消えてしまうケースがこれです。

    ただし併用ができないわけではありません。確定申告をするなら、医療費控除とふるさと納税の両方を申告書に記載すれば問題なく控除されます。その際は自治体から届く「寄付金受領証明書」が必要になるので、返礼品と一緒に届く書類を捨てないでください。

  4. 寄付者名義と控除を受ける人が違う

    控除を受けるのは、寄付をした本人です。申し込み時の寄付者名義は、必ず控除を受ける人(税金を納めている人)の名前にしてください。夫が納税者なのに妻の名義で申し込むと、その寄付は夫の控除には使えません。決済に使うクレジットカードも、原則として寄付者本人名義のものを使います。

  5. 引っ越したのに住所変更を届け出ていない

    住民税は1月1日時点の住所地の自治体が課税します。寄付後に引っ越した場合、ワンストップ特例を使うなら翌年1月10日までに変更届出書を寄付先の自治体へ提出する必要があります。これを忘れると、正しい自治体に控除情報が渡りません。

なお、控除が正しく適用されたかは、翌年5〜6月に届く住民税決定通知書で確認できます。「税額控除額」または「摘要」の欄を見て、寄付額から2,000円を引いた金額とおおむね一致していれば適用されています。ここまで確認して、ようやくその年のふるさと納税は完了です。

石川県の返礼品 — 能登米・能登牛・カニ・ジェラート

石川県のふるさと納税は米の層が厚いのが特徴です。宝達志水町・羽咋市・中能登町など邑知潟地溝帯(おうちがたちこうたい)沿いの平野部は県内有数の米どころで、能登産コシヒカリの定期便は各ポータルの人気上位に並びます。5kgや10kgを毎月・隔月で届ける定期便が主流で、単発よりも定期便のほうが1kgあたりの負担は軽くなる傾向があります。

米以外では、石川県が認定するブランド和牛能登牛の切り落としやすき焼き用、七尾湾の能登かき、輪島のふぐ、能登町の小木いかなどが揃います。冬は加能ガニ・香箱ガニが加わります。

地元でよく知られているのが、能登町のマルガージェラートです。オーナーシェフの柴野大造さんは2016年に世界ジェラート大使に任命され、2017年のジェラートワールドツアー決勝では一般投票1位(総合4位・アジア人最高位)に入りました。能登の生乳と地元食材を使ったジェラートで、能登町と野々市市の両方が返礼品として扱っています。冷凍で届くので、米や肉とは別の枠で頼みやすい返礼品です。

そして石川県で忘れてはならないのが、返礼品のない災害応援寄附金です。輪島市・珠洲市・七尾市・能登町・羽咋市などが1,000円から受け付けており、返礼品がないぶん寄付額がそのまま被災地に届きます。「返礼品はもういらないが能登を応援したい」という向きにはこちらが向いています。

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その年の控除対象になるのは12月31日23時59分までに入金が完了した寄付です。ワンストップ特例の申請書は翌年1月10日必着。

富山県の返礼品 — 白えび・ホタルイカ・寒ぶり

富山県の返礼品は富山湾に集約されます。水深1,000mを超える海底谷が湾内まで入り込む特殊な地形が、他県では揃わない魚介を生んでいます。

白えびは、まとまった量が獲れるのが富山湾だけという希少な小型のエビです。殻をむく手間がかかるため、むき身の刺身用や昆布締め、素揚げなどの加工品が返礼品の中心になります。ホタルイカは3月1日に漁が解禁され、産卵期にあたる3〜5月ごろが旬。期間が短いぶん、旬に合わせて届く春の返礼品です。沖漬け・素干し・ボイルといった加工品なら通年で扱われています。

冬の主役はひみ寒ぶりです。氷見漁港に水揚げされるブリのうち、一定の基準を満たしたものだけが「ひみ寒ぶり」を名乗れます。漁の状況によって出荷量が読めないため、返礼品としては数量限定・時期限定になることが多く、狙うなら早めの申し込みが要ります。氷見市は干物の詰め合わせも人気があり、こちらは通年で申し込めます。

米では、富山県が独自に育成したブランド米富富富(ふふふ)があります。コシヒカリに比べて背丈が低く倒れにくい、高温に強いといった特性を持つ品種で、近年評価が上がっています。北陸のコシヒカリを一通り試した人が次に頼む一袋として面白い選択肢です。

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その年の控除対象になるのは12月31日23時59分までに入金が完了した寄付です。ワンストップ特例の申請書は翌年1月10日必着。

福井県の返礼品 — 越前がに・コシヒカリ・へしこ

福井県の返礼品でまず名前が挙がるのが越前がにです。福井県沖で獲れたオスのズワイガニのうち、水揚げ港で検査を通ったものに黄色いタグが付けられます。漁期は11月6日から翌年3月20日まで。メスの「せいこがに」は11月6日から12月31日までと期間がさらに短く、資源保護のため厳格に管理されています。

越前がには寄付額が数万円台になることが多く、上限額に余裕がある年に狙う返礼品です。11月の解禁直後は初物需要で相場が上がるため、量を確保したいなら年明けの申し込みも選択肢になります。ただし年内に入金しないとその年の控除には使えないので、寄付は12月中に済ませて発送時期を指定するのが現実的です。

米は、コシヒカリ発祥の地としての強みがそのまま返礼品になっています。福井県産コシヒカリは定期便の選択肢が豊富で、特別栽培米や新米の先行予約も揃います。

変わり種として挙げたいのが、若狭地方の伝統的な発酵食品へしこです。サバを塩漬けにしてから米ぬかに漬け込んだ保存食で、焼いて少しずつ食べると酒の肴になります。ほかにも若狭塗箸や越前打刃物、越前和紙といった工芸品も返礼品として扱われており、食べ物以外を選びたいときの受け皿になっています。

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その年の控除対象になるのは12月31日23時59分までに入金が完了した寄付です。ワンストップ特例の申請書は翌年1月10日必着。

羽咋市に寄付して、能登の米が届いた

わっか北陸の編集部でも、実際に羽咋市へ寄付して能登の米を受け取りました。結論から言うと、これがとても良い体験でした。日々食べるものが「知っている土地から届いたもの」に変わるだけで、寄付という行為の手応えがまったく違います。

羽咋市は能登半島の付け根、千里浜なぎさドライブウェイと気多大社で知られる市です。同時に、市の東側には邑知潟地溝帯に沿って広い水田地帯が広がる米どころでもあります。市内には「はくい式自然栽培」という、肥料も農薬も使わずに土の力で育てる農法に取り組む拠点があり、ここで育った米は「羽咋米」として返礼品になっています。

編集部は実際に羽咋の田んぼで田植えも経験しています。水を張った田に足を踏み入れ、苗を一株ずつ植える作業をしてみると、5kgの米袋の重さの意味が変わります。返礼品として届いた米を炊いたとき、あの田んぼの風景がそのまま思い出されました。

ふるさと納税を「返礼品をお得にもらう仕組み」として見ると、上限額の計算と手続きの面倒さばかりが目につきます。けれど行ったことのある土地、これから行きたい土地に寄付すると考えると、話が変わります。届いた米や魚が、その土地をもう一度訪ねる理由になる。北陸のふるさと納税は、そういう使い方に向いています。

北陸のふるさと納税・申し込みカレンダー

返礼品には旬があり、手続きには締切があります。1年の流れを1枚にまとめました。

北陸の返礼品の旬と、寄付の締切

3〜5月 6〜8月 9〜10月 11月 12月 翌1月
ホタルイカ・白えび(富山)ホタルイカは3月1日解禁、旬は3〜5月ごろ。生食向けは旬のみ
新米の先行予約が始まる人気の定期便は夏のうちに受付枠が埋まることも
新米(能登米・福井コシヒカリ・富富富)10月中旬ごろから順次発送が中心
ズワイガニ(越前がに・加能ガニ)11月6日解禁。メスのせいこがに・香箱ガニは年内で終漁
寄付の締切12月31日23時59分までに入金完了。カード決済が確実
ワンストップ特例の申請申請書は翌年1月10日必着。5自治体以内が条件

味覚の旬手続き・実用

根拠:ホタルイカは3月1日解禁・漁獲期は3〜5月(JF富山漁連)、ズワイガニ解禁日は福井市「越前がに漁が11月6日に解禁されます」、寄附金控除の対象期間は国税庁タックスアンサーNo.1150(その年に支出した特定寄附金)、ワンストップ特例の要件は総務省ふるさと納税ポータルサイトによる。返礼品の発送時期は事業者ごとに異なります。

寄付先を決めるための、3県の比較

海産物そのほか
石川県能登米コシヒカリ、ひゃくまん穀、羽咋の自然栽培米加能ガニ・香箱ガニ、能登かき、輪島ふぐ、小木いか能登牛、マルガージェラート、輪島塗、災害応援寄附金
富山県富富富、コシヒカリ白えび、ホタルイカ、ひみ寒ぶり、氷見の干物高岡銅器、井波彫刻、鱒寿司
福井県コシヒカリ(発祥の地)、いちほまれ越前がに、せいこがに、若狭の甘えび、へしこ越前打刃物、若狭塗箸、越前和紙、上庄さといも

迷ったら、まず米を1つ、次に季節の海産物を1つという組み方が失敗しにくい選び方です。米は日常的に消費するので余りません。海産物は冷凍庫の空きと相談してから頼むと、届いてから困りません。カニのように単価が高いものは、上限額の残りを見ながら最後に決めるのが安全です。

返礼品の産地を、旅先にする

返礼品が届いたら、その産地を次の旅先にしてみてください。能登米が届いたなら羽咋や宝達志水の田園地帯へ、越前がにを頼んだなら越前海岸へ、白えびなら富山湾岸へ。食べたものの産地に立つと、味の記憶がまるごと風景に置き換わります。わっか北陸では、それぞれの産地の記事を用意しています。

控除の上限額はどうやって調べればいいですか?
各ふるさと納税ポータルサイトのシミュレーターを使います。楽天ふるさと納税のかんたんシミュレーターなら、年収・家族構成・扶養家族の3項目で目安が出ます。ただし表示される金額はあくまで目安です。住宅ローン控除や医療費控除を受けている人、給与以外の収入がある人は目安より上限が下がることがあるため、正確に知りたい場合は源泉徴収票の数字を使う詳細版シミュレーターを使うか、お住まいの市区町村の住民税担当部署・管轄の税務署に確認してください。
上限額を超えて寄付するとどうなりますか?
超えた分は所得税・住民税から控除されず、全額が自己負担になります。返礼品は受け取れますが、超過分については税の軽減がまったく効かない純粋な持ち出しになります。不安な場合はシミュレーターの算出額の8割程度に抑えて寄付すると安全です。
ポータルサイトのポイントはもうもらえないのですか?
2025年10月1日から、ふるさと納税ポータルサイトが寄付に対して独自のポイントを付与することは禁止されました。総務省が2024年6月に告示を改正したことによるものです。一方、クレジットカード会社が決済に対して通常付与するポイントは対象外で、これまでどおり付与されます。サイトごとのポイント還元率で選ぶ意味は薄くなったため、返礼品の内容と発送時期で選ぶのが現在の選び方です。
ワンストップ特例を申請したあとに、医療費控除で確定申告をしても大丈夫ですか?
確定申告をすると、先に提出したワンストップ特例の申請は無効になります。ただし控除が受けられなくなるわけではなく、確定申告書にふるさと納税の寄付金控除と医療費控除の両方を記載すれば、どちらも控除されます。その際は自治体から届く寄付金受領証明書が必要です。また、医療費控除で課税所得が下がるとふるさと納税の上限額も下がるため、医療費が多くかかりそうな年は寄付額を控えめにしておくと安心です。
返礼品がない災害応援寄附金でも、控除は受けられますか?
受けられます。ふるさと納税の寄付金控除の対象で、自己負担2,000円を除いた分が所得税・住民税から控除される点は返礼品つきの寄付と同じです。石川県では輪島市・珠洲市・七尾市・能登町・羽咋市などが1,000円から災害応援寄附金を受け付けています。返礼品がないぶん、寄付額がそのまま自治体の財源になります。
控除が正しく適用されたか、あとから確認できますか?
翌年5〜6月ごろに勤務先から配られる住民税決定通知書(給与所得等に係る市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書)で確認できます。「税額控除額」の欄、または「摘要」の欄を見て、寄付額から2,000円を引いた金額とおおむね一致していれば適用されています。市民税と県民税で欄が分かれている場合は、両方を合計して比べてください。

写真クレジット:
輪島塗の椀に盛った炊きたてのご飯 — yuuki ゆうき(金野裕希)(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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わっか北陸編集部
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