能登の漁師町めぐり|蛸島・小木・宇出津の港町の暮らしと漁港グルメ

能登半島の東海岸・内浦には、豊かな漁場に支えられた漁師町が点在しています。珠洲市の蛸島(たこじま)、能登町の小木(おぎ)、宇出津(うしつ)は、いずれも古くから漁業で栄えた港町で、独自の食文化や祭り文化が息づいています。新鮮な魚介を使った漁港グルメや、漁師町ならではの風景を巡る旅は、観光地化されていない能登の本当の姿に触れる体験です。

蛸島の漁師町と能登の最果ての港

小木港のイカの駅つくモールと能登の漁師町グルメ
小木港のイカの駅つくモールと能登の漁師町グルメ(Photo: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0)

蛸島は珠洲市の東端に位置する漁師町で、能登半島の最東端にあたる漁港です。かつてはのと鉄道能登線の終着駅「蛸島駅」があり、能登の最果てのイメージが漂う場所でした。現在は鉄道が廃線となり、静かな漁村の風景が広がっています。蛸島漁港では主にサザエ・アワビ・ワカメなどの磯根資源のほか、定置網漁業が盛んに行われています。蛸島の名前の由来は、かつてこの地でタコが大量に獲れたことに由来するとされ、タコ料理は今も地元の名物です。蛸島の集落を歩くと、石積みの防風壁や板張りの民家が並ぶ独特の港町風景が残っています。毎年8月に行われる「蛸島キリコ祭り」は、巨大なキリコ灯籠を担いで町を練り歩く能登ならではの勇壮な祭りです。見附島禄剛埼灯台からも近く、奥能登観光の拠点としても便利な場所です。蛸島周辺の珠洲焼の窯元を訪ねるのもおすすめです。

小木の船凍イカと漁港グルメ

小木は能登町の南東部に位置する漁港で、日本有数のイカ漁の拠点として知られています。特に「船凍(せんとう)イカ」は、漁獲直後に船上で急速冷凍する技術によって鮮度を保ったスルメイカで、小木港のブランド水産物として全国に出荷されています。能登のイカとふぐは能登を代表する海の幸であり、小木港はその中心地です。2022年にオープンした「イカの駅つくモール」は、小木のイカ文化を発信する拠点施設で、巨大なイカのモニュメントが目印です。施設内では船凍イカを使った刺身や塩辛、イカ墨カレーなどのイカグルメを楽しめます。小木港の周辺には、九十九湾の美しい入り江が広がり、遊覧船やシーカヤックで穏やかな湾内を巡ることができます。小木では毎年7月に「とも旗祭り」が行われ、大きな幟旗を立てた小型漁船が港内を巡る独特の祭り風景が見られます。いしる(魚醤)を使った郷土料理も、小木ならではの味わいです。

宇出津の港町の暮らしとあばれ祭り

九十九湾の穏やかな入り江と能登の漁師町の風景
九十九湾の穏やかな入り江と能登の漁師町の風景(Photo: Panoramio upload bot / CC BY-SA 3.0)

宇出津は能登町の中心部に位置する港町で、能登半島内浦の交通・経済の要衝として栄えてきました。宇出津港は天然の良港として古くから漁業が盛んで、定置網漁を中心にブリ・アジ・サバ・イカなどの水揚げがあります。港の周辺には鮮魚店や寿司店が並び、朝獲れの魚を使った刺身定食や能登丼を味わうことができます。宇出津を代表する文化が、毎年7月の第1金曜・土曜に行われる「あばれ祭り」です。石川県の無形民俗文化財に指定されるこの祭りは、能登のキリコ祭りの先陣を切る祭りとして知られ、約40本のキリコ灯籠が町を練り歩く初日と、巨大な神輿を川に投げ込み火の中に入れる「あばれ神輿」の2日目で構成されます。その勇壮さは能登の祭りの中でも随一で、全国から見物客が訪れます。宇出津の町並みを歩くと、格子窓の商家や蔵が残る古い町並みと、漁港の活気ある風景が共存しています。能登演劇堂も宇出津近くにあり、仲代達矢の舞台公演が行われています。

能登の漁師町の漁港グルメと食文化

能登の漁師町を巡る最大の楽しみは、漁港直送の新鮮な海産物を使ったグルメです。蛸島のタコ料理、小木の船凍イカ、宇出津のブリやアジなど、それぞれの港ごとに特色ある海の幸が楽しめます。能登の漁師町では、いしる(魚醤)を使った鍋料理「いしる鍋」が冬の定番です。いしるはイカやイワシの内臓を塩漬けにして発酵させた調味料で、能登の食文化を象徴する発酵食品です。能登かきは七尾湾で養殖される大粒の牡蠣で、冬場のかき小屋では炭火焼きを堪能できます。能登牛は漁師町の料理店でもステーキや丼で提供されており、海の幸との食べ比べも魅力です。能登ワインは地元の食材との相性が抜群で、漁港グルメとのマリアージュを楽しめます。揚げ浜式製塩で作られる天然塩は、刺身やてんぷらに添えると素材の味を引き立てます。能登の漁師町の食文化は、能登の里山里海が育んだ豊かな恵みの結晶です。

能登の漁師町周辺の見どころ

能登の漁師町めぐりと合わせて訪れたいスポットが周辺に数多くあります。小木港から車で約10分の九十九湾は、日本百景に選ばれた美しい入り江で、シーカヤックや遊覧船が楽しめます。真脇遺跡では4,000年続いた縄文集落の歴史に触れることができ、ウッドサークルの復元も見どころです。恋路海岸は悲恋伝説が残る美しいビーチで、縁結びスポットとしても人気です。珠洲方面では見附島禄剛埼灯台曽々木海岸の窓岩など、奥能登の絶景スポットが連続します。輪島キリコ会館では、蛸島や宇出津で体験したキリコ祭りの文化をより深く理解できます。和倉温泉は漁師町めぐりの帰りに立ち寄れる名湯で、七尾湾を眺めながら旅の疲れを癒せます。能登食祭市場では、能登各地の海産物を一堂に味わうことも可能です。

能登の漁師町へのアクセスと駐車場情報

能登の漁師町へは、のと里山海道の穴水ICから一般道を利用してアクセスします。穴水ICから宇出津までは約30分、小木までは約50分、蛸島までは約1時間20分です。金沢からは車で約2時間30分から3時間の距離です。公共交通機関を利用する場合は、のと鉄道穴水駅から路線バスが運行しています。穴水駅から宇出津までは路線バスで約40分、小木まで約1時間です。各港には無料駐車場が整備されています。宿泊は宇出津や小木に民宿や旅館があり、漁師の家庭料理を味わえる宿も人気です。能登の漁師町めぐりは1泊2日が理想的で、初日に蛸島・珠洲方面を巡り、2日目に小木・宇出津を訪れるルートがおすすめです。各漁港の朝市や鮮魚直売は早朝が狙い目のため、できるだけ早い時間に訪れるとよいでしょう。


写真クレジット:
小木のイカの駅つくモールと能登の漁港グルメ — Asturio Cantabrio(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
九十九湾の穏やかな入り江と能登の漁師町の風景 — Panoramio upload bot(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)

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