石川県南部の小松市は、歌舞伎「勧進帳」の弁慶ゆかりの地・安宅関の町。日本海側唯一の航空博物館石川県立航空プラザや恐竜の化石産地としても知られ、北陸新幹線で金沢から約11分というアクセスの良さも魅力です。
石川県南部に位置する小松市は、歌舞伎の伝統と航空の街という二つの顔を持つユニークな都市です。源義経と弁慶の「勧進帳」の舞台として知られる安宅関跡があり、250年以上の歴史を持つ曳山子供歌舞伎が今も受け継がれています。一方で、航空自衛隊小松基地の街として日本海側唯一の航空博物館「石川県立航空プラザ」も人気スポット。歴史と先端技術が融合する小松市の魅力をご紹介します。
目次
小松市の歴史 — 勧進帳と加賀藩の城下町
小松市の歴史は古く、平安時代初期の823年(弘仁14年)に越前国から加賀国が分立した際、その国府が現在の小松市古府町のあたりに置かれたと考えられています。中世には一向一揆が城を築き、江戸時代前期の1639年(寛永16年)には加賀藩三代藩主・前田利常が小松城を隠居地として大改修しました。利常は小松を文化都市として整備し、九谷焼の振興や城下町の発展に力を注ぎました。
小松市を全国的に有名にしているのが、安宅関跡です。歌舞伎十八番の「勧進帳」は、源義経が奥州へ逃れる途中、弁慶が安宅関で関守・富樫左衛門の前で白紙の巻物を勧進帳として読み上げ、さらに義経を打擲して主従の情を見せるという名場面で知られています。この物語が小松の歌舞伎文化の原点となっています。

小松市のお旅まつり — 250年続く曳山子供歌舞伎
毎年5月に開催される「お旅まつり」は、莵橋神社と本折日吉神社の春季例大祭で、その目玉が曳山子供歌舞伎です。舞台となる曳山は1766年に近江長浜の曳山を模して造られたといわれ、250年以上の歴史を誇ります。豪華絢爛な曳山(山車)の上で、地元の小学生たちが本格的な歌舞伎を演じる姿は、全国でも珍しい伝統芸能として高い評価を受けています。
曳山はかつて10基ありましたが、昭和の二度の大火で2基が焼失し、現在は8基。この8町が持ち回りで、毎年2町ずつ子供歌舞伎を上演します。子どもたちは数か月にわたる厳しい稽古を経て本番に臨み、見事な所作と口上で観客を魅了します。2基の曳山が向かい合って上演する「曳山曳揃え」は祭りのクライマックスで、絢爛な曳山と子どもたちの真剣な演技が見る者の心を打ちます。お旅まつりは小松市の文化の象徴であり、歌舞伎のまち・小松を体感できる最高の機会です。2026年は5月8日(金)〜10日(日)に開催され、曳山曳揃えは9日に細工町交差点で行われました。翌2027年(令和9年)の日程は小松市の公式サイトで発表されます。
石川県立航空プラザ — 小松の空を知る日本海側唯一の航空博物館
小松空港に隣接する石川県立航空プラザは、日本海側で唯一の航空博物館です。入館は無料(シミュレーターのみ有料)で、小型飛行機からジェット戦闘機まで17機の実機のほか、多数の模型やパネル、風洞装置で航空機の歴史と仕組みを解説しています。前政府専用機の貴賓室の展示も加わりました。開館は9時〜17時、年末年始(12月29日〜1月3日)を除いて年中無休。駐車場は無料で普通車95台・バス5台分あります。
特に人気なのが、本物のコックピットに乗り込めるYS-11フライトシミュレーター(1回500円)です。予約はできず受付で先着順のため、早めの来館が安心。ほかに7種類の簡易シミュレーター(1回200円)もあります。また、1階の大展示場にある屋内遊具広場「ぶ〜んぶんワールド」は、雨の日でも遊べるスポットとして地元のファミリーにも人気です。見学の所要時間はシミュレーター体験を除いて30〜40分が目安。小松基地の航空祭と合わせて訪れるのもおすすめです。

小松市の見どころ — 小松城跡とこまつの杜
小松城は、加賀藩三代藩主・前田利常が隠居城とした城で、かつては「浮城」と呼ばれる水堀に囲まれた名城でした。現在は石垣の一部が残るのみで、切込接(きりこみはぎ)の美しい石積みを見せる天守台は石川県立小松高等学校の敷地の一角にあります。三の丸跡は約4万平方メートルの芦城公園として整備され、二つの池と滝を配した池泉回遊式庭園に図書館・美術館・茶室が並び、桜や藤、紅葉など四季折々の風情を楽しめます。
小松市は世界的な建設機械メーカー「コマツ(小松製作所)」発祥の地でもあります。「こまつの杜」は、旧本社工場跡地に整備されたコマツの施設で、世界最大級のダンプトラック930Eの実物展示が目玉です。車体重量202トン、積載量297トンという2階建ての建物より高い巨体を間近で見られ、子どもから大人まで圧倒されます。日本にある930Eはここだけです。敷地内には「わくわくコマツ歴史館」「わくわくコマツキッズ館」「わくわくコマツ未来館」があり、ものづくりの楽しさを体験できます。入館・入園は無料。屋内施設は9時〜16時30分(入館は16時まで)、屋外の「げんき里山」は9時〜17時で、毎週日曜・月曜と第5土曜が休館、年末年始は休園です。JR小松駅東口から徒歩1分と、新幹線で訪れる人にも寄りやすい立地です。
小松市へのアクセスと周辺の見どころ
アクセス
| 新幹線 | 北陸新幹線の小松駅(2024年3月開業)から直接アクセスできます |
| 東京から | 北陸新幹線「かがやき」で最速約2時間40分。停車駅の多い「はくたか」は約3時間5分 |
| 金沢から | 北陸新幹線で約11分。IRいしかわ鉄道の普通列車なら約33分 |
| 飛行機 | 小松空港は東京(羽田)から約1時間5分のフライト。空港と小松駅は連絡バスで結ばれ、レンタカーも充実しています |
小松市周辺には魅力的なスポットが点在しています。安宅関跡は小松駅から車で約15分、日本海に面した松林の中に勧進帳の像が立つ歴史ロマンあふれる場所です。加賀温泉郷は南隣の加賀市にあり、山中・山代・片山津の三温泉で旅の疲れを癒せます。那谷寺は小松駅からタクシーで約30分、奇岩遊仙境と紅葉の名勝として知られる古刹です。また木場潟公園は、白山の展望と水辺の自然を楽しめる小松市の公園です。歌舞伎と航空、歴史とものづくり——多彩な魅力を持つ小松市をぜひ訪れてみてください。
写真クレジット:
石川県立航空プラザの外観 — SONIC BLOOMING(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
石川県立航空プラザの展示機体 — Lombroso(Wikimedia Commons / Public domain)
小松城跡の石垣 — Ninijyo(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
















