記事の要点

  • 黒部峡谷トロッコ電車は2026年9月30日まで宇奈月〜猫又の折返し運行10月1日から宇奈月〜欅平の全線再開です。再開後も欅平で見学できるのは駅舎(屋上展望台)とビジターセンターのみで、人喰岩・奥鐘橋・猿飛峡へは行けません
  • 「黒部」を冠しますが黒部ダムがあるのは黒部市ではなく立山町です。富山側からは黒部宇奈月キャニオンルート(2026年10月2日始動・ツアー限定)、長野側からは扇沢経由で向かいます
  • 旅の拠点は宇奈月温泉。北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅から富山地方鉄道で約25分、トロッコの宇奈月駅までは徒歩約5分です。日帰り入浴「湯めどころ宇奈月」は大人510円で利用できます
  • 12月〜4月上旬はトロッコが運休し、やまびこ遊歩道も冬季閉鎖です。冬に峡谷を眺めるなら、温泉街の高台や谷に面した宿・日帰り温泉からになります

この記事では黒部峡谷・黒部ダム、宇奈月温泉、生地の湧水、グルメ、宿泊、モデルコース、アクセスの順に扱います。運行区間・料金・営業状況は2026年9月時点の公表値です。震災復旧の進み方で変わることがあるため、おでかけ前に黒部峡谷鉄道と各施設の公式情報をご確認ください。

富山県の東部に位置する黒部市は、日本一の高さを誇る黒部ダム、日本一深いV字峡谷を走るトロッコ電車、そして北陸屈指の名湯・宇奈月温泉と、スケールの大きな自然と温泉が揃う観光都市です。標高3,000m級の北アルプスから流れ出す黒部川は、険しい峡谷を刻みながら富山湾へと注ぎ、その扇状地には清らかな湧き水が湧き出す「名水の里」が広がっています。ダイナミックな山岳観光から温泉街の散策、海辺の湧水めぐりまで、黒部市は一度の旅では味わいきれないほどの魅力に溢れています。

【2026年の運行】宇奈月〜欅平の全線再開は10月1日です。運行区間と欅平の立入範囲は震災復旧工事の進み方で変わるため、乗車前に黒部峡谷鉄道公式で最新の運行情報を確認してください。

宇奈月温泉街と黒部峡谷の絶景
宇奈月温泉と黒部峡谷(Photo: 掬茶 / CC BY-SA 4.0)

黒部市の観光スポット — 黒部峡谷・ダム

黒部市の観光のハイライトといえば、北アルプスの懐深くに広がる黒部峡谷エリアです。「世紀の大事業」と呼ばれたダム建設の舞台であり、切り立った断崖と原生林が織りなす大自然は訪れる人を圧倒します。2026年10月2日に始動する黒部宇奈月キャニオンルートにより、宇奈月温泉側から黒部ダムへ直接アクセスできるようになり、周遊の選択肢がさらに広がります。

黒部ダム — 日本一の高さ186mの巨大アーチダム

黒部ダムは、高さ186m・堤頂長492mを誇る日本最大級のアーチ式ダムです。1956年から7年の歳月と延べ1,000万人の作業員を投じて完成した「世紀の大事業」は、映画『黒部の太陽』でも描かれ、日本の土木史に燦然と輝く偉業として知られています。夏から秋にかけて行われる観光放水(2026年は6月26日〜10月15日)では、毎秒10トン以上の水が放物線を描いて落下し、晴れた日にはダムにかかる虹を見ることができます。展望台からは立山連峰と黒部湖のパノラマが一望でき、遊覧船「ガルベ」で湖上クルーズを楽しむことも可能です。黒部ダムへは長野県側の扇沢から関電トンネル電気バスで向かう立山黒部アルペンルートが定番のアクセス方法ですが、2026年10月2日に始動する黒部宇奈月キャニオンルート(旅行会社の商品のみ・個人での通行は不可)を使えば、富山県側から訪れることもできるようになります。

黒部ダムの所在地について:「黒部」の名を冠していますが、黒部ダムがあるのは黒部市ではなく富山県中新川郡立山町です。黒部川の最上流部にあたり、これまで黒部市側から直接向かう一般ルートはありませんでした。黒部市の観光と組み合わせる場合は、扇沢(長野県大町市)からのアクセスか、宇奈月温泉発の黒部宇奈月キャニオンルート(ツアー限定・季節運行)を利用します。

黒部峡谷トロッコ電車 — V字峡谷を走る絶景鉄道

雪の黒部峡谷に架かる2本の赤い鉄橋(新山彦橋と山彦橋)
黒部川に並ぶ2本の赤い橋。奥がトロッコの走る新山彦橋、手前が遊歩道の山彦橋(写真は運休期の冬)

黒部峡谷トロッコ電車は、宇奈月駅から終点の欅平(けやきだいら)駅まで約20.1kmを片道約80分で結ぶ観光鉄道です。もともとは電源開発のための工事用軌道として敷設されたもので、日本一深いV字峡谷の断崖に沿って走るスリル満点の路線として人気を集めています。車窓からは、エメラルドグリーンに輝く黒部川の清流、赤や黄に染まる紅葉の渓谷美、雪解け水が流れ落ちる滝など、四季折々の絶景が楽しめます。途中の鐘釣駅周辺では河原を掘って自分だけの露天風呂(足湯)をつくる体験が名物で、終点の欅平駅の周辺には人喰岩や奥鐘橋といった景勝地がありますが、復旧工事のため全線再開後も当面は駅舎(屋上展望台)とビジターセンター以外へ進めず、いずれも訪ねられません。ただし黒部市の案内(令和8年5月18日現在)では、鐘釣河原・鐘釣河原露天風呂・万年雪展望台はいずれも「通行不可」です。全線運行が再開する10月1日以降の可否は、黒部峡谷鉄道と黒部市の最新情報で確認してください。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉と見ごろが移り変わり、特に10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンは予約が取りにくいほどの人気です。

2026年の注意点:鐘釣駅・欅平駅で降りられるのは全線運行が再開する10月1日以降です(9月30日までは猫又駅折返しのため、鐘釣・欅平へは行けません)。また、10月1日以降も震災復旧工事のため欅平は立入区域が制限され、当面は欅平駅舎(屋上展望台)と欅平ビジターセンターのみの見学となります。人喰岩・奥鐘橋・猿飛峡へは行けませんのでご注意ください。

黒部峡谷トロッコ電車の運賃(2026年・大人/こども)
宇奈月⇔黒薙(往復・〜9/30)1,660円/840円
宇奈月⇔猫又(往復・〜9/30)2,820円/1,420円
宇奈月〜黒薙(片道・10/1〜)830円/420円
宇奈月〜鐘釣(片道・10/1〜)1,780円/890円
宇奈月〜欅平(片道・10/1〜)2,480円/1,240円
リラックス客車車両券600円(1回ごとに別途)
運行期間2026年は4月20日〜11月30日
予約乗車日の3か月前〜前日15:00。10/1〜11/30の欅平行きは電話予約のみ(Web不可、0765-62-1011)。黒薙・鐘釣行きはWebまたは電話

黒部宇奈月キャニオンルート — 秘境を貫く新たな観光ルート

黒部宇奈月キャニオンルートは、2026年10月2日にツアーとして始動する新しい山岳観光ルートです。当初は2024年6月30日の一般開放を予定していましたが、令和6年能登半島地震で黒部峡谷鉄道の全線運行が止まったため2年延期されました。宇奈月温泉と黒部ダムを結ぶこのルートは、関西電力の工事用設備(インクライン・竪坑エレベーター・バッテリートロッコなど)を活用しており、これまで一般人が立ち入ることのできなかった黒部峡谷の最奥部を体験できます。全行程は約3時間半で、高低差約800mを一気に駆け上がるインクラインや、地下200mを進むバッテリートロッコなど、通常の観光では味わえない冒険的な体験が待っています。このルートの始動により、宇奈月温泉から黒部ダム・立山黒部アルペンルートへの周遊が可能になり、富山県側から一気通貫で立山・黒部エリアを楽しめるようになります。なお、参加できるのは旅行会社が販売するツアー商品のみで個人での通行はできず、初年度(2026年)は運行が10月2日〜11月30日の2か月間・募集人数約2,700人に限られます。

黒部市の観光スポット — 宇奈月温泉

黒部峡谷の玄関口に位置する宇奈月温泉は、富山県随一の規模と湯量を誇る温泉地です。大正時代に黒部川の電源開発とともに発展した温泉街は、峡谷の絶景と良質な湯を同時に楽しめる贅沢なリゾートとして、北陸を代表する温泉地に成長しました。

宇奈月温泉 — 峡谷美と名湯が融合する温泉街

宇奈月温泉の泉質は、弱アルカリ性の単純温泉で、無色透明・肌にやさしい「美肌の湯」として知られています。湯量は北陸でもトップクラスで、温泉街には大小の旅館・ホテルが立ち並び、黒部峡谷を望む露天風呂が自慢の宿も多数あります。温泉街の散策では、温泉噴水やトロッコ電車の宇奈月駅前に立つ「湯めどころ宇奈月」の足湯が人気スポットです。また、黒部川沿いの遊歩道「やまびこ遊歩道」を歩けば、朱色の山彦橋や新山彦橋を渡りながら峡谷の景色を堪能できます。冬季はトロッコ電車が運休しますが、雪に包まれた静かな温泉街で過ごす冬の宇奈月も格別の趣があり、スキー場も近いため冬の旅の拠点としてもおすすめです。

雪の宇奈月温泉駅前で湯けむりを上げる温泉噴水
宇奈月温泉駅前の温泉噴水。雪の日は湯けむりがひときわ白く立ちのぼる

温泉街の入口、富山地方鉄道・宇奈月温泉駅の駅前で湯けむりを上げているのが温泉噴水です。宇奈月温泉の開湯50周年を記念して1973年(昭和48年)に作られたもので、黒部峡谷の黒薙温泉から引湯した約60度の湯が勢いよく噴き上がります。山小屋風の駅舎とセットで撮れる温泉街いちばんの記念撮影スポットで、噴水のわきには「PHOTO SPOT」の案内板も立っています。トロッコの宇奈月駅はここから徒歩約5分、その途中には無料の足湯もあります。

冬の宇奈月温泉 — トロッコが走らない季節の峡谷

雪に埋もれた黒部川の谷と宇奈月温泉の建物
雪に沈む冬の黒部川。右奥に宇奈月温泉の宿が並ぶ

トロッコ電車の運行は例年4月中旬から11月末まで(2026年は4月20日〜11月30日)で、12月から4月上旬の宇奈月温泉は「トロッコが走らない季節」です。そのぶん峡谷は深い雪に覆われ、白一色の谷に赤い鉄橋と黒部川の水面だけが残ります。夏の緑や秋の紅葉とはまったく別の景色で、湯に浸かりながら眺めるにはむしろ贅沢な時期です。

ただし冬に歩ける範囲は限られます。山彦橋を渡って宇奈月ダムへ向かうやまびこ遊歩道は冬季閉鎖で、例年の通行可能期間は4月下旬〜11月末頃です。冬に峡谷を見下ろすなら、温泉街の高台や谷に面した宿の窓、日帰り温泉から眺めるのが現実的です。なお同遊歩道はトンネル以外に照明がなく夜間通行禁止のため、雪のない季節でも日中に歩いてください。

黒部峡谷の秘湯 — 黒薙温泉・鐘釣温泉・名剣温泉

黒部峡谷には、トロッコ電車でしかアクセスできない秘湯が点在しています。宇奈月温泉の源泉でもある黒薙温泉は、峡谷の深い谷間に湧く混浴の大露天風呂で、大自然に包まれた野趣あふれる入浴体験ができます。鐘釣温泉は、河原を掘ると温泉が湧き出すという珍しい「河原露天風呂」が名物で、黒部川の清流を眺めながらの足湯が人気です(ただし黒部市の案内(令和8年5月18日現在)では、鐘釣河原・鐘釣河原露天風呂・万年雪展望台はいずれも「通行不可」です。全線運行が再開する10月1日以降の可否は、黒部峡谷鉄道と黒部市の最新情報で確認してください。)。終点の欅平駅から徒歩20分ほどの場所にある名剣温泉は、峡谷の断崖に張り付くように建つ秘湯の一軒宿で、谷底の露天風呂から見上げる峡谷美は圧巻です。いずれもトロッコ電車の運行期間中のみの営業となるため、訪問の際は事前に営業状況を確認しましょう。秘湯めぐりを楽しむなら、宇奈月温泉に宿泊して日帰りでトロッコ電車に乗るプランがおすすめです。

2026年の営業状況:黒薙温泉旅館は5月1日〜11月24日午前中までの営業(7月8日・10月7日は休館)。鐘釣駅へ行けるのは全線運行が再開する10月1日以降ですが、黒部市の案内(令和8年5月18日現在)では鐘釣河原・鐘釣河原露天風呂とも「通行不可」のため、再開後の可否は黒部峡谷鉄道と黒部市の最新情報で確認してください。名剣温泉は2026年8月時点で営業予定が未定(公式サイトで「鐘釣橋復旧工事の進捗により決定」と案内)のため、訪問前に必ず宿へ直接ご確認ください。

黒部市の観光スポット — 生地の湧水と街歩き

黒部市の海側に位置する生地(いくじ)地区は、北アルプスの雪解け水が黒部川扇状地の地下を通り、地表に湧き出す「清水(しょうず)」の里として知られています。山岳観光の黒部峡谷エリアとは対照的に、こちらは穏やかな漁港の街並みと澄んだ湧き水に癒されるエリアです。

生地の清水めぐり — 全国名水百選の湧水スポット

生地の清水(しょうず)めぐりは、生地地区に点在する約20か所の湧水スポットを徒歩で巡る街歩きコースです。環境省の「全国名水百選」にも選ばれたこの湧水群は、北アルプスに降った雪が数十年の歳月をかけて地中でろ過され、地表に湧き出したものです。年間を通じて水温は約12度と冷たく、そのまま飲むことができる清らかさが魅力です。代表的な湧水スポットには、弘法大師が杖で突いたら水が湧いたという伝説の「弘法の清水」、住宅地の中にひっそりと湧く「前名寺の清水」、地元の人々が野菜を洗う共同洗い場としても使われる「殿様清水」などがあります。生地の街は漁港の町でもあり、清水めぐりの途中には新鮮な魚介を扱う鮮魚店や、地元の人が通う食堂も点在しています。所要時間は約1~2時間で、黒部峡谷エリアとは趣の異なる、のんびりとした街歩きが楽しめます。立山連峰の雪解け水が生み出す恵みを、山と海の両方から感じられるのが黒部市の魅力です。

黒部市のグルメ — 名水が育む食の魅力

黒部市のグルメは、北アルプスの名水と富山湾の豊かな海の幸に支えられています。山から海までの距離が短い黒部ならではの食文化を楽しみましょう。

黒部名水ポークは、黒部川扇状地の湧き水で育てられたブランド豚です。名水で飼育された豚肉はクセが少なく、きめ細かな肉質と上品な甘みが特徴です。宇奈月温泉の旅館やレストランで提供されるほか、黒部市内の飲食店でもとんかつやしゃぶしゃぶなどで味わうことができます。

宇奈月ビールは、黒部川の名水を使って醸造されるクラフトビールです。宇奈月温泉の「宇奈月麦酒館」で製造・販売されており、十字峡(ケルシュスタイル)・カモシカ(ボック)・トロッコ(アルト)の3種類が定番です。それぞれ黒部峡谷にちなんだ名前が付けられており、温泉上がりの一杯に最適です。レストランではビールに合う地元食材を使った料理も楽しめます。

富山湾の海鮮も黒部市の食の魅力のひとつです。生地漁港は富山湾に面した漁港で、春のホタルイカ、夏のバイ貝、秋のベニズワイガニ、冬の寒ブリと、四季を通じて新鮮な魚介が水揚げされます。特に富山湾の宝石と呼ばれる白エビは、黒部の名水で洗い上げることで透き通った美しさと甘みが際立ちます。黒部市内や魚津市の回転寿司でも、富山湾鮨として地物のネタを手軽に楽しむことができます。

アルペンチーズケーキ — 賞味期限10分の「幻」

黒い石皿にのった白いピラミッド形のアルペンチーズケーキ
幻のアルペンチーズケーキ。雪をかぶった山のようなピラミッド形で運ばれてくる

富山地方鉄道・宇奈月温泉駅の駅舎1階にあるチーズケーキ専門店です。看板商品の「幻のアルペンチーズケーキ」(750円・税込)は賞味期限が10分。口どけを追求した結果、温度にきわめて繊細な生地になったため持ち帰りができず、店頭のカフェスペースでしか食べられません。雪山を思わせる白いピラミッドが黒い石皿にのって運ばれ、添えられた小さなピッチャーのソースをかけていただきます。ドリンクセットは+250円です。

ガラスドームをかぶせて並ぶアルペンチーズケーキのショーケース
ショーケースにはガラスドームをかぶせた「幻」が並ぶ。抹茶など季節の味も登場する

持ち帰りたい人には、オリジナルチーズケーキやチーズショコラケーキといった食べ歩き用の包装もあります。「幻の」シリーズには抹茶や、秋季限定のもみじといった季節の味もそろいます。トロッコの発車待ちや、宇奈月温泉駅に降り立った直後に立ち寄りやすい立地です。

宇奈月温泉に泊まる — 峡谷を見下ろす宿の一日

宇奈月温泉は日帰りでも楽しめますが、峡谷に面した宿に泊まると景色の見え方が変わります。ここでは温泉街の中心にある一軒を例に、宿泊で味わえるものを具体的に紹介します。

黒部・宇奈月温泉 やまのは — 棚湯から新山彦橋を望む

雪が降り積もる「黒部・宇奈月温泉 やまのは」の入口サイン
雪の中の入口サイン。地鉄・宇奈月温泉駅から徒歩約3分の立地

富山地方鉄道・宇奈月温泉駅から徒歩約3分、温泉街の中心に建つ宿です。名物は展望露天風呂「棚湯」で、棚田のように段差をつけた湯船から段ごとに違う角度で黒部峡谷と新山彦橋を見渡せます。トロッコの運行期間中は、湯に浸かったまま電車が橋を渡っていく姿を眺められます。もうひとつの大浴場「大黒部」は露天風呂が源泉かけ流しで、樹々に囲まれた造り。棚湯と大黒部は男女入れ替え制で、入浴時間は13:00〜翌0:00と5:00〜9:30です。泉質は宇奈月温泉らしい無色透明の弱アルカリ性単純温泉で、肌あたりのやわらかい「美肌の湯」です。

大きな窓の向こうに雪の黒部峡谷が広がるホテルのラウンジ
エントランス階のラウンジ。大窓がそのまま峡谷に向いている

浴場まで行かずとも、館内に入った時点で景色が始まっています。ラウンジの大窓は谷に正対していて、冬は真っ白な斜面と黒部川の暗い水面のコントラストが一枚の絵のように収まります。宇奈月温泉には峡谷を望む宿が何軒もあるので、予約時は「どちら側の部屋か」を確認しておくと満足度が上がります。

アクセスの注意:新幹線の黒部宇奈月温泉駅との間を結んでいた送迎シャトルバスは2022年2月28日で廃止されています。新幹線で向かう場合は、駅前に隣接する富山地方鉄道・新黒部駅から宇奈月温泉駅まで電車で約25分、そこから徒歩です。車の場合は宿の駐車場が使え、EV用の200Vコンセント付きスペースも用意されています。

宿のビュッフェで並ぶ富山の郷土食

夕食は北陸・富山の食材を並べた和洋ビュッフェで、目の前で仕上げるライブキッチンもあります。訪れた冬の日には、富山らしい料理がひと通り顔をそろえていました。

  • 富山おでん:出汁のおでんにとろろ昆布をのせて食べるのが富山流。昆布の消費量が多い富山ならではの食べ方で、汁を吸った昆布のとろみが加わります
  • ほたるいかの沖漬け:富山湾を代表する春の味覚ホタルイカを漬け込んだ珍味。漁は春に限られますが、沖漬けは加工品として通年出会えます
  • 鯖の押しずし:酢締めの鯖を酢飯にのせて押した保存食。ますのすしと並ぶ富山の押し寿司の定番です
ビュッフェ会場に置かれた富山ブラックラーメンの説明ボード
ビュッフェの富山ブラックラーメンのコーナー。由来の解説も添えられていた

もう一品、富山を名乗る料理として外せないのが富山ブラックラーメンです。戦後の復興期、肉体労働者の塩分補給を兼ねて濃口醤油を煮詰めた黒いスープが生まれたのが始まりとされ、ご飯と合わせる前提の塩気の強さが特徴です。宿のビュッフェでは小ぶりの器で提供されるので、他の料理と一緒に少しずつ試せます。富山市内の専門店で食べる本格派とは別物として、旅の入口に味わうにはちょうどよい濃さです。

宿選びから始めるなら宇奈月温泉の宿を眺めて、峡谷側の部屋や展望風呂の有無で絞り込むとよいでしょう。

黒部市の観光モデルコース

黒部市の観光スポットは広範囲にわたるため、エリアを絞って効率よく回るのがポイントです。ここでは、おすすめのモデルコースをご紹介します。

黒部・宇奈月1泊2日モデルコース

黒部・宇奈月1泊2日観光モデルコースでは、黒部峡谷トロッコ電車と宇奈月温泉を中心に、黒部市の魅力を凝縮して楽しめるプランを詳しく紹介しています。1日目は宇奈月温泉からトロッコ電車で欅平へ向かい、峡谷の絶景と秘湯を満喫。宇奈月温泉に戻って名湯と地元グルメを堪能します。2日目は黒部宇奈月キャニオンルート(2026年10月2日始動・ツアー商品のみ)で黒部ダムへ抜け、立山黒部アルペンルートで室堂や称名滝へと足を延ばすこともできます。時間に余裕があれば、生地の清水めぐりを組み合わせて、山と海の両方を楽しむ旅程も可能です。

そのほかの北陸モデルコースでは、金沢や能登を組み合わせた2泊3日の周遊プランも紹介していますので、黒部市を含めた北陸旅行全体の計画にお役立てください。

黒部市へのアクセス

アクセス

電車(東京から)北陸新幹線「はくたか」で東京駅から黒部宇奈月温泉駅まで約2時間20分
電車(金沢から)北陸新幹線で金沢駅から黒部宇奈月温泉駅まで約40分
電車(宇奈月温泉へ)黒部宇奈月温泉駅前に隣接する富山地方鉄道・新黒部駅から宇奈月温泉駅まで乗り換えなしで約25分
黒部峡谷トロッコの宇奈月駅へ富山地方鉄道・宇奈月温泉駅で下車し徒歩約5分。東京から乗り継いで約3時間、名古屋から約3時間10分、大阪から約3時間30分。乗車手続きがあるため発車の約20分前までに到着を
車(東京方面から)上信越自動車道・北陸自動車道経由で約5時間。最寄りのインターチェンジは北陸自動車道・黒部IC
車(名古屋方面から)東海北陸自動車道・北陸自動車道経由で約4時間30分
車(黒部ICから)北陸自動車道・黒部ICから黒部峡谷鉄道の宇奈月駅まで約20分
駐車場(トロッコ)宇奈月駅前に普通車約350台・バス約15台収容の有料駐車場(タイムズ黒部峡谷トロッコ電車駐車場ほか)。乗用車は最初の6時間1,000円・24時間最大1,500円、バス2,000円/当日1回、バイク500円/当日1回。GW・お盆・紅葉期の土日祝は駐車場と周辺道路が混雑します
飛行機羽田空港からの便が就航する富山きときと空港を利用。空港から富山駅までバスで約25分、富山駅から黒部宇奈月温泉駅まで新幹線で約15分
駐車場黒部ダムへ車で向かう場合は、長野県側の扇沢駐車場を利用するのが便利

周辺観光地への移動
黒部市を拠点に、富山県内の観光スポットへのアクセスも良好です。富山市中心部へは新幹線で約15分、魚津市の蜃気楼展望スポットや埋没林博物館へは車で約20分です。立山黒部アルペンルートの富山側の起点である立山駅へは、富山地方鉄道で約1時間です。黒部宇奈月キャニオンルートを利用すれば、宇奈月温泉から黒部ダムを経由してアルペンルートへ直接合流することも可能です。

黒部市は、日本一の規模を誇るダムと峡谷の大自然、北陸屈指の温泉、名水が育む食文化、そして素朴な漁港の街歩きと、多彩な魅力が凝縮された観光都市です。季節ごとに異なる表情を見せる黒部峡谷は何度訪れても新しい発見があり、宇奈月温泉の湯は旅の疲れを心地よく癒してくれます。キャニオンルートの始動で周遊の幅が広がるこれから、ぜひ黒部市を訪れて、山・峡谷・温泉・海のすべてを体感してみてください。

黒部市観光のよくある質問

黒部峡谷トロッコ電車の料金・運行区間・予約は?
2026年は9月30日まで宇奈月〜猫又の折返し運行(猫又〜欅平は運休)、10月1日以降に宇奈月〜欅平の全線運行となる予定です。公式運賃の目安は、〜9/30が宇奈月⇔猫又・往復大人2,820円、10/1〜が宇奈月〜欅平・片道大人2,480円(子供半額)。リラックス客車は別途車両券が必要です。リラックス客車の車両券は1回600円です。予約は乗車日の3か月前から前日15:00まで受け付けており、10月1日〜11月30日の欅平行きは電話予約のみ(Webサイトからは予約できません/0765-62-1011)、黒薙・鐘釣行きはWebまたは電話で予約できます。紅葉期は早期に埋まります。最新の区間・運賃は黒部峡谷鉄道の公式サイトで確認してください。
宇奈月温泉の日帰り入浴はできますか?
できます。公共浴場の「宇奈月温泉総湯 湯めどころ宇奈月」は大人(高校生以上)510円・小中学生250円・小学生未満無料。営業時間は9:00〜22:00(最終受付21:00)、定休日は毎月第4火曜日です(臨時休業あり)。旅館の日帰りプランもあり、料金は施設ごとに異なります。トロッコ乗車後に温泉で汗を流す組み合わせが人気です。
黒部ダムへのアクセスと見どころは?
黒部ダムは立山黒部アルペンルート上の日本有数のアーチ式ダムで、夏から秋にかけて観光放水が行われます(2026年は6月26日〜10月15日)。所在地は黒部市ではなく富山県中新川郡立山町です。長野側は扇沢から関電トンネル電気バス、富山側は立山駅〜室堂経由が代表ルートです。宇奈月温泉側からは黒部宇奈月キャニオンルート(季節運行)でダム方面へ向かう選択肢もあります。展望台周辺の見学は基本無料ですが、アクセス経路ごとに運賃がかかるため、行程と営業日を事前に確認してください。
黒部市へのアクセスはどうすればよいですか?
北陸新幹線「黒部宇奈月温泉駅」が玄関口です。駅から富山地方鉄道に乗り換え、宇奈月温泉駅まで約25〜35分。黒部峡谷鉄道の宇奈月駅は地鉄・宇奈月温泉駅から徒歩約5分です。車なら北陸自動車道・黒部ICから宇奈月駅まで約20分で、駅前に普通車約350台の有料駐車場があります。金沢・富山からも新幹線でアクセスしやすく、日帰りでも回りやすい配置です。
冬の宇奈月温泉は楽しめますか?トロッコは走っていますか?
黒部峡谷トロッコ電車は冬季運休で、2026年の運行期間は4月20日〜11月30日です。12月から4月上旬はトロッコに乗れませんが、雪に覆われた峡谷そのものは冬ならではの見どころです。ただし山彦橋を渡るやまびこ遊歩道は冬季閉鎖(例年の通行可能期間は4月下旬〜11月末頃)のため、冬は温泉街の高台や峡谷に面した宿の窓、日帰り温泉から眺めるかたちになります。日帰り入浴の「湯めどころ宇奈月」は通年営業(大人510円、9:00〜22:00・最終受付21:00、毎月第4火曜休)です。

写真クレジット:
宇奈月温泉と黒部峡谷 — 掬茶(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
上記以外の写真は編集部撮影

accommodation
宇奈月温泉の宿を楽天トラベルで探す
楽天トラベルで旅行プランを探すRakuten Travel
SHARE𝕏 投稿LINE
わっか北陸編集部
HOKURIKU TRAVEL GUIDE
石川・富山・福井の北陸3県を専門に取材する観光メディア「わっか北陸」の編集部。地元ライターによる現地取材と最新情報をもとに、旅行者に役立つガイドを発信しています。運営者情報・編集方針はこちら →