
黒部峡谷は日本最深のV字谷として知られる大自然の秘境ですが、その険しい谷底には一般の交通手段では簡単に辿り着けない秘湯が点在しています。黒部峡谷トロッコ電車に揺られて奥深い峡谷へ分け入ると、黒薙温泉・鐘釣温泉・名剣温泉といった個性豊かな温泉が旅人を迎えてくれます。峡谷の絶景と野趣あふれる露天風呂を同時に楽しめる、まさに温泉好きの聖地といえるエリアです。
【2026年運行】黒部峡谷トロッコは2026年9月30日まで宇奈月〜猫又の折返し運行で、鐘釣駅・欅平駅では下車できません。この間は鐘釣河原の露天風呂・万年雪展望台・名剣温泉・祖母谷温泉へは行けません。宇奈月〜欅平の全線再開は10月1日からで、乗降できるのは宇奈月・黒薙・鐘釣・欅平の4駅(猫又駅での乗降は不可)。再開後もしばらく欅平は駅舎とビジターセンター以外へ進めません。最新は黒部峡谷鉄道公式で確認してください。
目次
黒部峡谷の温泉の特徴 — なぜ秘湯が多いのか
黒部峡谷に秘湯が多い理由は、その地質にあります。北アルプスの火山活動と地殻変動によって地下深くにマグマ溜まりが存在し、花崗岩の割れ目を通って高温の温泉水が湧き出しています。黒部峡谷の温泉は総じて泉温が高く、無色透明のアルカリ性単純泉が多いのが特徴です。峡谷の深いV字谷のため道路の整備が困難で、トロッコ電車か徒歩でしかアクセスできない温泉が多く、これが「秘湯」としての魅力を高めています。
黒薙温泉 — 宇奈月温泉の源泉を持つ黒部峡谷最古の秘湯

黒薙温泉は黒部峡谷のなかでも特に歴史が古く、開湯は江戸時代中期にまで遡ります。トロッコ電車の黒薙駅で下車し、峡谷沿いの山道を徒歩約30分歩くと、深い谷底に一軒宿の黒薙温泉旅館が現れます。ここは実は宇奈月温泉の源泉地でもあり、河原の至るところに90度を超える源泉が湧き、毎分2,000リットルの豊富な湧出量を誇ります。宇奈月温泉街へは約7kmの引湯管で温泉が送られています。
黒薙温泉の名物は、黒部川の支流・黒薙川の渓流沿いに設けられた混浴の大露天風呂「源泉(いずみ)」です。切り立った岩壁と深い緑に囲まれた野趣あふれる入浴体験ができます。旅館の下流側には女性専用の露天風呂「天女の湯」もあり、高台から黒薙川を見下ろす峡谷美を楽しめます。泉質は弱アルカリ性単純温泉(低張性高温泉)です。2026年の営業期間は5月1日から11月24日午前中までで、7月8日と10月7日は休館日。日帰り入浴は大人1,100円・小人500円で受付は9:00〜15:15(現金のみ)、冬季は閉鎖されます。
鐘釣温泉 — 黒部峡谷の河原に湧く天然の露天風呂
鐘釣温泉はトロッコ電車の鐘釣駅から徒歩約5分、黒部川の河原に自然に湧き出す温泉です。河原を掘ると湯が湧き出てくるので、石で囲って自分だけの露天風呂(足湯)を作り、黒部川のせせらぎを聞きながら浸かるという、まさに「ありのままの自然の温泉」を体験できます。この河原露天風呂の利用は無料で、富山県の観光案内では利用時間8:30〜16:00、5月上旬〜11月上旬のみの営業とされています(水着・タオルの持参が前提)。
鐘釣駅周辺には一軒宿の「鐘釣温泉旅館」と「鐘釣美山荘」があります。鐘釣温泉旅館は日帰り客向けには喫茶部門のみの営業で営業時間も不定のため、日帰り入浴を目当てにする場合は事前に問い合わせてください。河原の温泉は黒部川本流の水位が高いときは利用できません。なお黒部市の案内(令和8年5月18日現在)では、鐘釣河原・鐘釣河原露天風呂・万年雪展望台はいずれも「通行不可」です。全線運行が再開する10月1日以降の状況は、黒部峡谷鉄道と黒部市の最新情報で必ず確認してください。
名剣温泉 — 黒部峡谷の終着駅・欅平からの秘湯散策
名剣温泉はトロッコ電車の終着駅・欅平から徒歩約20分の場所にある一軒宿の秘湯です。黒部川沿いの遊歩道を歩いた先に、断崖絶壁に張り付くように建つ旅館が現れます。露天風呂からは黒部峡谷の雄大な景色を一望でき、紅葉シーズンには燃えるような赤や黄色に染まった峡谷を眺めながらの入浴が格別です。
泉質は単純硫黄泉で、硫黄の香りがほのかに漂う白濁した湯が特徴です。平常時は日帰り入浴も受け付けており、宿泊すれば夕暮れから朝にかけての峡谷の静寂と星空を独り占めできます。ただし2026年度の営業について、名剣温泉の公式サイトは「現時点では未定」と案内しています。あわせて欅平は復旧工事のため、全線運行が再開する10月1日以降も当面のあいだ駅舎と欅平ビジターセンター以外へ立ち入れず、名剣温泉・人喰岩・奥鐘橋方面へは進めません(猿飛遊歩道も通行不可)。訪問の可否は名剣温泉(0765-52-1355)と黒部峡谷鉄道の案内で確認してください。
祖母谷温泉 — 黒部峡谷の最奥の秘湯と上級者向けルート
祖母谷(ばばだに)温泉は欅平からさらに約1時間歩いた先にある、黒部峡谷の最奥部に位置する秘湯です。祖母谷川と黒部川の合流点付近に一軒宿があり、河原からは高温の湯が噴き出しています。川の水と混ぜて適温にしながら入る河原の野天風呂は、まさに秘境中の秘境。登山経験者や健脚向けのスポットですが、その分だけ達成感と感動はひとしおです。
祖母谷温泉は黒部宇奈月キャニオンルートの途中にも位置しており、黒部峡谷の奥深さを体感できる場所です。ただし黒部市の案内(令和8年5月18日現在)では、欅平・祖母谷周辺の宿泊施設は営業していません。祖母谷唐松岳線は令和8年4月1日から通行止め、欅平白馬線(祖母谷温泉〜白馬山荘)も利用自粛が要請されています。再開の見通しは黒部市の最新情報で確認してください。
黒部峡谷の秘湯めぐり — 入浴時の注意点とアクセス
秘湯へのアクセスと開いている時期
- 共通の起点:すべての温泉へのアクセスは黒部峡谷トロッコ電車が起点になります
- 運行期間:例年4月下旬から11月末まで。冬季は全区間運休となるため、温泉も冬季閉鎖されます。2026年は9月30日まで宇奈月〜猫又の折返し運行で、全線再開は10月1日から
- 河原の露天風呂:鐘釣の河原露天風呂は無料(利用時間8:30〜16:00、5月上旬〜11月上旬)ですが、増水時は利用できません。2026年8月時点では鐘釣河原・祖母谷とも通行不可です
- 駅から先:黒薙温泉は黒薙駅から徒歩約30分、名剣温泉は欅平駅から徒歩約20分の山道です
服装は山歩きに適した靴と動きやすい服装が必須です。黒薙温泉や名剣温泉へは駅から山道を歩くため、サンダルやヒールは避けてください。タオルや着替えの持参も忘れずに。黒薙温泉の大露天風呂「源泉」は混浴ですが、女性専用の露天風呂「天女の湯」も別にあります(一部時間帯は男性専用)。
黒部峡谷の秘湯周辺の見どころ
黒部峡谷の秘湯を訪れるなら、周辺の観光スポットも合わせて楽しみましょう。宇奈月温泉はトロッコ電車の出発駅があり、温泉街に宿泊して峡谷観光の拠点とするのが便利です。足湯や温泉街の散策も楽しめます。黒部ダムは立山側からのアクセスとなりますが、黒部峡谷の水を堰き止めた日本最大級のアーチ式ダムで、観光放水は迫力満点です。黒部宇奈月キャニオンルートは、かつて関電の工事用ルートだった秘境を巡る新しい観光ルートで、2026年10月2日にツアーとして始動します(旅行会社の商品のみ・個人での通行は不可)。黒部峡谷の秘湯と合わせて、富山の奥深い自然を満喫してください。
黒部峡谷の秘湯のよくある質問
黒部峡谷の秘湯(黒薙温泉・鐘釣温泉・名剣温泉)について教えてください。
黒薙温泉(宇奈月の湯元)へはどうやって行けますか?
鐘釣温泉の河原野天風呂とはどんな温泉ですか?
名剣温泉への行き方と日帰り入浴はできますか?
写真クレジット:
黒薙温泉の風景 — Traveller(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
黒薙温泉の天女の湯 — Soica2001(Wikimedia Commons / Public domain)














