【2026年8月時点】能登地方は令和6年能登半島地震からの復旧途上にあり、施設の営業時間・料金・休業の状況が変わることがあります。沿岸は最大4メートル程度隆起し、狼煙・蛸島・高倉・鹿磯・富来・石崎などの漁港では2026年時点でも復旧工事が続いています。漁業体験は漁の状況・海況・受け入れ体制によって実施可否が変わるため、必ず事前に主催者へ直接ご確認ください。
能登半島は古くから豊かな漁場に恵まれ、大型定置網(大敷網)が発達してきた地域です。富山湾と日本海に囲まれたこの半島では、ブリやアジ、イカなど四季折々の魚介が水揚げされ、漁業は地域の暮らしと文化を支えてきました。七尾市では、早朝の漁船に乗って定置網漁を間近で体験できるプログラムが用意されており、能登の漁業文化に触れる貴重な機会となっています。
目次
能登半島の定置網漁の歴史と伝統
能登半島における定置網漁の歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。特に「大敷網(おおしきあみ)」と呼ばれる大規模な定置網は、能登の漁師たちが長年にわたって改良を重ねてきた伝統的な漁法です。大敷網は沿岸に設置された巨大な網で、回遊する魚群を効率よく捕獲する仕組みになっています。
この漁法の特徴は、魚を追い回すのではなく、魚の習性を利用して自然に網へ誘導する点にあります。そのため、必要以上の漁獲を避けることができ、持続可能な漁業として世界的にも評価されています。能登の定置網漁は、世界農業遺産「能登の里山里海」の重要な構成要素としても認められています。
能登半島の各漁港では、それぞれの地域の海況や魚種に合わせた独自の定置網が発展しました。七尾湾沿岸や外浦の各漁港では、今なお伝統的な漁法を守りながら、現代の技術も取り入れた定置網漁が営まれています。
能登の定置網漁で獲れる四季の魚介
能登半島の定置網漁では、季節ごとにさまざまな魚介類が水揚げされます。春にはサワラやメバル、初夏にはアジやイワシが豊富に獲れます。夏場にはスルメイカやアオリイカが最盛期を迎え、秋から冬にかけてはブリやカニなどの高級魚介が水揚げされます。
特に冬の能登は「寒ブリ」の名産地として有名です。定置網で水揚げされたばかりの寒ブリは脂の乗りが格別で、刺身や照り焼き、ぶりしゃぶなど、さまざまな料理で楽しまれています。能登の新鮮な魚介を味わうことも、漁業体験の大きな魅力のひとつです。

能登の定置網漁体験プログラムの魅力
能登で定置網漁を体験できる代表的なプログラムが、七尾市中島町の鹿渡島定置(かどしまていち)が受け入れている「定置網体験」です。集合は夜明け前の午前2時40分。出港して約30分で富山湾の定置網のポイントに到着し、水揚げを間近で見学します。網いっぱいにかかった魚が跳ねる光景は圧巻で、午前5時ごろに漁港へ戻って選別を行います。
石川県観光連盟の観光情報によると、コースは「乗船体験コース」3,000円、「選別・魚の捌き方・朝食コース」2,000円、両方を通しで体験する「乗船体験〜朝食コース」5,000円の3種類。全体は午前3時から9時ごろまでで、日曜日と休漁日は休業です。悪天候や時化の場合は中止となります。予約・問い合わせは鹿渡島定置(電話・FAX 0767-58-1350)へ。料金や実施内容は変わることがあるため、申し込み時に必ず最新の条件を確認してください。
選別のあとは、午前7時からとれたての海鮮を使った朝ごはんを味わえます。水揚げされたばかりの魚の味は格別で、漁の現場を見たあとに食べる一皿は特別な体験になります。
七尾湾・能登島周辺の漁業体験スポット
七尾湾は穏やかな内湾で、外海に比べて波が立ちにくい海域です。定置網体験の拠点となる七尾市中島町は、この七尾湾の西岸に位置します。ただし体験そのものは富山湾側の漁場に向かうため、船に弱い方は事前に主催者へ相談しておくと安心です。
能登島にも漁業や海に親しむ体験の受け入れがありますが、震災の影響で内容や受け入れ状況が変わっています。能登島の体験プログラムを探す場合は、ななお・なかのとDMO(旧・能登島観光協会/電話 0767-62-0900)に問い合わせるのが確実です。能登島大橋を渡ってアクセスでき、体験と合わせて島内の観光スポットを巡ることもできます。

能登の漁師との交流と漁村文化
漁業体験の醍醐味は、魚を獲ることだけではありません。地元の漁師さんとの交流を通じて、能登の漁村文化や暮らしぶりを知ることができるのも大きな魅力です。漁師たちは海の知識に精通しており、魚の見分け方や海の天気の読み方など、普段は聞けない話を教えてくれます。
能登の漁師町には、古くから受け継がれてきた独自の文化や風習があります。豊漁を祈願する祭りや、漁師飯と呼ばれる素朴で豪快な料理など、海とともに生きる人々の暮らしには魅力が詰まっています。漁業体験を通じて、こうした漁村文化の一端に触れることができます。
能登には漁師の家に泊まる「漁家民泊」の取り組みもありましたが、震災後は受け入れの状況が大きく変わっています。宿泊をともなう体験を検討する場合は、各市町の観光担当窓口や地域のDMOに現在の受け入れ先を確認してください。
能登の定置網漁体験の予約方法と注意点
定置網体験の予約は、実施している事業者(鹿渡島定置なら電話・FAX 0767-58-1350)へ直接申し込みます。人数や実施日には限りがあるため、日程が決まったら早めに連絡しておくと安心です。悪天候や時化のほか、休漁日にあたる場合も中止となるため、予備日を設けておくとよいでしょう。
服装は動きやすく、濡れてもよい格好が基本です。長靴やライフジャケットは漁港で貸し出してくれる場合がほとんどですが、事前に確認しておきましょう。早朝は冷え込むことが多いため、夏場でも上着を1枚持参することをおすすめします。船上では日差しが強いため、帽子や日焼け止めも必需品です。
水揚げ体験と能登の新鮮な魚介料理
定置網体験のハイライトのひとつが、水揚げした魚をその場で味わう時間です。鹿渡島定置の「選別・魚の捌き方・朝食コース」(2,000円)では、選別作業に加えて魚の捌き方を教わることができ、そのあとに朝食で海鮮を味わえます。乗船せずにこのコースだけを申し込むことも可能です。
また、能登半島には新鮮な魚介を楽しめる食堂や市場が各地に点在しています。七尾市の能登食祭市場も震災で被災し、復旧を進めながら営業を続けてきました。店舗ごとに営業状況が異なることがあるため、立ち寄る前に公式サイトや電話(0767-52-7071)で確認しておくと確実です。
能登の定置網漁体験周辺の見どころ
漁業体験と合わせて訪れたいスポットが、能登半島には数多くあります。能登の漁師町では、昔ながらの港町の風情を感じながら散策を楽しめます。新鮮な海産物を求めるなら、七尾湾に面した能登食祭市場へ。営業している店舗で能登の旬の味覚を楽しめます。
また、漁業体験の拠点となる七尾湾に浮かぶ能登島も見逃せません。のとじま水族館や能登島ガラス美術館など、家族で楽しめるスポットがあります。いずれも震災の影響で一部の展示・施設が休止していることがあるため、訪問前に各施設の公式サイトで開館状況を確認してください。能登の豊かな海の恵みと漁業文化に触れる旅を、ぜひ体験してみてください。
能登の定置網漁・漁業体験のよくある質問
能登の定置網漁(大敷網)とはどんな漁法ですか?
能登で早朝の定置網漁体験はできますか?
能登の主な漁港と鮮魚に触れられる場所は?
体験に参加するときの服装・注意点は?
写真クレジット:
日本の定置網漁の様子 — CT-May(Wikimedia Commons / CC0)
定置網で水揚げされるブリの漁獲風景 — CT-May(Wikimedia Commons / CC0)









