兼六園の雪吊りは、雪の重みから枝を守るために縄を放射状に張る北陸の冬支度です。作業は毎年11月1日に唐崎松から始まり12月中旬まで続き、雪吊りそのものは3月中旬まで見られます。この記事では、いつ行けば何が見られるのか、ライトアップの日程、兼六園以外で雪吊りに出会える場所までを、金沢の冬の旅程を組める形で整理しました。
目次
兼六園の雪吊りとは — 11月1日に唐崎松から始まる冬支度
雪吊り(ゆきづり)は、湿って重い北陸の雪から樹木の枝を守るための伝統的な技法です。松のそばに芯柱を立て、その先端から枝先へ縄を放射状に張って枝を吊り上げます。円錐形に広がる縄の姿そのものが美しく、雪が積もる前から金沢の冬の風景をつくります。

兼六園で用いられる代表的な手法は「りんご吊り」と呼ばれます。金沢市の解説によれば、この名は長町の武家屋敷の敷地にあったりんごや柿の果樹で、実の重みによる枝折れを防ぐために縄で枝を吊ったことに由来し、明治後期以降に雪吊りへ取り入れられました。庭木を守る技術というより、もとは果樹を守る知恵だったわけです。
作業は毎年11月1日、園内で最も枝ぶりが見事とされる唐崎松から始まります。ここから12月中旬にかけて園内各所へ広がっていく段取りで、重機を使わない手作業で進むため、時期を選べば職人が縄を張る場面そのものを見学できます。
兼六園の雪吊りが見られる時期 — 11月1日から3月中旬まで
「雪吊り=雪景色」と思って真冬だけを狙うと、選択肢を狭めます。縄が張られている期間は11月1日から3月中旬までと長く、時期によって見えるものがはっきり変わります。
| 時期 | 見られるもの | 向いている人 |
|---|---|---|
| 11月上旬〜中旬 | 唐崎松から始まる作業そのもの。紅葉と雪吊りが重なる | 職人の手仕事を見たい/紅葉と両方狙いたい |
| 11月下旬〜12月中旬 | 園内各所へ広がる作業の続き。縄は増えていくが積雪はまだ少ない | 混雑を避けて縄の造形を見たい |
| 12月下旬〜2月 | 雪をまとった雪吊り。2月にはライトアップも | 定番の雪景色を撮りたい |
| 3月上旬〜中旬 | 雪吊りの最終期。取り外し作業に入ると順次姿を消す | 春の旅程で立ち寄りたい |

金沢の市街地は雪が積もっても解けるのが早く、「行けば必ず雪景色」ではありません。雪の兼六園を確実に狙うなら1月下旬から2月上旬が本命ですが、それでも空振りはあります。逆に11月なら、雪はなくとも縄の造形と紅葉という別の見どころが確実に手に入ります。日程が動かせないなら、雪に賭けるより時期ごとの見どころを取りに行くほうが外しません。
兼六園の雪吊りの見どころ — 唐崎松と徽軫灯籠
園内で最初に雪吊りが施される唐崎松は、13代藩主・前田斉泰が琵琶湖畔の唐崎から種を取り寄せて育てた黒松です。霞ヶ池のほとりで水面に向かって大きく枝を伸ばしており、複数の芯柱を立てて何重にも縄を張るその姿は、兼六園の雪吊りの代名詞として知られています。

もう一つの定番が徽軫灯籠(ことじとうろう)です。霞ヶ池のほとりに立つ二脚の石灯籠で、笠に雪が積もった姿と背後の雪吊りを一枚に収める構図が、冬の兼六園を象徴する光景になります。撮影目的なら、人が少なく光がやわらかい早朝が有利です。兼六園は時期により早朝開園(無料)を実施しており、蓮池門口と随身坂口から入園できます。
雪吊りのライトアップ — 金沢城・兼六園四季物語 冬の段
冬の兼六園でもっとも狙う価値があるのが、夜間ライトアップ「金沢城・兼六園四季物語 冬の段」です。雪吊りのほか徽軫灯籠・唐崎松・噴水が照らされ、縄が光を受けて闇に白く浮かび上がります。金沢城公園側では石川門・玉泉院丸庭園・河北門・菱櫓・鼠多門などがライトアップされ、両方を歩いて回れます。
| 2027年の開催日 | 2月6日(土)〜10日(水)・13日(土)・20日(土)・27日(土) |
|---|---|
| 時間 | 18:00〜21:00(最終入園20:45・閉門21:00) |
| 料金 | ライトアップ時間中は入園無料(日中の入園は有料) |
| 対象 | 兼六園:雪吊り・徽軫灯籠・唐崎松・噴水/金沢城公園:石川門・玉泉院丸庭園・河北門・菱櫓・鼠多門ほか |
ライトアップは天候などにより中止されることがあり、過去には実施が見送られた回もあります。日程も年ごとに変わるため、出発前に石川県の観光公式サイトか金沢城・兼六園管理事務所(076-234-3800)で当年の案内を確認してください。夜の金沢をまとめて回るなら、金沢の夜景・ライトアップめぐりも参考になります。
兼六園以外で雪吊りが見られる場所 — 金沢駅と長町武家屋敷
雪吊りは兼六園だけのものではありません。金沢市によれば、石川県造園業協同組合金沢支部の支部員が毎年11月以降、金沢駅東口や長町武家屋敷の敷地内でも雪吊りを施工しています。入園料も開園時間も関係なく、街を歩くだけで出会えるのが強みです。
- 金沢駅東口:鼓門ともてなしドームの前に立つ黒松に雪吊りが施されます。到着した瞬間に金沢の冬が始まる場所で、荷物を持ったままでも見られます
- 長町武家屋敷跡:「りんご吊り」の名の由来になった土地。冬は土塀を雪や凍結から守るこも掛けも施され、雪吊りと合わせて武家屋敷らしい冬の景色になります
- 市内各所:企業の敷地や一般の家庭でも雪吊りは広く行われており、金沢の冬の街並みそのものが見どころです
兼六園の雪吊りが「見に行くもの」だとすれば、こちらは「歩いていると出会うもの」です。金沢駅から兼六園、金沢城公園を経て長町まで歩けば、同じ技法が庭園・城郭・町家それぞれの景色にどう馴染むかを見比べられます。
兼六園の入園料・開園時間・アクセス
| 開園時間 | 10月16日〜2月末日 8:00〜17:00(最終入園16:30)/3月1日〜10月15日 7:00〜18:00(最終入園17:30) |
|---|---|
| 入園料 | 大人(18歳以上)320円・小人(6〜18歳未満)100円(団体は250円・80円) |
| 免除 | 65歳以上は年齢を証明できるものの提示で無料/石川県民は毎週土・日曜が無料(県民証明の提示) |
| 早朝開園 | 無料。蓮池門口・随身坂口のみ |
| アクセス(バス) | JR金沢駅から北鉄バス「兼六園下・金沢城」下車 徒歩約5分。城下まち金沢周遊バスも利用可 |
| アクセス(車) | 北陸自動車道 金沢西IC・金沢東ICから約30分。周辺に県営・市営の有料駐車場 |
| 問い合わせ | 石川県金沢城・兼六園管理事務所 076-234-3800(ガイドは兼六園観光協会 076-221-6453) |
冬期は17:00閉園(最終入園16:30)と日中が短く、日没も早いので、雪吊りを明るいうちに見るなら午前から昼過ぎに動くのが安全です。ライトアップ期間中は準備のため一時閉園を挟むことがあるため、夕方に合わせて訪れる場合は当日の案内を確認してください。足元は雪や凍結で滑りやすくなります。滑りにくい靴と防寒具は必須です。
雪吊りと合わせて金沢の冬をどう組み立てるかは北陸の冬旅ガイドに、紅葉と雪吊りが重なる11月の回り方は秋の金沢観光ガイドにまとめています。
兼六園の雪吊りのよくある質問
兼六園の雪吊りはいつから見られますか?
雪をまとった雪吊りを見るならいつ行くのがよいですか?
雪吊りのライトアップはいつ開催されますか。料金は?
冬の兼六園の開園時間と入園料は?
兼六園以外で雪吊りが見られる場所はありますか?
雪吊りを施す作業そのものを見学できますか?
写真クレジット:
雪化粧した徽軫灯籠と霞ヶ池(アイキャッチ) — tab2_dawa(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
兼六園の雪吊り(りんご吊り) — そらみみ(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
11月に完成した雪吊りと水面への映り込み — 663highland(Wikimedia Commons / CC BY 2.5)












