石川県立図書館は、2022年7月に金沢市小立野へ移転オープンした愛称「百万石ビブリオバウム」。すり鉢状の円形大閲覧空間を約30万冊の開架書架が360度取り囲む建築が話題を呼び、開館1年で来館者100万人を突破しました。入館無料・写真撮影可・おしゃべりもできる図書館で、兼六園から約2kmと金沢観光の合間に立ち寄れます。

石川県立図書館(百万石ビブリオバウム)とは

石川県立図書館は、金沢市本多町にあった旧館(1966年開館)が老朽化と手狭さを抱えていたことから、金沢大学工学部の跡地である小立野へ移転し、2022年7月16日に新館として開館しました。設計を手がけたのは、こどもの遊環境の研究でも知られる建築家・仙田満率いる環境デザイン研究所です。

愛称の「百万石ビブリオバウム」は、加賀百万石の「百万石」に、本を意味する「ビブリオ」と樹木を意味する「バウム」を組み合わせたもの。年輪のように知が重なり広がっていく場所、というコンセプトが名前に込められています。旧館の閲覧席がわずか73席だったのに対し、新館は約500席。開館から1年で来館者は100万人を超え、旧館時代の約4倍という利用実績を記録しました。

開館2022年7月16日(旧館は1966年開館・2021年10月31日閉館)
設計環境デザイン研究所(仙田満)
規模地上4階・地下1階/延床面積 約22,721平方メートル
蔵書開架 約30万冊(総蔵書数は約102万冊/2023年3月時点)
閲覧席約500席
入館料無料(県外の方も自由に利用できます)

石川県立図書館の見どころ|円形劇場のような大閲覧空間

石川県立図書館の代名詞が、閲覧エリアの中心を占める天井高約15メートルの大閲覧空間です。すり鉢状の円形劇場のような形をしていて、1階から3階までが段状の通路とスロープでつながり、そのすべての壁面が書架で埋め尽くされています。どこに立っても視界の360度が本という、写真では伝わりきらないスケール感がここの魅力です。

特に眺めがよいのが、大空間を横切るように架けられた3階のブリッジと、4階をぐるりと一周するリング。ブリッジからは段状に重なる書架を斜め上から見下ろせ、リングからは大空間全体を俯瞰できます。同じ空間でも高さと角度でまったく表情が変わるので、下から上へ一巡りしてみてください。

  • 1階から見上げる — 段状の書架が層になって迫ってくる、いちばんダイナミックな眺め
  • 3階ブリッジ — 大空間の真ん中に立てる唯一の場所。斜めに重なる書架の連なりが美しい
  • 4階リング — 大空間を一周しながら本を選べる、俯瞰と読書を兼ねたスペース
  • スロープ — 段差なく上下できるので、ベビーカーや車椅子でも大空間を回遊できる

本と出会う12のテーマ|石川県立図書館ならではの本の並べ方

石川県立図書館がユニークなのは、開架の約30万冊が図書分類番号順ではなく「本と出会う12のテーマ」で構成されている点です。目的の一冊を探しに来た人だけでなく、何を読みたいか決まっていない人でも、歩いているうちに気になる本に行き当たる。そんな回遊のための書架設計になっています。

1階のエントランス付近にある「本との出会いの窓」は、窓の形をした書架とデジタルサイネージで12のテーマの入口を示すコーナー。ここでテーマの全体像をつかんでから上の階へ向かうと、館内を効率よく歩けます。石川ゆかりの資料を集めた「石川コレクション」も独立して設けられており、加賀・能登の歴史や文化を調べたい旅行者にはこちらが目当てになるでしょう。3階の調べものデスクではレファレンス(調査相談)も受け付けています。

文化交流エリア|だんだん広場・カフェ・体験スペース

石川県立図書館は「閲覧エリア」と「文化交流エリア」の2つで構成されています。文化交流エリアは飲食が自由で、本を読む以外の目的でも過ごせる空間です。閉館時間も閲覧エリアより遅く、平日は21時まで開いています。

  • だんだん広場 — 約140席の階段状スペース。プロジェクターと音響設備を備え、イベントのない日は読書や休憩に開放されている
  • カフェ HUM&Go# — 石川県内に複数店舗を構える人気カフェ。小上がり席やテラス席があり、テイクアウトも可能(詳しくは後述
  • ブックリウム — デジタル映像で本の世界を体験できる空間
  • モノづくり体験スペース — 3Dプリンターやレーザーカッターを備え、ワークショップが開かれる
  • 食文化体験スペース — IH調理器と60インチディスプレイを備えたキッチン付きの部屋
  • 研修室・ラーニングスペース — 最大140人収容の研修室のほか、グループ学習向けの席も用意

併設カフェ「HUM&Go#」|ほうじ茶ソフトと小上がりのある一角

文化交流エリアに入っているのが、金沢を中心に店舗を展開するカフェHUM&Go#(ハムアンドゴー)の石川県立図書館カフェです。図書館の建築と同じく県産材を使った明るい内装で、コーヒーやスイーツのほか、カレーやハンバーガーなどの食事メニューも用意されています(フードの提供は11時から)。ここでしか飲めない「図書館ブレンド」もあり、本を1冊持ち込んで過ごす人が多い場所です。

スイーツが充実。ほうじ茶ソフトは必食

このカフェの楽しみは、なんといってもスイーツ。ケーキやキッシュがショーケースに並び、コーヒーと合わせて頼めます。そのなかでもおすすめしたいのが能登ミルクのソフトクリーム。ミルクやほうじ茶などのフレーバーから選べて、ほうじ茶は香ばしさとミルクのコクが重なる絶品です。歩いて図書館まで来たあとの一服にちょうどよく、量もしっかりあります。

小上がり・窓際・テラス、席の選択肢が広い

カフェとしては珍しく、靴を脱いで上がれる小上がりの席があります。子どもが座り込んでも周囲を気にせず食事ができるので、家族連れにはここが第一候補。キッズメニューも用意されています。ガラス張りの窓に面したゆったりとした椅子の席や、屋外のウッドデッキに広がるテラス席もあり、その日の人数と過ごし方で選べるのがこの店のいいところです。

  • 小上がり席 — 靴を脱いで座れる。子ども連れでも食事しやすい
  • 窓際のゆったり席 — 大きな窓に向かう椅子席。本を読みながら長居できる
  • テラス席 — ウッドデッキに16席。天気のよい日はこちらが気持ちいい
  • カウンター・テーブル席 — 店内は40席。1人でも入りやすい
店名HUM&Go# 石川県立図書館カフェ
営業時間火〜金 9:00〜19:00(L.O. 18:30)/土・日・祝 9:00〜18:00(L.O. 17:30)
フード提供11:00〜
定休日月曜(祝日の場合は翌火曜)。臨時休業は図書館に準ずる
席数店内 40席/テラス 16席
電話076-255-0507
その他一部メニューはテイクアウト可

石川県立図書館の楽しみ方|おしゃべりOK・写真撮影のルール

石川県立図書館は「おしゃべりをしてもよい図書館」を掲げており、静粛を強いられる従来の図書館とは空気が違います。閲覧エリアにはふたの付いた飲み物を持ち込むことができ、文化交流エリアでは飲食も自由。観光で立ち寄って、連れと感想を交わしながら建築を眺めることができます。

写真撮影も、個人で楽しむための撮影であれば申し出は不要です。ただし他の利用者の顔を写さない、フラッシュを使わない、シャッター音などの電子音を鳴らさない、通行の妨げにならない、といったルールを守る必要があります。SNS映えする空間だからこそ、周囲への配慮が前提であることは押さえておきましょう。

  • 雨・雪の日の避難先として — 金沢は雨の多い街。屋内で数時間過ごせる無料スポットとして使い勝手がよい
  • ワーケーションに — Wi-Fiと電源のある席があり、文化交流エリアは平日21時まで利用できる
  • 子ども連れでも — こども向けのエリアがあり、スロープ移動なのでベビーカーでも回遊しやすい
  • 座席予約 — 一部の席は公式サイトの座席予約システムから事前に確保できる

石川県立図書館の利用案内|開館時間・休館日・本の借り方

開館時間(火~金)閲覧エリア 9:00〜19:00/文化交流エリア 9:00〜21:00
開館時間(土・日・祝)閲覧エリア・文化交流エリアとも 9:00〜18:00
休館日月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始および特別整理期間
2026〜2027年の長期休館2026年12月21日〜2027年1月25日(公式サイト告知)
入館料無料
所在地石川県金沢市小立野2丁目43番1号
電話076-223-9565(代表)

2026年12月21日から2027年1月25日までは、年末年始および特別整理期間として長期休館します。冬の金沢旅行に組み込む予定の方は、この期間を避けて日程を立ててください。通常の休館日は月曜(祝日の場合は翌平日)です。

閲覧・見学は誰でも無料でできますが、本を借りるには利用者カードが必要です。カードを作れるのは石川県内に在住・在勤・在学の方、および東海北陸地区(富山県・福井県・岐阜県・愛知県・三重県)にお住まいの方。手続きには運転免許証やマイナンバーカードなど住所と氏名を確認できるものが必要で、公式サイトから仮登録しておくと当日の手続きがスムーズです。北陸3県の方であれば旅行のついでに借りて帰れる、というのは覚えておいて損のないポイントでしょう。

石川県立図書館へのアクセス・駐車場

出発地点交通手段目安
JR金沢駅(東口6番のりば)北鉄バス11・12番系統ほか「石川県立図書館」または「崎浦・県立図書館口」下車約20〜30分(系統による)
兼六園・金沢21世紀美術館徒歩(県道10号を小立野方面へ約2km)約25分
金沢東IC・金沢西IC市街地経由で約20〜30分

駐車場は400台分。入庫後30分は無料で、以降は30分ごとに100円かかりますが、図書館を利用した場合は館内の駐車料割引機で手続きすると3時間まで無料になります。割引機を通し忘れると有料になるので、帰る前に必ず立ち寄ってください。駐車場の利用時間は火〜金が8:30〜21:30、土日祝が8:30〜18:30。休館日は駐車場も使えません(図書返却ポストの利用者向けに臨時駐車場があります)。

兼六園から歩いて訪ねる半日モデルコース

石川県立図書館がある小立野は、兼六園から続く台地の上。金沢の定番スポットと1本の線でつなげられます。徒歩移動を含む半日コースの例です。

9:30
兼六園朝いちばんの静かな時間帯に日本三名園を散策。所要60分ほど。
10:45
金沢城公園石川門から五十間長屋へ。兼六園から徒歩すぐ。
12:00
昼食兼六園周辺で加賀料理や金沢カレーを。
13:30
石川県立図書館県道10号を小立野方面へ約2km・徒歩25分。大閲覧空間・ブリッジ・4階リングを一巡り。
15:00
カフェ HUM&Go# で休憩だんだん広場で本を1冊読む時間に充てても。
16:00
金沢21世紀美術館バスまたは徒歩で戻り、現代建築めぐりで締めくくる。

建築を目的に金沢を歩くなら、シーラカンスK&H設計の金沢海みらい図書館とあわせるプランもおすすめです。市内の図書館を横断して比較したい方は金沢のおすすめ図書館ガイドもご覧ください。

石川県立図書館のよくある質問

石川県立図書館の開館時間と休館日は?
火曜〜金曜は閲覧エリアが9:00〜19:00、文化交流エリアが9:00〜21:00。土・日・祝は両エリアとも9:00〜18:00です。休館日は月曜日(祝日の場合は翌平日)と年末年始・特別整理期間で、2026年度は2026年12月21日〜2027年1月25日が長期休館となります(石川県立図書館公式サイト)。
観光客でも入館できますか。料金は?
入館は無料で、県外の方も自由に見学・閲覧できます。ただし本を借りるための利用者カードを作れるのは、石川県内に在住・在勤・在学の方と、東海北陸地区(富山・福井・岐阜・愛知・三重)にお住まいの方に限られます。
館内で写真を撮ってもいいですか?
個人で楽しむための撮影であれば申し出は不要です。他の利用者の顔を写さない、フラッシュを使わない、電子音を鳴らさない、通行の妨げにならない、といったルールを守って撮影してください。
駐車場はありますか。料金は?
400台分の駐車場があります。入庫後30分は無料、以降30分ごとに100円ですが、図書館を利用した方は館内の駐車料割引機で手続きすると3時間まで無料になります。利用時間は火〜金8:30〜21:30、土日祝8:30〜18:30で、休館日は利用できません。
金沢駅からのアクセス方法は?
JR金沢駅東口6番のりばから北鉄バスの11・12番系統ほかに乗り、「石川県立図書館」または「崎浦・県立図書館口」で下車します。所要時間は系統により約20〜30分です。兼六園・金沢21世紀美術館からは県道10号を小立野方面へ約2km、徒歩25分ほどで歩ける距離です。
併設のカフェはどんなお店ですか。子ども連れでも入れますか?
文化交流エリアに「HUM&Go# 石川県立図書館カフェ」が併設されています。コーヒーやスイーツのほか、カレー・ハンバーガーなどの食事メニューもあり、フードの提供は11時から。靴を脱いで座れる小上がり席とキッズメニューがあるので子ども連れでも利用しやすく、窓際の椅子席やウッドデッキのテラス席(16席)も選べます。営業は火〜金9:00〜19:00、土・日・祝9:00〜18:00、月曜定休(祝日の場合は翌火曜)です(HUM&Go#公式サイト)。
館内でおしゃべりや飲食はできますか?
「おしゃべりをしてもよい図書館」を掲げており、閲覧エリアでも会話ができます。ふたの付いた飲み物は閲覧エリアに持ち込み可能で、だんだん広場などの文化交流エリアは飲食が自由です。館内にはカフェHUM&Go#もあります。

写真クレジット:
石川県立図書館の外観(2026年4月)/新館開館当日の外観 — Asturio Cantabrio(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
3階ブリッジ/4階リング/テーマ別書架/1階 本との出会いの窓 — Miisan1112(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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わっか北陸編集部
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