中能登町の雨の宮古墳群と能登上布|古代の王墓と麻織物の伝統が息づく能登の里
石川県中能登町は、能登半島の中央部に位置する歴史と伝統工芸が息づく町です。日本海側最大級の古墳群「雨の宮古墳群」と、国の重要無形文化財に指定される「能登上布」の産地として知られ、古代から続く能登の文化の奥深さを感じることができます。金沢から車で約1時間半、のどかな里山風景の中に悠久の歴史が眠る中能登町の魅力をご紹介します。
目次
中能登町・雨の宮古墳群の概要と歴史

雨の宮古墳群は、中能登町の標高約188メートルの眉丈山(びじょうざん)の尾根上に築かれた古墳時代前期から中期にかけての古墳群です。1982年に国の史跡に指定され、36基の古墳が確認されています。中でも1号墳は全長約64メートルの前方後方墳で、日本海側では最大級の規模を誇ります。墳丘は葺石で覆われ、頂上部からは三角縁神獣鏡や碧玉製の管玉などの貴重な副葬品が出土しました。この地域にかつて強大な権力を持つ豪族が存在したことを示す重要な遺跡です。2号墳は前方後円墳で、1号墳とともに古墳時代の能登の政治的中心地であったことを物語っています。古墳群の周囲は「雨の宮能登王墓の館」として整備され、出土品のレプリカや解説パネルで古代能登の歴史を学ぶことができます。
雨の宮古墳群の見どころと散策コース
雨の宮古墳群は、眉丈山の尾根に沿って古墳が点在しており、自然の中をハイキングしながら巡ることができます。駐車場から1号墳までは遊歩道が整備されており、約15分ほどで到着します。1号墳は墳丘の上に登ることができ、復元された葺石の姿は古墳時代の雰囲気を感じさせます。墳丘頂部からは能登半島の里山風景が一望でき、晴れた日には七尾湾や立山連峰まで見渡せる絶景スポットでもあります。2号墳は1号墳から尾根伝いに約10分ほど歩いた場所にあり、前方後円墳の形状がよく残っています。春には桜、秋には紅葉が古墳群を彩り、四季折々の風景を楽しめます。「雨の宮能登王墓の館」では、出土した副葬品の複製品や古墳の築造過程を模型で展示しており、見学は無料です。散策にかかる所要時間は全体で約1時間から1時間半が目安です。
能登上布の歴史と中能登町の織物文化

能登上布は、中能登町を中心に生産されてきた麻織物で、2000年に国の重要無形文化財に指定されました。その歴史は古く、奈良時代に正倉院に納められた麻布が起源とされ、江戸時代には能登の特産品として全国に流通しました。能登上布の特徴は、「櫛押し捺染(くしおしなっせん)」と呼ばれる独自の技法で、麻糸に細かい絣模様を染め付けることにあります。完成した布は通気性がよく、肌触りがさらりとしているため、夏の着物地として高い評価を受けています。現在、能登上布の技術を継承する織元は数軒のみとなっていますが、中能登町では後継者育成の取り組みが進められています。「能登上布会館」では、実際の織り工程を見学できるほか、コースターやテーブルセンターの織り体験(要予約)も行っています。麻の栽培から糸づくり、染色、織りまで一貫して行う伝統的な工程は、能登の風土と暮らしの知恵が凝縮されたものです。
中能登町のパワースポットと神社仏閣
中能登町には、古墳群や織物文化のほかにも、歴史的な神社仏閣やパワースポットが点在しています。天日陰比咩神社(あめひかげひめじんじゃ)は、能登国二宮として崇敬を集める古社で、御祭神は天日陰比咩大神です。境内には御朱印もいただけ、静かな杜の中で厳かな雰囲気に包まれます。また、不動滝は高さ約20メートルの滝で、古くから修験者の行場として知られるパワースポットです。滝壺付近はマイナスイオンに満ちており、夏場の避暑地としても人気があります。石動山(せきどうさん)は、かつて山岳修験の聖地として栄え、中世には300以上の坊舎が立ち並んだと伝えられています。山頂付近の大御前(おおみさき)からの眺望は素晴らしく、能登半島の山並みを一望できます。中能登町は、古代の信仰と自然が融合した御利益あるスポットが多い地域です。
中能登町周辺の見どころ
中能登町を拠点に、能登半島の多彩な観光スポットへ足を延ばすことができます。車で約30分の七尾城跡は、能登畠山氏の居城として名高い山城で、本丸からの眺望は圧巻です。七尾市内にある能登食祭市場では、新鮮な海鮮グルメを満喫できます。和倉温泉は開湯1200年の歴史を持つ名湯で、日帰り入浴も楽しめます。能登島へは能登島大橋を渡ってアクセスでき、のとじま水族館や自然豊かな島の散策が人気です。柴垣古墳は中能登町から車で約40分の距離にあり、雨の宮古墳群と合わせて能登の古墳巡りを楽しむことができます。真脇遺跡は縄文時代の集落跡で、古代の能登の暮らしを知ることができる貴重な遺跡です。能登の里山里海の世界農業遺産の景観も、この地域ならではの魅力です。
中能登町・雨の宮古墳群へのアクセスと駐車場情報
中能登町の雨の宮古墳群へは、のと里山海道の上棚矢駄ICから車で約15分です。金沢市内からは、のと里山海道を利用して約1時間20分でアクセスできます。無料駐車場が完備されており、大型バスも駐車可能です。公共交通機関を利用する場合は、のと鉄道の能登部駅または良川駅で下車し、タクシーで約10分の距離です。「雨の宮能登王墓の館」は入館無料で、開館時間は9時から17時まで、月曜日が休館日です(祝日の場合は翌日)。能登上布会館は良川駅から徒歩約15分の場所にあり、見学は無料ですが織り体験は要予約となっています。中能登町は気多大社のある羽咋市や七尾市との中間に位置するため、能登半島観光の途中に立ち寄りやすいスポットです。
写真クレジット:
雨の宮古墳群1号墳の全景と復元された前方後方墳 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
雨の宮古墳群の墳丘と周囲の風景 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
雨の宮古墳群1号墳の前方部 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)








