
金沢城公園は、加賀藩前田家が約280年にわたり治めた加賀百万石の居城跡。石垣の博物館とも呼ばれる多様な積み方の石垣、重要文化財の石川門、平成復元の五十間長屋・菱櫓・橋爪門続櫓、水庭が美しい玉泉院丸庭園など見どころが満載。隣接する兼六園とセットで訪れるのが定番コースです。
| 所在地 | 石川県金沢市丸の内1-1 |
| 開園時間 | 7:00〜18:00(10〜2月は8:00〜17:00) |
| 入場料(公園) | 無料(石川門・三十間長屋等) |
| 入場料(施設) | 五十間長屋等 大人 320円 / 18歳未満・65歳以上 無料 |
| アクセス | 金沢駅から北鉄バス「兼六園下・金沢城」下車すぐ(約15分) |
| 駐車場 | 兼六駐車場等 周辺有料駐車場を利用 |
| 兼六園との距離 | 石川門を通り徒歩すぐ(隣接) |
加賀百万石の居城として約280年にわたり前田家が治めた金沢城。度重なる火災と再建を繰り返しながらも、その威容は今も金沢の街を見守り続けています。石垣の博物館とも称される多彩な石垣群、白く輝く鉛瓦と海鼠壁の美しい建造物群——金沢城公園は、加賀藩の歴史と技術の粋を今に伝える場所です。
目次
金沢城の歴史
一向一揆から前田家の居城へ
金沢城の地には、もともと加賀一向一揆の拠点であった「尾山御坊(金沢御堂)」がありました。天正8年(1580年)、織田信長の家臣・佐久間盛政がこの地を攻略し、城を築いたのが金沢城の始まりです。
天正11年(1583年)、前田利家が入城。以降、明治2年(1869年)の版籍奉還まで約280年間、加賀百万石・前田家の居城として、北陸最大の城郭に発展していきました。
火災と再建の歴史
金沢城は「火災の城」とも呼ばれるほど、幾度となく火災に見舞われました。
- 1602年:落雷により天守が焼失。以後、天守は再建されず
- 1631年:大火で城の大部分が焼失
- 1759年:宝暦の大火で城のほぼ全域が焼失
- 1808年:二の丸御殿が焼失
- 1881年:明治期の火災で多くの建物を喪失
しかし、そのたびに当時の最新技術で再建が行われ、結果として異なる時代の石垣や建築様式が共存する、類まれな城郭となりました。
金沢城公園の見どころ
石川門(国指定重要文化財)
兼六園側の正面入口に位置する石川門は、金沢城を代表する建造物です。天明8年(1788年)に再建された現在の門は、白壁と鉛瓦が美しい格式高い櫓門。一の門と二の門からなる枡形門の構造で、敵の侵入を防ぐ巧みな設計が見て取れます。
桜の時期には、石川門と桜のコントラストが見事で、金沢を代表する撮影スポットとなっています。

菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓

平成13年(2001年)に伝統工法で忠実に復元された、金沢城を象徴する建造物群。五十間長屋は全長約90メートルの多聞櫓で、内部を見学できます。
- 菱櫓:その名の通り菱形の平面を持つ珍しい三層の櫓。釘を一本も使わない木組みの技術は圧巻
- 五十間長屋:武器や食糧の倉庫として使われた。内部では木造軸組工法の構造を見学可能
- 橋爪門続櫓:二の丸の正門である橋爪門を守る櫓
入館料は大人320円(兼六園との共通券500円)。木の香りが漂う内部は、伝統建築の技を間近に感じられます。
石垣の博物館
金沢城が「石垣の博物館」と呼ばれる所以は、築城から幕末まで約400年にわたるさまざまな時代・技法の石垣が一つの城に共存していること。城内を歩くだけで、石垣の歴史を学ぶことができます。
- 自然石積み(野面積み):最も古い技法。東の丸付近に残る
- 粗加工石積み(打込接ぎ):石をある程度加工して積む。石川門周辺
- 切石積み(切込接ぎ):石を精密に加工し、隙間なく積み上げる最も高度な技法
- 色紙短冊積み:金沢城独特の意匠。縦長と横長の石を交互に配置した芸術的な石垣
石垣巡りの案内板も充実しているので、ぜひ注目しながら散策してみてください。

玉泉院丸庭園
平成27年(2015年)に再現された、加賀藩三代藩主・前田利常が作庭を始めた池泉回遊式庭園。高低差22メートルの地形を巧みに活かした庭園は、「色紙短冊積み石垣」を背景にした独特の景観が魅力です。
毎週金・土曜日と祝前日には夜間ライトアップが行われ、四季に応じた色彩で庭園が幻想的に照らされます(入園無料)。


三御門(石川門・河北門・橋爪門)
金沢城には三つの重要な門があります:
- 石川門:兼六園側の表門。国指定重要文化財
- 河北門:金沢城の正門(大手門)。平成22年に復元
- 橋爪門:二の丸の正門。平成27年に復元
三つの門を巡ることで、城の防御の仕組みと、門ごとに異なる建築様式の違いを楽しめます。





四季折々の金沢城
春(3月下旬〜5月)
石川門周辺や新丸広場に約400本の桜が咲き誇ります。桜の時期には無料開放とライトアップが行われ、白い石川門と桜のコントラストは金沢随一の美しさ。兼六園と合わせた花見散歩が定番コースです。
夏(6月〜8月)
緑豊かな城内は木陰が多く、暑い夏でも心地よい散策が楽しめます。新丸広場の芝生で寛ぐ人も多く、地元の憩いの場となっています。
秋(9月〜11月)
紅葉と白壁の建造物のコントラストが美しい季節。玉泉院丸庭園の紅葉ライトアップは特に見応えがあります。石垣と紅葉の組み合わせも、この時期ならではの見どころです。
冬(12月〜2月)
雪に覆われた金沢城は荘厳な美しさ。白い鉛瓦と雪が一体となり、まさに白銀の城に。冬の玉泉院丸庭園ライトアップでは、雪と灯りが織りなす幻想的な世界を楽しめます。
金沢城公園の実用情報
入園料・開園時間
- 金沢城公園(園内散策):無料
- 菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓:大人320円、子供100円
- 兼六園との共通券:大人500円
- 開園時間:3月1日〜10月15日 7:00〜18:00 / 10月16日〜2月末日 8:00〜17:00
- 玉泉院丸庭園ライトアップ:毎週金・土・祝前日 日没〜21:00(無料)
おすすめの所要時間
- 主要スポットのみ:約60分
- 石垣巡り含む:約90〜120分
- 兼六園と合わせて:約3時間
金沢城公園のモデルコース
金沢城じっくりコース(2時間)
石川門から入城
→ 石川門の枡形を見学(10分)
→ 三の丸広場から五十間長屋を眺望(10分)
→ 菱櫓・五十間長屋の内部見学(30分)
→ 橋爪門を通り二の丸広場へ(10分)
→ 石垣巡りコース(20分)
→ 玉泉院丸庭園(20分)
→ 河北門経由で退城(10分)
兼六園・金沢城 王道コース(3.5時間)
9:00 兼六園散策(90分)
10:30 石川門から金沢城公園へ
10:40 五十間長屋内部見学
11:10 石垣巡り
11:40 玉泉院丸庭園
12:00 鼠多門から尾山神社方面へ
12:30 近江町市場でランチ
金沢城公園へのアクセス・料金情報
| 金沢駅から | 北鉄バス「兼六園下・金沢城」下車すぐ(約15分) |
| 兼六園から | 石川門を通り徒歩すぐ(隣接) |
| ひがし茶屋街から | 徒歩約15分 |
| 近江町市場から | 黒門口まで徒歩約10分 |
| 尾山神社から | 鼠多門橋を渡り徒歩すぐ |
金沢城公園 訪問のヒント
- 歩きやすい靴で:城内は広く、石段や坂道もあります
- 石垣に注目:案内板を読みながら歩くと、石垣の違いがわかって面白い
- 鼠多門を活用:2020年に復元された鼠多門橋で尾山神社と直結。周遊しやすくなりました
- ボランティアガイド:無料の観光ボランティアガイドあり(事前予約推奨)
- 夜の玉泉院丸庭園:金・土曜のライトアップは必見。無料で楽しめます
地元ライターからのメッセージ
金沢城は、天守のない城です。しかし、それこそが金沢城の魅力だと私は思います。
1602年に天守が焼失して以降、前田家は天守を再建しませんでした。加賀百万石の財力をもってすれば再建は容易だったはず。しかし、あえて天守を建てなかった——そこには、幕府への配慮と、外見の威圧よりも内実の文化を重んじる前田家の哲学がありました。
代わりに前田家が力を注いだのは、庭園、茶道、能、工芸など、文化の発展でした。兼六園も、金沢の伝統工芸も、その延長線上にあります。天守のない城跡を歩きながら、「武」ではなく「文」で栄えた加賀百万石の歴史に思いを馳せてみてください。
個人的なおすすめは、金曜の夕暮れ時に訪れること。まず夕日に照らされる五十間長屋を眺め、日が暮れたら玉泉院丸庭園のライトアップへ。昼と夜、二つの顔を持つ金沢城の魅力を存分に味わえます。
金沢城公園周辺の見どころ
金沢城公園から徒歩圏内には、金沢を代表する観光スポットが集まっています。
- 兼六園 — 日本三名園の一つ。金沢城公園に隣接し、四季折々の庭園美が楽しめる(徒歩1分)
- 金沢21世紀美術館 — 「まちに開かれた公園のような美術館」をコンセプトにした現代アート美術館(徒歩5分)
- ひがし茶屋街2026完全ガイド — 格子戸の町家が並ぶ伝統的な茶屋街。食べ歩き・着物レンタル・金箔体験も楽しめる(徒歩15分)
- 近江町市場 — 金沢の食の殿堂。朝採れの海鮮や加賀野菜が並ぶ活気ある市場(徒歩10分)
- 金沢グルメ完全ガイド2026 — のどぐろ・治部煮・金沢おでん・金沢カレーなど金沢の名物グルメ完全網羅
- 金沢の歴史 — 加賀一向一揆から百万石の城下町まで、金沢の歴史を詳しく解説
金沢の全体像を把握するなら「金沢観光おすすめスポット30選」がおすすめです。北陸全体の旅行には「北陸2泊3日モデルコース」もご参考ください。
【取材・執筆】わっか北陸編集部
【最終更新】2026年5月
【写真】Wikimedia Commons(CC BY 4.0 / CC BY-SA 4.0)および取材撮影
写真クレジット:
金沢城の石川門 — Alexkom000(Wikimedia Commons / CC BY 4.0)
金沢城の菱櫓と五十間長屋 — Zairon(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)









