【重要】観光施設「越前竹人形の里」は2023年8月9日をもって閉館しました。展示・工房見学・竹人形づくり体験・食堂はいずれも終了しており、現地を訪ねても見学できません。越前竹人形そのものは工芸として作られ続けており、公式サイトの商品カタログから購入できます(越前竹人形 公式サイト/2026年8月確認)。

福井県坂井市丸岡町で生まれた「越前竹人形」は、竹の自然な色合いと曲線美を生かした人形細工です。昭和27年(1952年)ごろに始まった比較的新しい工芸ですが、繊細な手仕事と塗料に頼らない飴色の美しさで、福井を代表する郷土工芸品のひとつになりました。その拠点だった観光施設「越前竹人形の里」は2023年8月に閉館しましたが、竹人形づくりの技そのものは受け継がれています。この記事では、越前竹人形という工芸の成り立ちと技法、そして閉館した「越前竹人形の里」がどんな施設だったのかを整理します。

越前竹人形の歴史 — 竹細工の端材から生まれた工芸

越前竹人形の始まりは昭和27年(1952年)ごろ。竹工芸を手がけていた師田保隆(もろた・やすたか)・三四郎兄弟が、竹細工の端材を使って人形を作れないかと試行錯誤したことがきっかけでした。当初は竹をそのまま生かした素朴なものでしたが、研鑽を重ねるなかで独自の加工技術が生まれ、髪の毛や表皮の装飾まで精緻に表現する作品が作られるようになります。

兄弟は永平寺の雲水人形、歌舞伎「勧進帳」の義経・弁慶、藤娘、音楽人形などを制作。昭和30年(1955年)には全国規模の竹製品の展示会で中小企業庁長官賞を、全国新製品展で農業経済局長賞を受賞し、福井県の新しい特産品として業界の注目を集めました。さらに、福井県出身の作家・水上勉が同名の小説『越前竹人形』を発表したことで、その名は全国に知られるようになります。

越前竹人形は現在、福井県の郷土工芸品に指定されています。産地となったのは坂井市丸岡町(旧・丸岡町)で、職人の育成と普及を目的に越前竹人形協同組合が設立され、その事業として観光施設「越前竹人形の里」が運営されていました。

越前竹人形の技法 — 竹の特性を生かした繊細な手仕事

素材に使われるのは、越前(福井県嶺北地方)で育つ真竹(まだけ)と孟宗竹(もうそうちく)です。全国有数の雪国である福井では、厳しい寒さに耐えた良質の竹が採れ、古くから籠や花器などの竹細工が作られてきました。竹は中が空洞で軽く、しなりがあり、独特の光沢を持つ素材です。

職人はこの竹を細く裂いたり、薄く削ったり、熱を加えて曲げたりしながら、人形の衣装や髪、姿かたちを表現していきます。竹の節や曲線、弾力性をどう生かすかが腕の見せどころで、細部の造形を組み合わせることで、静かな動きをまとった人形が生まれます。

越前竹人形の魅力は、竹の自然な色合いを生かしたところにあります。塗料にほとんど頼らず、竹そのものの光沢が作品に温かみと品格を与えています。竹は軽くて丈夫で、年月を経ると飴色に変わっていくため、経年変化そのものが天然素材ならではの楽しみになります。

閉館した越前竹人形の里の施設外観(坂井市丸岡町)
越前竹人形の里の施設外観(2023年8月に閉館)(Photo: 藤谷良秀 / Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

「越前竹人形の里」はどんな施設だったのか

越前竹人形の里は、越前竹人形協同組合が昭和59年(1984年)から運営していた観光施設です。竹人形職人の育成と啓蒙活動を目的に、坂井市丸岡町上久米田に開設されました。2011年には店舗を全面的に改装し、商品を売るだけでなく竹の魅力を伝える場へと軸足を移しています。

館内は、古民家を移築した越前竹人形工房「篝(かがり)」、職人がデザイン・制作した作品を展示する創作竹人形館「黎明(れいめい)」、竹人形づくりを体験できる制作体験コーナー、竹人形・竹工芸品や福井の名産を扱うショップ、食堂・カフェで構成されていました。工房では職人の手仕事を間近で見ることができ、竹人形が完成するまでの工程を追える施設でした。

制作体験コーナーで用意されていたのは、竹トンボ(500円)、雪ん子(1,300円)、ぺん立て(1,400円)、干支十二支(1,400円)、おやゆび雛(2,000円)といったメニューで、指導料は材料費に含まれていました。作品によって難度が異なり、刃物を使うものもあったため、小さな子どもは保護者と一緒に参加する案内が出ていました。団体利用は事前連絡が必要でした。いずれも閉館時点の記録で、現在は体験を受け付けていません。

施設名越前竹人形の里(閉館)
運営越前竹人形協同組合
所在地福井県坂井市丸岡町上久米田63号1番地
開業昭和59年(1984年)
閉館日2023年8月9日
閉館時点の開館時間9:00〜16:30(3/1〜11/30)、10:00〜16:00(12/1〜2/28)
閉館時点の定休日毎週水曜日、年末年始(12/26〜1/1)
閉館時点の駐車場無料専用駐車場200台(大型バス80台)

上表は閉館時点の記録です。跡地の現況について公表された情報は確認できていません。

竹人形の素材となる竹林
竹人形の素材となる竹林(Photo: Mantokun / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)

閉館後、越前竹人形はどこで手に入るか

施設は閉館しましたが、越前竹人形の製造・販売は続いています。公式サイトには「商品カタログの商品は随時発送が可能です。メールにてお知らせください」と案内があり、2026年版の商品カタログも公開されています。購入を検討する場合は、公式サイトのカタログで品番と価格を確認したうえで、記載の窓口へ問い合わせるのが確実です。

なお、かつて運営されていたオンラインショップ(takeningyo.shop-pro.jp)は現在アクセスできません(2026年8月時点)。旅行ガイドや口コミサイトには閉館前の営業時間・入館料・体験料金がそのまま残っている場合があるため、現地訪問を前提とした情報は参考にしないでください。

坂井市・あわら方面の見どころ

越前竹人形の里があった坂井市は、福井県を代表する観光エリアです。竹人形の里を目的地にすることはできなくなりましたが、周辺には見どころが揃っています。

東尋坊は坂井市三国町にある福井観光の定番スポットです。日本海に切り立つ柱状節理の断崖は迫力があり、遊覧船から海側の岩肌を眺めることもできます。

あわら温泉は坂井市に隣接するあわら市の温泉地で、「関西の奥座敷」と呼ばれる名湯です。温泉街の散策や足湯「芦湯」も楽しめ、坂井市の観光と組み合わせて一泊するプランが組みやすいエリアです。

写真クレジット:
越前竹人形の里の施設外観 — 藤谷良秀(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
竹人形の素材となる竹林 — Mantokun(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)

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わっか北陸編集部
HOKURIKU TRAVEL GUIDE
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