金沢城 鼠多門 — 140年ぶりに蘇った加賀藩の西の玄関口

2020年7月、金沢城公園に約140年ぶりに復元された鼠多門(ねずみたもん)と鼠多門橋。江戸時代には加賀藩の玄関口として栄えたこの門は、金沢城と尾山神社・金沢の中心市街地を結ぶ新たな観光ルートの要として、再び金沢の歴史に刻まれました。

鼠多門とは — 加賀百万石の西の玄関口

金沢城の鼠多門
復元された鼠多門(Photo: 経済特区 / CC BY-SA 4.0)

鼠多門は、金沢城の西側に位置する二階建ての櫓門(やぐらもん)です。金沢城玉泉院丸(ぎょくせんいんまる)と、お堀を挟んだ尾山神社側を結ぶ城門として、江戸時代を通じて重要な役割を担いました。

その名の由来には諸説ありますが、門の外壁に使われた黒い海鼠漆喰(なまこじっくい)の色が鼠色であったことに因むとされています。金沢城の他の建造物が白い漆喰を使う中、鼠多門だけが黒い海鼠漆喰で仕上げられており、その独特の外観は当時から際立った存在でした。

140年の時を超えた復元

鼠多門は1884年(明治17年)に火災で焼失し、以来その姿は失われていました。しかし、金沢城の復元整備事業の一環として、石川県により復元計画が進められ、2020年7月18日に約140年ぶりにその姿を取り戻しました。

復元にあたっては、江戸時代の絵図や文献、発掘調査の成果をもとに、当時の姿が忠実に再現されています。特に注目すべきは外壁の黒い海鼠漆喰。金沢城内の他の門や櫓が白い漆喰であるのに対し、鼠多門だけが黒い海鼠漆喰で仕上げられており、これは全国的にも珍しい意匠です。

鼠多門橋 — 城と街をつなぐ架け橋

鼠多門と鼠多門橋のライトアップ
鼠多門と鼠多門橋のライトアップ(Photo: 先従隗始 / CC0)

鼠多門橋は、鼠多門の前に架かる木橋で、金沢城のお堀(鼠多門堀)を渡って尾山神社側へと続きます。江戸時代には加賀藩の重臣たちが登城する際のルートとして使われていました。

復元された橋は全長約29メートル。木造の美しい姿は周囲の景観と調和し、特に夕暮れ時やライトアップされた夜間は、金沢城の石垣と相まって幻想的な風景を楽しむことができます。

新たな金沢観光の回遊ルート

鼠多門・鼠多門橋の復元により、金沢観光に新たな回遊ルートが誕生しました。

これまで金沢城公園と尾山神社・長町武家屋敷跡方面は直接つながっておらず、大回りする必要がありました。しかし鼠多門橋の開通により、以下のような歩いて巡れるルートが実現しています。

  • 尾山神社 → 鼠多門橋 → 鼠多門 → 玉泉院丸庭園 → 金沢城公園 → 石川門 → 兼六園
  • 長町武家屋敷跡 → 尾山神社 → 鼠多門橋 → 金沢城 → 近江町市場方面

金沢の主要観光スポットを効率よく周遊できるようになり、城下町の歴史を感じながら歩ける人気の散策コースとなっています。

夜のライトアップ

鼠多門橋の夜景
鼠多門橋の夜景(Photo: 先従隗始 / CC0)

鼠多門と鼠多門橋は、夜間のライトアップも見どころの一つです。暖かみのある光に照らされた黒い海鼠漆喰の門と木橋、そして背後にそびえる金沢城の石垣が、昼間とはまた違った幻想的な表情を見せます。

金沢城公園では季節ごとに「金沢城・兼六園ライトアップ」が開催されており、鼠多門周辺も美しくライトアップされます。春の桜、秋の紅葉、冬の雪景色と合わせた夜の金沢城は、一見の価値があります。

見学のご案内

所在地石川県金沢市丸の内 金沢城公園内
開園時間7:00〜18:00(3月〜10月15日)
8:00〜17:00(10月16日〜2月)
入場料金沢城公園への入園は無料
鼠多門の内部見学も無料
アクセスJR金沢駅からバス約15分「南町・尾山神社」下車すぐ
尾山神社境内から鼠多門橋を渡って直結

周辺の見どころ

  • 玉泉院丸庭園 — 鼠多門のすぐ内側にある美しい池泉回遊式庭園。加賀藩三代藩主・前田利常が造営しました
  • 尾山神社 — 鼠多門橋を渡った先にある、ステンドグラスの神門で有名な神社
  • 長町武家屋敷跡 — 尾山神社から徒歩約5分。土塀が続く風情ある武家屋敷の街並みが残ります
  • 金沢城 五十間長屋 — 城内最大の建造物。内部を見学でき、加賀藩の城郭建築を体感できます

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写真クレジット:
鼠多門 — 経済特区(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
鼠多門橋・夜景 — 先従隗始(Wikimedia Commons / CC0)

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