旧福浦灯台|日本最古の木造灯台と北前船の寄港地・福浦港の歴史
石川県志賀町の福浦港にひっそりと佇む旧福浦灯台は、日本最古の木造灯台として知られる歴史的建造物です。慶長13年(1608年)に日野吉三郎がかがり火を焚いて船の安全を守ったのが始まりとされ、現存する木造灯台は明治9年(1876年)に建てられたものです。かつて北前船の重要な寄港地として栄えた福浦港の歴史とともに、日本海の荒波を見守り続けてきた小さな灯台の物語をたどります。

目次
旧福浦灯台の歴史|日本最古の木造灯台の400年
旧福浦灯台の歴史は、慶長13年(1608年)にまで遡ります。福浦港の住人・日野吉三郎が、港に出入りする船の安全を守るため、岬の上でかがり火(篝火)を焚き始めたのが灯台の起源とされています。以来、日野家は代々この灯火の管理を受け継ぎ、江戸時代を通じて日本海を航行する船舶の道標となりました。現存する木造灯台は明治9年(1876年)に建造されたもので、高さ約5メートルの小さな建物ですが、日本に現存する最古の木造灯台として貴重な文化遺産です。白い漆喰壁に瓦屋根を載せた和洋折衷の佇まいは、明治初期の灯台建築の特徴をよく伝えています。昭和27年(1952年)に近代的なコンクリート製灯台に役目を譲り、現在は志賀町の有形文化財に指定され、観光名所として保存・公開されています。
北前船の寄港地・福浦港の歴史と旧福浦灯台の役割
福浦港は、江戸時代から明治時代にかけて日本海海運の大動脈であった北前船の重要な寄港地でした。北前船は大阪と北海道を結ぶ交易船で、米や塩、酒、昆布、ニシンなどの物資を各地に運び、寄港地ごとに商品を売買しながら利益を上げていました。福浦港は能登半島の外浦(日本海側)に位置し、天然の良港として多くの北前船が風待ち・潮待ちのために立ち寄りました。港の背後には福浦の集落が広がり、北前船の船主や船員を相手にした商家や宿が軒を連ねて賑わったと伝えられています。旧福浦灯台はこの福浦港の入り口の高台に建てられ、夜間に港に入る北前船の目印として重要な役割を果たしました。港の周辺を散策すると、北前船時代の船つなぎ石や、かつての繁栄を偲ばせる石垣の跡などが残っており、往時の面影を感じることができます。

旧福浦灯台の見どころと散策ポイント
旧福浦灯台は福浦港を見下ろす小高い丘の上に建っており、灯台へ至る小道の散策そのものが楽しい体験です。港から灯台までは徒歩約5分で、途中には日本海を一望できるビューポイントがあります。灯台の周辺は小さな広場になっており、眼下に広がる福浦港の漁船や、遠くに続く能登の海岸線を眺めることができます。夕暮れ時には日本海に沈む夕日が灯台をシルエットに染め、絶好の撮影スポットとなります。灯台の内部は非公開ですが、外観からは明治初期の木造建築の細部を観察できます。灯台の近くには案内板が設置されており、400年にわたる灯台の歴史や北前船の航路、福浦港の繁栄について学ぶことができます。また、福浦港周辺は釣りスポットとしても知られ、地元の釣り人が竿を出している姿を見かけることも多いです。志賀町の能登金剛とあわせて、能登半島外浦の景勝地を巡るのがおすすめです。
旧福浦灯台と能登の灯台文化
能登半島は日本海に突き出した地形から、古くから多くの灯台が設置されてきました。旧福浦灯台はその中でも最も古い歴史を持ち、能登の灯台文化の原点といえる存在です。能登半島には他にも、最先端の禄剛埼灯台をはじめ、個性的な灯台が点在しています。禄剛埼灯台は明治16年(1883年)にイギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計で建てられた洋式灯台で、旧福浦灯台の和風の佇まいとは対照的です。能登の灯台はそれぞれに歴史と物語を持ち、日本海の海運を支えてきた能登半島の重要性を物語っています。灯台巡りは能登ドライブの隠れた楽しみ方で、各灯台からの日本海の眺望は格別です。旧福浦灯台から禄剛埼灯台まで、能登半島の灯台を辿る旅は、海と人の営みの歴史を体感できる贅沢なルートです。
旧福浦灯台周辺の見どころ
旧福浦灯台がある志賀町周辺には、能登半島を代表する景勝地が集まっています。灯台から車で約15分の巌門は、日本海の荒波が削り出した巨大な洞門で、能登金剛のハイライトです。遊覧船に乗って海上から巌門を見上げる体験は迫力満点です。さらに南へ進むと、世界一長いベンチがある増穂浦海岸に到着します。全長460メートルのベンチに腰掛けて、日本海の水平線を眺めるのんびりした時間は格別です。千里浜なぎさドライブウェイまで足を延ばせば、日本で唯一、車で砂浜を走れるドライブ体験が楽しめます。能登半島の外浦沿いには、日本海の荒波が生み出した絶景が連なっており、旧福浦灯台を起点にした海岸線ドライブは能登旅のハイライトのひとつです。
旧福浦灯台へのアクセス・基本情報
旧福浦灯台は石川県羽咋郡志賀町福浦港に位置しています。車でのアクセスは、のと里山海道の西山ICから国道249号線を北へ約20分です。金沢市内からは車で約1時間30分、巌門からは約15分の距離です。公共交通機関を利用する場合は、JR七尾線の羽咋駅から北鉄能登バスで「福浦」バス停下車、徒歩約10分です。ただしバスの本数が限られるため、車での訪問がおすすめです。灯台周辺には無料の駐車場があり、数台分のスペースが確保されています。見学は外観のみで、入場料は無料です。所要時間は灯台見学と福浦港散策を含めて約30分から1時間程度です。周辺に飲食店は少ないため、事前に食事を済ませるか、お弁当を持参するとよいでしょう。志賀町の能登金剛散策と組み合わせれば、半日の充実した観光コースになります。
写真クレジット:
能登半島の漁港風景 — Raita Futo(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
能登の港町風景 — Raita Futo(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)








