金沢の金箔 — 日本の金箔生産99%を誇る伝統と金箔体験

金沢は日本の金箔生産量の99%以上を占める「金箔の街」です。加賀藩時代から400年以上受け継がれてきた金箔製造の伝統は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されました。金箔貼り体験や金箔グルメなど、金沢ならではの「金の文化」を存分に楽しめるスポットをご紹介します。

金沢と金箔の深い歴史

金沢名物・金箔ソフトクリーム
金沢名物の金箔ソフトクリーム。贅沢な一枚の金箔がソフトクリームを覆います(Photo: Daderot / CC0)

金沢における金箔製造の歴史は、文禄2年(1593年)に遡ります。加賀藩祖・前田利家が豊臣秀吉の朝鮮出兵の陣中から、国元に金箔・銀箔の製造を命じたことが始まりとされています。以来、加賀藩の手厚い保護のもと、金箔製造は金沢の重要な産業として発展していきました。

江戸時代には幕府が金箔の製造を江戸と京都に限定する統制策を取りましたが、金沢の職人たちは密かに技術を守り続けました。明治時代に入り製造が自由化されると、金沢は一気に日本最大の金箔産地へと飛躍します。北陸特有の湿潤な気候が金箔の製造に適していたこと、そして職人たちが長年培ってきた高い技術力が、金沢を「金箔の街」たらしめた大きな要因です。

現在、金沢は日本の金箔生産量の99%以上を占めています。金閣寺や日光東照宮をはじめとする国宝・重要文化財の修復にも、金沢産の金箔が使用されています。金箔は仏壇や漆器、陶磁器といった伝統工芸品の装飾だけでなく、建築、食品、化粧品に至るまで幅広い分野で活用されています。

縁付金箔 — ユネスコ無形文化遺産に登録

安江金箔工芸館
安江金箔工芸館 — 金箔の歴史と製造工程を学べる施設(Photo: 金沢市 / CC BY 2.1 JP)

金沢で生産される金箔には、「縁付(えんつけ)金箔」と「断切(たちきり)金箔」の2種類があります。縁付金箔は400年以上前から伝わる伝統的な製法で作られ、特に国宝や重要文化財の修復には欠かせない存在です。

縁付金箔の製造工程は、極めて繊細で根気のいる作業の連続です。まず金合金を溶かして薄く延ばし「澄(ずみ)」と呼ばれる状態にします。次に、特別に加工した和紙(箔打ち紙)に挟んで何度も打ち延ばしていきます。この箔打ち紙の仕込みだけでも半年以上の歳月がかかり、紙の品質が金箔の仕上がりを大きく左右します。最終的に1万分の1〜2ミリという驚異的な薄さにまで打ち延ばされた金箔は、まさに職人技の結晶といえるでしょう。

2014年(平成26年)には、縁付金箔の製造技術が国の「選定保存技術」に認定されました。さらに2020年(令和2年)、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の一つとして、ユネスコの無形文化遺産に登録されました。世界に認められた金沢の金箔文化は、今後もその輝きを失うことなく受け継がれていくことでしょう。

金箔の魅力を体感できるスポット

金沢には、金箔の歴史を学び、実際に金箔貼りを体験できる施設が複数あります。旅の思い出づくりにもぴったりの、おすすめスポットをご紹介します。

箔一(はくいち)本店 箔巧館

金箔の総合メーカー「箔一」が運営する箔巧館は、金箔の魅力を五感で体感できる複合施設です。金箔の製造工程を間近で見学できるほか、豊富なメニューから選べる金箔貼り体験が大人気。1名から100名の団体まで対応可能で、お箸や小箱、手鏡など好みのアイテムに金箔を貼るオリジナル作品を作ることができます。体験の受付時間は9:00から16:00まで設けられています。

さらに箔一は、今や金沢観光の定番スイーツとなった「金箔ソフトクリーム」発祥の店としても知られています。金箔一枚をまるごとソフトクリームに貼り付けた贅沢な一品は、見た目の華やかさも相まってSNSでも話題です。併設カフェでは金箔ソフトクリームのほか、金箔を使ったドリンクや季節の甘味も楽しめます。

金沢市立安江金箔工芸館

ひがし茶屋街のすぐ近くに位置する金沢市立安江金箔工芸館は、金箔の歴史と製造工程を専門的に学べる博物館です。金箔製造に使われる道具や、金箔を使った美術工芸品が展示されており、金箔がいかに繊細で高度な技術によって生み出されるかを実感できます。入館料は一般300円、高校生以下は無料とリーズナブルで、気軽に立ち寄れるスポットです。

金箔屋さくだ

ひがし茶屋街に本店を構える金箔屋さくだは、金箔の製造工房見学と金箔貼り体験ができる人気スポットです。体験メニューは1,430円からと手頃な価格で、所要時間は約60分。お皿やコンパクトミラーなど多彩なアイテムから選んで、オリジナルの金箔作品を作ることができます。体験は1日4回の開催で、各回30名まで受け入れ可能です。金箔を使ったお土産品も豊富に取り揃えられています。

金沢で味わう金箔グルメ

金沢では金箔を食べ物にも贅沢に使っています。その代表格が「金箔ソフトクリーム」。箔一が考案したこのスイーツは、バニラソフトクリームの上に薄い金箔を一枚まるごとのせた豪華な一品で、ひがし茶屋街や兼六園周辺の各店舗でも味わうことができます。見た目のインパクトは抜群で、金沢旅行のハイライトの一つとなっています。

お土産にはぜひ「金箔のかがやき」をチェックしてみてください。金箔を贅沢にあしらったお菓子やカステラ、あぶらとり紙、化粧品など、金沢ならではの金箔アイテムが多数揃っています。金箔入りの日本酒や金箔茶など、ちょっと特別なお土産は、贈る相手にきっと喜ばれるでしょう。

基本情報

スポット名住所営業時間料金
箔一本店 箔巧館石川県金沢市森戸2-1-19:00〜18:00(冬季〜17:00)金箔貼り体験 要問合せ/入館無料
金沢市立安江金箔工芸館石川県金沢市東山1-3-109:30〜17:00(入館16:30まで)一般300円/高校生以下無料
金箔屋さくだ 本店石川県金沢市東山1-3-279:00〜18:00金箔貼り体験 1,430円〜

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金箔体験と合わせて楽しむ金沢の見どころ


写真クレジット:
金沢の金箔工房での金箔製造 — Eckhard Pecher(Wikimedia Commons / CC BY 2.5)
金沢名物・金箔ソフトクリーム — Daderot(Wikimedia Commons / CC0)
安江金箔工芸館 — 金沢市(Wikimedia Commons / CC BY 2.1 JP)

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