敦賀市の観光ガイド|氣比神宮・赤レンガ倉庫・敦賀ムゼウムと港町グルメの旅

2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸により、東京から最速3時間8分で結ばれるようになった福井県敦賀市。古代から大陸への玄関口として栄え、北陸道の総鎮守・氣比神宮を擁するこの港町は、日本海交易、鉄道開拓、そして激動の近代史が幾重にも折り重なる歴史都市です。赤レンガ倉庫のレトロな街並み、ユダヤ難民を受け入れた人道の港、日本三大松原に数えられる氣比の松原、さらに日本海さかな街での海鮮グルメや敦賀ラーメンの屋台文化まで――小さな港町に驚くほど多彩な魅力が凝縮されています。この記事では、敦賀市の観光スポット・グルメ・モデルコース・アクセス情報を総まとめでご紹介します。

敦賀赤レンガ倉庫の外観
敦賀赤レンガ倉庫(Photo: 663highland / CC BY 2.5)

敦賀市の観光スポット — 歴史・文化

敦賀は古代から北陸道の要衝として栄え、朝廷や戦国武将ゆかりの史跡が点在しています。越前国一宮の氣比神宮を筆頭に、戦国時代の激戦地・金ヶ崎城跡、そして近代史に残る人道の物語を伝える敦賀ムゼウムなど、時代を超えた歴史と文化に触れることができます。

氣比神宮 — 北陸道の総鎮守・越前国一宮

氣比神宮は、敦賀市の中心部に鎮座する越前国一宮にして北陸道の総鎮守です。主祭神の伊奢沙別命(いざさわけのみこと)は海上安全・交通安全の神として信仰を集め、仲哀天皇・神功皇后・日本武尊など七柱の御祭神を祀ることから「七社明神」とも呼ばれます。国の重要文化財に指定されている高さ約11メートルの大鳥居は、春日大社・厳島神社と並ぶ日本三大木造鳥居のひとつに数えられ、朱色の堂々たる姿が参拝者を迎えます。

境内には芭蕉の句碑「月清し 遊行のもてる 砂の上」が立ち、『奥の細道』の旅路で芭蕉が敦賀を訪れた歴史を伝えています。境内奥の「長命水」は延命長寿のご利益があるとされる霊泉で、御朱印を求める参拝者にも人気のパワースポットです。お守りは海上安全や交通安全のほか、縁結びや学業成就など種類が豊富に揃います。参拝所要時間は30分〜1時間程度で、敦賀駅からバスで約5分とアクセスも良好です。周辺には無料駐車場が整備されているため、車での参拝も便利です。

人道の港 敦賀ムゼウム — 命のビザの物語

水島海水浴場の航空写真
水島(Photo: Wikimedia Commons)

敦賀ムゼウムは、第二次世界大戦中にリトアニア領事・杉原千畝が発給した「命のビザ」によって敦賀港に上陸したユダヤ難民と、ポーランド孤児の物語を伝える資料館です。2020年にリニューアルオープンした現在の施設は、金ヶ崎緑地の港沿いに建つモダンな建物で、当時の貴重な写真・映像・証言を通じて人道の港としての敦賀の歴史を体感することができます。

館内には、シベリア鉄道からウラジオストク経由で敦賀港にたどり着いた難民たちの足跡を追う展示が並び、敦賀の市民が彼らを温かく迎え入れたエピソードも紹介されています。入館料は大人500円、小学生以下無料で、所要時間は1時間程度。平和学習の場としても高く評価されており、修学旅行や校外学習で訪れる学校も増えています。敦賀港の歴史と合わせて巡ることで、港町敦賀のもうひとつの側面を深く理解できるスポットです。

金ヶ崎城跡と金崎宮 — 戦国の激戦地と恋の宮

金ヶ崎城跡は、敦賀湾を一望する標高約86メートルの丘陵に築かれた中世の城郭跡です。南北朝時代には新田義貞が籠城して壮絶な戦いを繰り広げ、戦国時代には織田信長の朝倉攻めにおいて浅井長政の裏切りが発覚した「金ヶ崎の退き口」の舞台として知られています。豊臣秀吉が殿軍を務めて信長を逃がした逸話は、戦国史ファンにはたまらない歴史ロマンです。

城跡の麓には金崎宮が鎮座し、恋の宮・縁結びの神社として親しまれています。毎年4月に行われる「花換まつり」は、桜の小枝を交換して想いを伝える独特の風習で、恋愛成就のご利益を求める参拝者で賑わいます。金ヶ崎城跡の散策路からは敦賀湾と赤レンガ倉庫を見下ろす絶景が楽しめ、春は桜の名所としても人気です。登り口から山頂の月見御殿跡まで徒歩約20分で、歩きやすい靴があれば気軽にハイキングを楽しめます。無料駐車場も完備されています。

敦賀市の観光スポット — 港町散策

敦賀は古くから日本海側有数の港町として発展し、明治以降は国際港としてヨーロッパへの玄関口を担いました。赤レンガ倉庫のレトロな街並みから、鉄道黎明期の遺産、さらには明治のトンネル群まで、港町ならではの近代化遺産を歩いて巡ることができます。

敦賀赤レンガ倉庫 — ノスタルジックな港のランドマーク

敦賀赤レンガ倉庫は、1905年(明治38年)に石油貯蔵庫として建てられた煉瓦造りの倉庫群です。2015年にレストランやジオラマ館を備えた観光施設としてリニューアルオープンし、敦賀港エリアのシンボル的存在となっています。北棟のジオラマ館では、敦賀港が国際港として最も栄えた昭和初期の街並みを精巧なジオラマで再現しており、欧亜国際連絡列車が行き交った往時の活気を体感できます。

南棟にはレストランやカフェが入り、敦賀湾を眺めながらランチやスイーツを楽しめます。建物裏手のオープンデッキからは敦賀港と金ヶ崎緑地が一望でき、夕暮れ時には港に沈む夕日が赤レンガの壁面を美しく染め上げます。営業時間は9時30分〜17時30分(レストランは22時まで)で、入館料はジオラマ館が大人400円。赤レンガ倉庫周辺には敦賀ムゼウムや金ヶ崎城跡も近く、港エリアをまとめて散策するのがおすすめです。

敦賀港と鉄道の歴史 — 欧亜国際連絡列車の玄関口

敦賀港と鉄道の歴史は、明治時代から昭和にかけて国際港として発展した敦賀の近代史を物語るテーマです。1912年から1940年まで運行された欧亜国際連絡列車は、新橋(後の東京)駅から敦賀港駅を経由し、ウラジオストクからシベリア鉄道でヨーロッパまでを結ぶ壮大な国際ルートでした。敦賀港はまさに日本とヨーロッパを結ぶ「東洋の波止場」として世界に知られていたのです。

現在は旧敦賀港駅舎が復元され、当時の待合室や切符売場の雰囲気を伝える展示施設「敦賀鉄道資料館」として公開されています。館内では連絡列車の時刻表や乗船券、当時の写真など貴重な資料を見ることができ、鉄道ファンだけでなく歴史好きにもおすすめのスポットです。入場無料で、赤レンガ倉庫から徒歩すぐの立地にあるため、港エリアの散策ルートに組み込みやすいのも魅力です。

旧北陸線トンネル群 — 明治の赤レンガ鉄道遺産

旧北陸線トンネル群は、1896年(明治29年)の北陸線開通時に建設された13基の煉瓦造りトンネルが連なる鉄道遺産です。敦賀市から南越前町にかけての旧線路跡が遊歩道として整備され、明治の土木技術の粋を集めた赤レンガのトンネルを歩いて巡ることができます。国の登録有形文化財に指定されており、鉄道遺産としての価値は全国的にも高く評価されています。

なかでも全長1,170メートルの「山中トンネル」は、当時日本最長の鉄道トンネルとして話題を呼びました。ハイキングコースとしても人気があり、敦賀側の起点から今庄側の終点まで約6キロメートル、所要時間は2〜3時間程度です。秋には紅葉とトンネルのコントラストが美しく、四季折々の景色を楽しみながら歩くことができます。近くにはSLの転車台跡や旧駅舎なども残り、鉄道の歴史散歩にぴったりのコースです。

敦賀市の観光スポット — 自然・絶景

三方を山に囲まれ、北に敦賀湾が開ける敦賀市は、白砂青松の海岸線から断崖の灯台、離島の透明ビーチまで、変化に富んだ自然景観が魅力です。とくに夏の海水浴シーズンには北陸屈指の美しさを誇るビーチに多くの人が訪れます。

氣比の松原 — 日本三大松原の白砂青松

氣比の松原は、静岡県の三保松原・佐賀県の虹の松原と並ぶ日本三大松原のひとつです。敦賀湾に沿って東西約1.5キロメートル、面積約40ヘクタールにわたって約17,000本のアカマツとクロマツが茂り、白い砂浜と青い松林のコントラストが美しい景勝地として国の名勝に指定されています。

夏は北陸有数の海水浴場として賑わい、遠浅で波が穏やかなため家族連れにも人気があります。海水浴シーズンは例年7月中旬から8月下旬で、海の家や無料シャワーなど設備も充実しています。松林の中には遊歩道が整備されており、海水浴以外の季節でも散歩やジョギングを楽しむ市民の憩いの場となっています。早朝には松林の間から朝日が差し込む幻想的な光景が見られ、カメラ好きにもおすすめのスポットです。敦賀駅からバスで約10分、無料駐車場も広く確保されています。

立石岬灯台 — 日本海側初の洋式灯台

立石岬灯台は、敦賀半島の最北端に立つ日本海側初の洋式灯台です。1881年(明治14年)に初点灯し、140年以上にわたって敦賀湾を行き交う船舶の安全を見守り続けています。白亜の灯台からは日本海の大パノラマが広がり、晴れた日には遠く越前海岸や敦賀市街地を一望できます。

灯台へは敦賀半島先端の立石漁港から山道を約30分登るハイキングコースが整備されています。道中は自然豊かな森の中を歩き、頂上では灯台と日本海の絶景が待っています。灯台周辺は春にはツツジ、秋には紅葉が楽しめるほか、夏場はイカ釣り漁船の漁火が海面を彩る光景も見どころです。アクセスは敦賀市街地から車で約30分ですが、公共交通機関が限られるためレンタカーやタクシーの利用がおすすめです。

水晶浜・水島 — 北陸のハワイと呼ばれる絶景ビーチ

水晶浜と水島は、敦賀半島の西側に位置する北陸屈指の透明度を誇るビーチです。水晶浜は、その名のとおり水晶のように透き通った海水と白い砂浜が特徴で、日本海側のビーチの中でもトップクラスの美しさを誇ります。夏の海水浴シーズンには県内外から多くの海水浴客が訪れ、北陸の夏を代表するビーチとして知られています。

水島は敦賀半島の先端沖に浮かぶ無人島で、「北陸のハワイ」と呼ばれるほどの透明な海と白い砂浜が広がります。夏季限定(7月中旬〜8月下旬)で渡し船が運航しており、色ヶ浜から約10分で到着します。島にはトイレ以外の施設がないため、飲食物は持参が必要です。周囲の海はシュノーケリングにも適しており、魚の泳ぐ姿を間近に観察できます。水晶浜・水島ともに夏季は駐車場が有料(1,000〜2,000円程度)となり、混雑するため早めの到着がおすすめです。

敦賀市のグルメ — 港町が誇る海鮮と麺文化

日本海に面した港町・敦賀は、新鮮な海の幸と独自の食文化が根付くグルメタウンです。巨大海鮮市場での食べ歩きから、深夜の屋台で楽しむご当地ラーメン、鯖街道の歴史を味わう郷土寿司まで、食の楽しみが尽きません。

日本海さかな街 — 敦賀の巨大海鮮市場

日本海さかな街は、敦賀市の国道27号線沿いに位置する日本海側最大級の海鮮市場です。約70店舗が軒を連ね、鮮魚店・海鮮丼店・干物店・お土産店などが所狭しと並ぶ活気あふれる市場は、敦賀観光の定番スポットです。名物の海鮮丼はネタの種類と鮮度が自慢で、越前がに・甘えび・ぶり・うになど日本海の旬の味覚をリーズナブルに楽しめます。

特に人気なのが「自分で選ぶ海鮮丼」で、好きなネタを好きなだけ盛り付けるスタイルが観光客に大好評です。お土産には敦賀名物の焼き鯖や干物、へしこ(鯖のぬか漬け)などが人気で、試食しながら選べるのも市場ならではの楽しみです。営業時間は10時〜18時で、敦賀ICから車で約10分、無料駐車場は約600台分と広大です。週末や連休は混雑するため、11時前の早めの来場がおすすめです。

敦賀ラーメン — 深夜の屋台文化が生んだ港町の味

敦賀ラーメンは、昭和30年代に敦賀の屋台で生まれた豚骨醤油ベースのご当地ラーメンです。豚骨と鶏ガラをじっくり煮込んだ白濁スープに醤油ダレを合わせた濃厚かつコク深い味わいが特徴で、中太のストレート麺がスープによく絡みます。かつては港で働く労働者や漁師たちが深夜に屋台で食べる庶民の味として親しまれていました。

現在も敦賀市内には個性豊かなラーメン店が点在しており、「中華そば 一力」「まるさん屋」「らーめん世界」など、それぞれ独自のスープやトッピングで勝負する名店が揃っています。敦賀駅前の屋台街は残念ながら姿を消しましたが、港町の屋台文化の DNA を受け継ぐラーメン店は今も市民に愛され続けています。北陸新幹線で敦賀を訪れた際のシメの一杯としてもぴったりです。

焼き鯖寿司 — 鯖街道の歴史が生んだ郷土グルメ

焼き鯖寿司は、若狭湾で水揚げされた鯖を香ばしく焼き上げ、酢飯の上に乗せた福井を代表する郷土グルメです。かつて若狭から京都へ鯖を運んだ「鯖街道」の歴史と深く結びつく料理で、敦賀は若狭の鯖が集積する中継地として重要な役割を担っていました。肉厚の鯖を炭火で丁寧に焼き、甘辛いタレで味付けした焼き鯖寿司は、駅弁や土産物としても絶大な人気を誇ります。

日本海さかな街では複数の店舗で焼き鯖寿司を購入でき、焼きたての温かいものをその場で食べることもできます。敦賀駅の売店でも取り扱いがあるため、北陸新幹線の車内で味わうのもおすすめです。若狭の食文化を象徴する一品として、鯖街道の宿場町・熊川宿と合わせてその歴史を辿るのも旅の楽しみ方のひとつです。

敦賀市の観光モデルコース

敦賀市内の主要スポットはコンパクトにまとまっているため、日帰りでも十分に楽しめますが、若狭エリアと組み合わせた1泊2日プランなら、さらに充実した旅が実現します。

敦賀日帰りモデルコース

北陸新幹線で敦賀に到着したら、まず氣比神宮で参拝し、御朱印とお守りをいただきましょう。その後、バスまたは徒歩で港エリアへ移動し、赤レンガ倉庫のジオラマ館を見学。ランチは赤レンガ倉庫のレストランか、少し足を延ばして日本海さかな街で海鮮丼を堪能するのがおすすめです。午後は敦賀ムゼウムで人道の港の歴史に触れ、金ヶ崎城跡を散策。帰りの新幹線の前に敦賀ラーメンで旅のシメを楽しむ、充実の日帰りプランです。

若狭・敦賀1泊2日モデルコース

若狭・敦賀1泊2日観光モデルコースでは、敦賀を起点に若狭エリアまで足を延ばすプランをご紹介しています。1日目は敦賀市内の歴史・港エリアを巡り、2日目は三方五湖のレインボーラインや熊川宿、小浜の鯖街道を訪問。若狭の豊かな自然と食文化を満喫できるルートです。宿泊は敦賀市内のホテルのほか、若狭エリアの温泉旅館もおすすめ。ドライブ旅なら自由度が高く、立石岬灯台や水晶浜など敦賀半島の絶景スポットも組み込めます。

さらに広域で北陸を周遊したい方には、北陸2泊3日モデルコースもあわせてご参照ください。金沢・能登・富山・福井を効率よく巡るルートの中で、敦賀をどう組み込むかのヒントが見つかります。

敦賀市へのアクセス — 北陸新幹線敦賀延伸で便利に

2024年3月16日に開業した北陸新幹線敦賀延伸により、敦賀市へのアクセスは飛躍的に向上しました。東京駅から敦賀駅まで最速3時間8分、金沢駅からは最速42分で結ばれています。大阪・名古屋方面からは特急「サンダーバード」「しらさぎ」が敦賀駅で北陸新幹線に接続しており、大阪からは約1時間20分、名古屋からは約1時間15分でアクセス可能です。

車でのアクセスは、北陸自動車道の敦賀ICが最寄りで、大阪から約2時間、名古屋から約2時間、金沢から約1時間30分です。市内の移動にはぐるっと敦賀周遊バスが便利で、主要観光スポットを巡回しています。運賃は1回200円、1日フリー乗車券は500円とリーズナブルです。レンタサイクルも敦賀駅や観光案内所で借りることができ、コンパクトな市街地の散策に適しています。敦賀半島や旧北陸線トンネル群など郊外のスポットを訪れる場合は、レンタカーの利用がおすすめです。

敦賀は福井県の観光の南の玄関口として、永平寺や東尋坊など福井の他エリアへの拠点にもなります。北陸新幹線の開業により、東京や北陸各地からの日帰り旅行も現実的になった敦賀市。歴史ロマンと港町の風情、日本海グルメ、そして美しい海岸線を求めて、ぜひ一度足を運んでみてください。

写真クレジット:
敦賀赤レンガ倉庫 — 663highland(Wikimedia Commons / CC BY 2.5)
水島(Wikimedia Commons)

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