記事の要点

  • 富山県には越中一宮を称する神社が4社あります。高瀬神社(南砺市)・射水神社(高岡市)・雄山神社(立山町)・気多神社(高岡市)の四社めぐりが御朱印の人気コースです
  • 四社を車でまわると移動だけで4〜5時間が目安。公共交通のみなら高岡起点と城端線・富山地方鉄道の2日に分けるのが無難です
  • 雄山神社の峰本社は開山が7月1日〜9月30日に限られ、室堂から片道約2時間の登山が必要です(登拝料は大人700円・小中学生300円)

授与所・祈祷の受付時間は社ごとに異なります(高瀬神社は9:00〜16:30、射水神社は9:00〜17:00)。祭事で受けられない時間もあるため、各社の公式サイトでご確認ください。

富山県は全国でも珍しく、「越中一宮」を称する神社が4社もある県です。高瀬神社(南砺市)、射水神社(高岡市)、雄山神社(立山町)、気多神社(高岡市)の四社は、いずれも古い歴史と格式を持ち、越中国の信仰の中心として人々に崇敬されてきました。近年は4社すべてを参拝する「越中一宮めぐり」が御朱印巡りの人気コースとなっており、富山の歴史・文化を深く知る旅として注目を集めています。この記事では、越中一宮四社の歴史や御朱印・御利益情報、そしてモデルコースを詳しくご紹介します。

越中一宮とは — 富山の四社の歴史と由来

「一宮(いちのみや)」とは、かつての律令制のもとで各国(令制国)の中で最も社格の高いとされた神社のことです。通常、一つの国に一宮は一社ですが、越中国(現在の富山県)では高瀬神社・射水神社・雄山神社・気多神社の四社がそれぞれ一宮を称しています。これは時代によって一宮の位置づけが変遷したことや、越中国が広大で地域ごとに有力な神社が存在したことが背景にあります。

越中国の総社である越中総社跡は高岡市に所在し、国府も現在の高岡市伏木にあったとされます。奈良時代には大伴家持が越中国守として赴任し、万葉集に越中の風土を詠んだ歌を多く残しました。家持が参拝した神社も越中一宮の中に含まれており、万葉の時代から続く信仰の歴史を感じることができます。

四社はそれぞれ祀る神様も異なり、高瀬神社は大己貴命(大国主命)、射水神社は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)、雄山神社は伊邪那岐命と天手力雄命、気多神社は大己貴命と奴奈加波比売命を祭神としています。越中一宮めぐりでは、これら四社の異なる御利益を一度に授かることができるのも魅力のひとつです。

高瀬神社 — 南砺市に鎮座する越中一宮の古社

高瀬神社は南砺市高瀬に鎮座する越中一宮のひとつで、延喜式神名帳にも記載される古社です。御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)で、縁結び・農耕・国土開拓の神として信仰されています。境内は杉の大木に囲まれた静寂な空間が広がり、越中随一の格式を感じさせます。

高瀬神社の創建は景行天皇の御代と伝えられ、2000年以上の歴史を持つとされています。本殿は入母屋造で、拝殿とともに荘厳な雰囲気を醸し出しています。境内には「なでうさぎ」の像があり、因幡の白兎の故事にちなんで、撫でると病気平癒や心身の健康に御利益があるとされています。

高瀬神社の御朱印は拝殿横の社務所でいただけます。越中一宮の朱印が押された格式ある御朱印で、一宮めぐりの最初の一社として訪れる参拝者も多いです。ご祈祷の受付は9:00〜16:30(年中無休・予約不要)で、祭事や結婚式で受けられない時間もあるため、祈祷を希望する場合は公式サイトのお知らせを確認してください。毎年6月30日の「夏越の大祓」や正月の初詣には多くの参拝者で賑わいます。また、南砺市のこきりこ祭りで知られる五箇山エリアと合わせて訪れるのもおすすめです。

射水神社 — 高岡古城公園に鎮座する越中一宮

射水神社の拝殿
高岡古城公園に鎮座する射水神社(Photo: ChiefHira / CC BY-SA 3.0)

射水神社(いみずじんじゃ)は、高岡古城公園の中に鎮座する越中一宮です。御祭神は瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)で、五穀豊穣・商売繁盛・縁結びの御利益があるとされています。もともとは二上山(ふたがみやま)の麓に鎮座していましたが、明治8年(1875年)に現在の高岡古城公園内に遷座しました。

高岡古城公園は前田利長が築いた高岡城の跡地で、春には桜の名所としても知られる美しい公園です。その中に佇む射水神社は、朱塗りの鳥居と白木造の拝殿が印象的で、緑豊かな公園の景観と調和しています。参拝後は公園内の散策も楽しめるため、観光スポットとしても人気です。近くには国宝瑞龍寺もあり、高岡の歴史文化を堪能できます。

射水神社では結婚式も多く執り行われており、縁結びのパワースポットとしても知られています。御朱印は社務所で受けられ、社務所・授与所の受付は9:00〜17:00です。例大祭は毎年4月23日で、同じ日に旧鎮座地である二上射水神社(高岡市二上)で県指定無形民俗文化財の「築山行事」が行われます。築山行事は高岡古城公園の射水神社の境内で行われるものではないので、見学したい場合は二上射水神社へ向かってください。古城公園の射水神社の秋季大祭は9月16日です。

雄山神社 — 立山山頂に祀られる越中一宮

雄山神社前立社壇の神門
雄山神社前立社壇の荘厳な神門(Photo: Saigen Jiro / CC0)

雄山神社(おやまじんじゃ)は、霊峰立山を御神体とする越中一宮で、三つの社殿から構成される珍しい神社です。山頂の「峰本社」(標高3,003m)、中腹の芦峅寺にある「中宮祈願殿」、そして岩峅寺にある「前立社壇(まえだてしゃだん)」の三社を合わせて雄山神社と呼びます。御祭神は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)です。

立山は古くから山岳信仰の聖地として崇められ、「立山・白山・富士山」の日本三霊山のひとつに数えられています。峰本社は立山黒部アルペンルートの室堂から登山で到達する山頂に鎮座しており、開山期間は7月1日〜9月30日に限られます。山頂での参拝には登拝料(ご祈祷料)として大人700円・小中学生300円が必要で(15名以上の団体は大人600円・小人200円)、ご祈祷は午前8時〜午後3時。授与品・御朱印などを扱う社務所は午前6時から応対し、それ以前に着いても社務所には入れません。公衆トイレの利用は1回100円です。

通年参拝できる前立社壇と中宮祈願殿は、それぞれ里宮としての役割を担っています。前立社壇は富山地方鉄道の岩峅寺駅から徒歩圏内にあり、大きな神門と荘厳な拝殿が印象的です。中宮祈願殿は芦峅寺の集落に位置し、立山信仰の中心地として栄えた歴史を今に伝えています。御朱印は三社それぞれで異なるものをいただくことができ、すべて集めると達成感もひとしおです。

気多神社 — 伏木に佇む越中一宮の静寂の社

気多神社(けたじんじゃ)は高岡市伏木に鎮座する越中一宮で、御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と奴奈加波比売命(ぬなかわひめのみこと)です。能登の気多大社から勧請されたとされ、越中国府が置かれた伏木の地に古くから鎮座してきました。本殿は室町時代の建築で、国の重要文化財に指定されています。

気多神社の魅力は、観光地化されていない静寂な佇まいにあります。深い森に包まれた境内は訪れる人も少なく、古の越中国府の面影を静かに偲ぶことができます。大伴家持が越中国守として赴任した時代、この地は越中の政治・文化の中心地であり、万葉の歌人たちが歩いた地でもあります。

気多神社の御朱印は社務所が不在の場合もあるため、事前に電話(0766-44-1836)で確認してから訪れることをおすすめします。駐車場は階段上の「ふれあいの杜駐車場」に40台+30台(大型バス可)、階段下の気多神社駐車場に30台あり、車でも訪ねやすい神社です。周辺には越中国分寺跡や勝興寺(国宝)もあり、伏木の歴史散策と合わせて訪れると充実した時間を過ごせます。縁結びの神である奴奈加波比売命を祀ることから、恋愛成就のパワースポットとしても密かに人気があります。

越中一宮めぐりの御朱印と御利益

越中一宮めぐりの大きな楽しみのひとつが、四社それぞれで異なる御朱印を集めることです。各神社の御朱印には「越中一宮」の文字が記され、神社名と御祭神にちなんだ印が押されます。四社すべての御朱印を揃えることで、越中国の一宮を完全に巡拝した記念となります。

御利益も四社それぞれに特色があります。高瀬神社は縁結び・病気平癒、射水神社は五穀豊穣・商売繁盛・縁結び、雄山神社は家内安全・五穀豊穣・厄除開運、気多神社は縁結び・夫婦円満といった御利益が知られています。四社を巡ることで、人生のあらゆる場面での御加護を祈願することができるでしょう。

お守りも各神社で個性豊かなものが頒布されています。高瀬神社では因幡の白うさぎにちなむ「福うさぎ」や「えんむすび」のお守りが授与されるなど、その神社ならではの品が旅の思い出になります。授与品の種類や初穂料は時期によって変わるため、参拝の際には社務所の受付時間と合わせて現地で確認してください。

越中一宮めぐりのアクセスとモデルコース

四社をめぐる交通手段

  • 車(1日で四社):まず高岡市内の射水神社と気多神社を午前中に参拝し、その後南砺市の高瀬神社へ、最後に立山町の雄山神社前立社壇へ。全行程は車で4〜5時間程度
  • 公共交通・1日目:高岡駅を起点に射水神社(北口から徒歩約10分)と気多神社(バスまたはタクシー)を巡り、瑞龍寺なども合わせて観光
  • 公共交通・2日目:JR城端線の福野駅で下車して高瀬神社(駅からタクシー約7分)を参拝し、富山駅経由で富山地方鉄道に乗り換えて岩峅寺駅へ。雄山神社前立社壇を参拝します

四社は富山県内に点在しているため車での移動が効率的で、公共交通機関を利用する場合は2日間に分けて巡るのが現実的です。

雄山神社の峰本社(山頂)は開山期間が7月1日〜9月30日に限られるため、峰本社も含めた完全制覇を目指す場合はこの期間に計画する必要があります。立山黒部アルペンルートで室堂まで上がり、雄山山頂まで約2時間の登山となります。登山装備が必要ですので、しっかり準備をして臨みましょう。

越中一宮めぐりの周辺の見どころ

越中一宮めぐりと合わせて訪れたい周辺スポットも豊富です。高岡市では高岡古城公園の散策や国宝瑞龍寺の参拝、高岡大仏の見学など、歴史と文化に触れる観光が楽しめます。瑞龍寺の拝観に予約は不要で、拝観時間は9:00〜16:30(閉門)、冬季の12月10日〜1月31日は16:00閉門、入場は閉門の30分前までです。拝観料は大人500円・中高生200円・小学生100円。南砺市方面ではこきりこ祭りで知られる五箇山の合掌造り集落も世界遺産として必見です。

立山方面では、雄山神社前立社壇の参拝と合わせて立山黒部アルペンルートの観光もおすすめです。称名滝や室堂の雪の大谷など、立山ならではの大自然の絶景を楽しむことができます。越中一宮めぐりは、富山県の歴史・自然・文化を総合的に体験できる贅沢な旅のプランです。四社それぞれの個性ある佇まいと神聖な空気に触れながら、越中の悠久の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

越中一宮めぐりのよくある質問

富山県の一宮(いちのみや)神社はどこですか?
越中国では高瀬神社(南砺市)、射水神社(高岡市・高岡古城公園内)、雄山神社(立山町)、気多神社(高岡市伏木)の四社がそれぞれ一宮を称しています。通常は一国一社ですが、越中は時代や地域ごとに有力社が並立した経緯があります。祭神は高瀬が大己貴命、射水が瓊瓊杵尊、雄山が伊邪那岐命と天手力雄命、気多が大己貴命と奴奈加波比売命です。能登の気多大社(羽咋市)とは別の神社です。
雄山神社の三社はどう参拝し、御朱印はもらえますか?
雄山神社は峰本社(立山山頂・標高3,003m)、中宮祈願殿(芦峅寺)、前立社壇(岩峅寺)の三社構成です。前立社壇は富山地方鉄道・岩峅寺駅から徒歩圏で通年参拝しやすく、中宮祈願殿も里宮として参拝できます。峰本社は立山黒部アルペンルートで室堂まで行き、そこから登山(片道約2時間・登山装備必須)で、開山期間は7月1日〜9月30日に限られます。山頂では登拝料(ご祈祷料)として大人700円・小中学生300円が必要で、ご祈祷は午前8時〜午後3時、授与品や御朱印を扱う社務所は午前6時から応対しています。御朱印は三社それぞれで異なるものを受けられます。
高瀬神社(越中一宮)のアクセスと御朱印は?
南砺市高瀬に鎮座する式内社で、大己貴命を祀り縁結び・農耕などの信仰があります。境内のなでうさぎ像でも知られます。神社の公式案内では、最寄りはJR城端線・福野駅で駅からタクシー約7分です(新高岡駅から城端線で福野駅まで約30分、あいの風とやま鉄道・高岡駅からは約35分)。車なら北陸自動車道・砺波ICから約15分、東海北陸自動車道・福光ICから約15分、南砺スマートICから約10分です。ご祈祷の受付は9:00〜16:30(年中無休・予約不要)で、御朱印は拝殿横の社務所で受けられます。
越中一宮四社を1日で巡れますか?
車なら可能で、高岡の射水神社と気多神社を午前に回り、南砺の高瀬神社、立山町の雄山神社前立社壇へ向かう流れが現実的です。移動だけで4〜5時間程度を見込むと安心です。公共交通のみだと2日に分けるのが無難で、1日目は高岡駅起点で射水(北口から徒歩約10分)と気多、2日目は城端線で高瀬、富山地方鉄道で岩峅寺の前立社壇、という組み方が取りやすいです。
射水神社と気多神社の見どころは?
射水神社は高岡古城公園内にあり、五穀豊穣・商売繁盛・縁結びなどで知られます。もともと二上山麓にあり、明治8年に現在地へ遷座しました。参拝後は公園散策や近くの国宝・瑞龍寺も組み合わせやすいです。気多神社は伏木に鎮座し、本殿は室町時代の建築で国の重要文化財。観光地化されていない静かな社で、周辺には越中国分寺跡や国宝・勝興寺もあります。気多は社務所不在のこともあるため、御朱印は事前確認が安心です。

写真クレジット:
射水神社の拝殿 — ChiefHira(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
雄山神社前立社壇の神門 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC0)

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わっか北陸編集部
HOKURIKU TRAVEL GUIDE
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