養浩館庭園と福井城址 — 名勝の池泉庭園と越前松平家の城跡を巡る福井市街散策

福井市の中心部に位置する養浩館庭園(ようこうかんていえん)は、江戸時代に越前松平家の別邸として造営された池泉回遊式庭園です。アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」の日本庭園ランキングで常にトップ10に入る評価を受けており、国の名勝にも指定されています。すぐ近くには越前松平家の居城であった福井城址があり、石垣と堀が往時の面影を伝えています。この二つの史跡を中心に、福井市街の歴史と文化を感じる散策コースをご紹介します。
目次
養浩館庭園の歴史 — 越前松平家の優雅な別邸「御泉水屋敷」
養浩館庭園の前身は、福井藩初代藩主・松平秀康の時代に造営が始まった「御泉水屋敷(おせんすいやしき)」です。3代藩主・松平忠昌の頃に本格的な整備が進められ、江戸時代を通じて藩主一族の別邸・迎賓の場として使われてきました。「養浩館」の名は明治時代に改称されたもので、「浩然の気を養う館」という意味が込められています。
1945年の福井空襲と1948年の福井地震により、建物と庭園は壊滅的な被害を受けましたが、1982年から復元事業が始まり、残されていた江戸時代の絵図面や記録をもとに忠実に再建されました。1993年に書院建物が完成し、2004年に庭園全体の復元が完了。現在の養浩館庭園は、江戸中期の大名庭園の姿を正確に蘇らせた貴重な文化遺産として、国内外から高い評価を受けています。
養浩館庭園の見どころ — 池泉回遊式庭園と数寄屋造りの書院

養浩館庭園の最大の特徴は、広大な池を中心に配された回遊式庭園と、池にせり出すように建てられた数寄屋造りの書院が一体となった景観です。書院の座敷に腰を下ろすと、目の前に広がる池の水面と対岸の築山、周囲の樹木が一幅の絵画のように映し出されます。池には錦鯉が泳ぎ、四季折々の風景が水面に映り込む様は、まさに「生きた日本画」と呼ぶにふさわしい美しさです。
書院建物は、「御座ノ間」「御月見ノ間」「御茶室」など複数の部屋から構成されており、それぞれ異なる角度から庭園を楽しめるよう設計されています。特に「御月見ノ間」は、名前の通り月を愛でるために配置された部屋で、池に映る月影を眺めながら宴を催すという、藩主の風雅な暮らしぶりが偲ばれます。建物内部は見学自由で、畳の上に座って庭を眺めながら過ごす贅沢な時間を堪能できます。
庭園の植栽にも注目です。春の桜と新緑、夏の蓮と緑陰、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季の移ろいが庭の表情を劇的に変えます。特に秋の紅葉シーズンには夜間ライトアップも行われ、幻想的な雰囲気の中での庭園鑑賞が楽しめます。入園料は220円(大人)と手頃で、福井駅から徒歩約15分という好立地も魅力です。
福井城址の石垣と堀 — 越前松平家68万石の居城跡

養浩館庭園から徒歩約10分の場所にある福井城址は、越前松平家68万石の居城跡です。1601年(慶長6年)に徳川家康の次男・結城秀康(松平秀康)が築城し、以後幕末まで越前松平家17代の居城として栄えました。現在は本丸跡に福井県庁・県議会議事堂が建っていますが、周囲を巡る立派な石垣と水堀は江戸時代の姿をよく残しています。
福井城址の見どころは、高さ約15mにも及ぶ見事な石垣と、それを取り囲む幅広い水堀です。特に御本城橋(ごほんじょうばし)から見上げる石垣は迫力満点。石垣の一部には1948年の福井地震でずれた痕跡がそのまま保存されており、震災の記憶を伝える史跡としての側面も持っています。2018年には「福の井」(福井の地名の由来とされる井戸)と「山里口御門」が復元され、城址の歴史的価値がさらに高まりました。
福井城址の堀端は桜の名所としても知られ、春には約300本のソメイヨシノが石垣を彩ります。堀の水面に映る桜と石垣の風景は、福井を代表する春の絶景のひとつ。夜にはライトアップも行われ、夜桜見物の人々で賑わいます。城址の周囲は遊歩道として整備されており、堀端を一周する散策は約20分ほどです。
養浩館庭園と福井城址の周辺散策 — 福井市中心部の見どころ
養浩館庭園と福井城址を訪れたら、あわせて福井市中心部の見どころも巡ってみましょう。福井城址のすぐ南側にある福井市立郷土歴史博物館は、福井藩の歴史や城下町の暮らしを学べる施設で、養浩館庭園との共通券も販売されています。博物館の屋上からは福井城址の全体像を俯瞰でき、かつての城郭の規模を実感できます。
福井駅前には2024年に北陸新幹線が延伸開業し、駅前広場には実物大の恐竜モニュメントが設置されて話題を集めています。駅西口の「ハピリン」には福井の物産店やレストランが入っており、越前おろしそばやソースカツ丼など福井名物を味わえます。また、駅から徒歩圏内には佐佳枝廼社(さかえのやしろ)や柴田神社(柴田勝家ゆかりの社)など、歴史スポットも点在しています。
養浩館庭園と福井城址へのアクセス・拝観情報
養浩館庭園へのアクセスは、北陸新幹線・福井駅から徒歩約15分、またはバスで約5分です。開園時間は9時〜17時(11月6日〜3月5日は〜15時30分)。入園料は大人220円で、福井市立郷土歴史博物館との共通券は350円とお得です。毎週月曜(祝日の場合は翌日)と年末年始が休園日ですが、春の桜や秋の紅葉シーズンには臨時開園することもあります。
福井城址は常時開放されており、入場無料で見学できます。復元された山里口御門は9時〜17時に公開。駐車場は養浩館庭園に隣接した有料駐車場のほか、福井城址周辺にも複数のコインパーキングがあります。
福井市中心部からは、曹洞宗の大本山永平寺まで車で約30分。また、加賀温泉郷へは北陸新幹線で約20分とアクセス良好です。福井市を拠点に、養浩館庭園・福井城址の歴史散策と、永平寺の禅体験を組み合わせた一日コースは、福井の歴史と文化を深く味わえるおすすめプランです。
写真クレジット:
養浩館庭園の池泉回遊式庭園 — Japanexperterna.se(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
養浩館庭園の書院と庭 — 663highland(Wikimedia Commons / CC BY 2.5)
福井城址の石垣と堀 — 663highland(Wikimedia Commons / CC BY 2.5)








