国吉城と若狭の山城 — 難攻不落の続日本100名城・粟屋勝久の籠城戦と佐柿の歴史散策

国吉城とは — 難攻不落の若狭の山城と続日本100名城

福井県三方郡美浜町佐柿にそびえる国吉城(くによしじょう)は、戦国時代に若狭国の守りを固めた難攻不落の山城です。標高197メートルの城山に築かれたこの山城は、越前朝倉氏の度重なる侵攻を何度も撃退した堅城として歴史に名を刻んでいます。2017年には「続日本100名城」に選定され、全国の城郭ファンからも注目を集めるスポットとなりました。

国吉城は丸岡城のような天守閣こそ残っていませんが、山頂に広がる曲輪群や石垣の遺構は見事で、中世の山城のスケールを体感できます。山頂からの眺望も素晴らしく、若狭湾から美浜町の町並みまで一望できる絶景が広がります。歴史ファンはもちろん、ハイキング好きにもおすすめの城跡です。

国吉城跡から西方を望む美浜町の市街地と佐柿の景色
国吉城跡から西方を望む美浜町の風景。佐柿の町並みやJR美浜駅周辺が一望できる(Photo: Fumi Yana / CC BY-SA 4.0)

国吉城の歴史 — 粟屋勝久と朝倉氏との攻防

国吉城は、弘治2年(1556年)に若狭武田氏の家臣・粟屋勝久(あわやかつひさ)によって築かれたとされています。当時、若狭武田氏は内紛によって衰退しつつあり、隣国の越前朝倉氏が若狭への侵攻を繰り返していました。粟屋勝久は国吉城に拠って若狭の南の守りを固め、朝倉氏の侵攻を迎え撃ちました。

永禄6年(1563年)から元亀元年(1570年)までの約7年間、朝倉氏は毎年のように国吉城を攻撃しましたが、粟屋勝久はその都度これを撃退。地元の農民や漁民も一丸となって城を守り抜いたと伝えられています。この粘り強い防衛戦は「国吉籠城戦」として知られ、難攻不落の城という名声を確立しました。

元亀元年(1570年)、織田信長が朝倉氏攻めのために越前に進軍した際、粟屋勝久は信長に味方して国吉城を拠点として提供しました。信長もこの城の堅固さに感心し、勝久の武勇を称えたと記録されています。その後、豊臣時代には木村定光が城主となり、城は近世的な改修が施されましたが、関ヶ原の戦い後に廃城となりました。

国吉城跡の見どころと登山コース

国吉城跡への登城は、麓の若狭国吉城歴史資料館から始まります。資料館から本丸までの登山道は整備されており、片道約30分のハイキングコースです。急な箇所もありますので、動きやすい服装とスニーカー以上の靴で訪れることをおすすめします。

登山道の途中には、戦国時代の曲輪(くるわ)や堀切(ほりきり)の遺構が随所に残っています。特に注目したいのは、本丸周辺に残る野面積みの石垣です。豊臣時代に改修されたとみられるこの石垣は、山城としては立派なもので、当時の城郭建築の技術を今に伝えています。

山頂の本丸跡からは360度のパノラマが広がり、北には若狭湾の青い海、西には美浜町の市街地、南には山々の連なりを望むことができます。天気の良い日には対岸の常神半島まで見渡すことができ、国吉城がなぜこの地に築かれたのか——交通の要衝を見張る軍事的重要性を実感できるでしょう。

若狭国吉城歴史資料館と佐柿の町並み

国吉城跡の麓にある若狭国吉城歴史資料館は、国吉城の歴史と若狭武田氏の興亡を学べる施設です。資料館の建物自体が、江戸時代の佐柿町奉行所跡を活用しており、歴史的な趣のある外観も見どころのひとつです。館内では、国吉城から出土した瓦や陶磁器などの遺物、合戦の様子を描いた絵図、粟屋勝久の事績を紹介する展示などを見学できます。入館料は100円と手頃です。

資料館の周辺には、佐柿の古い町並みが残っています。佐柿は丹後街道の宿場町として栄えた歴史を持ち、今も格子窓の民家や土蔵が点在する風情ある町並みが続いています。佐柿町奉行所は江戸時代に小浜藩が設置した行政機関で、若狭の行政の一端を担っていました。国吉城跡の登城前後に、この歴史ある町並みを散策するのも楽しみのひとつです。

福井県美浜町佐柿にある若狭国吉城歴史資料館の外観
若狭国吉城歴史資料館は佐柿町奉行所跡を活用した歴史施設(Photo: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0)

国吉城の続日本100名城スタンプとアクセス情報

続日本100名城スタンプ:国吉城は続日本100名城の第140番に選定されています。スタンプは若狭国吉城歴史資料館の受付に設置されており、開館時間内に押印できます。城郭めぐりファンの間では、丸岡城(日本100名城)と合わせて福井の城めぐりとして訪れる方も多いです。

所在地:福井県三方郡美浜町佐柿25-2(若狭国吉城歴史資料館)

開館時間:4月〜11月は9:00〜17:00、12月〜3月は10:00〜16:30。月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始休館。入館料100円。

電車でのアクセス:JR小浜線美浜駅から徒歩約15分、または車で約3分です。北陸新幹線敦賀駅からJR小浜線に乗り換え、美浜駅で下車します。

車でのアクセス:舞鶴若狭自動車道の若狭美浜ICから約5分。資料館に無料駐車場があります。

所要時間:資料館の見学に約30分、本丸までの登山往復に約1時間、合計1時間30分〜2時間が目安です。

国吉城と合わせて訪れたい福井の城郭と周辺スポット

福井県は戦国時代の城郭が数多く残る地域です。国吉城と合わせて、福井の城めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。越前の戦国大名・朝倉氏の本拠地であった一乗谷朝倉氏遺跡は、国の特別史跡に指定されている壮大な遺跡で、復原された町並みは戦国時代にタイムスリップしたかのような体験ができます。

また、柴田勝家ゆかりの北ノ庄城跡(福井市)も見逃せません。朝倉氏を滅ぼした後の越前統治を担った勝家の居城跡で、福井城址とともに福井市中心部の歴史スポットとなっています。国吉城から車で約1時間半の丸岡城は、現存天守12城のひとつに数えられる貴重な城郭です。若狭から越前へ、福井の戦国史を辿る城めぐりの旅をお楽しみください。

写真クレジット:
国吉城跡から望む美浜町の風景 — Fumi Yana(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
若狭国吉城歴史資料館の外観 — Asturio Cantabrio(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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