黒部市の観光ガイド|黒部峡谷トロッコ・宇奈月温泉・黒部ダムと大自然の絶景
富山県の東部に位置する黒部市は、日本一の高さを誇る黒部ダム、日本一深いV字峡谷を走るトロッコ電車、そして北陸屈指の名湯・宇奈月温泉と、スケールの大きな自然と温泉が揃う観光都市です。標高3,000m級の北アルプスから流れ出す黒部川は、険しい峡谷を刻みながら富山湾へと注ぎ、その扇状地には清らかな湧き水が湧き出す「名水の里」が広がっています。ダイナミックな山岳観光から温泉街の散策、海辺の湧水めぐりまで、黒部市は一度の旅では味わいきれないほどの魅力に溢れています。この記事では、黒部市の主要観光スポットをエリアごとに整理し、グルメ・モデルコース・アクセス情報まで網羅してご紹介します。

目次
黒部市の観光スポット — 黒部峡谷・ダム
黒部市の観光のハイライトといえば、北アルプスの懐深くに広がる黒部峡谷エリアです。「世紀の大事業」と呼ばれたダム建設の舞台であり、切り立った断崖と原生林が織りなす大自然は訪れる人を圧倒します。2024年に一般開放された黒部宇奈月キャニオンルートの誕生により、宇奈月温泉側から黒部ダムへ直接アクセスできるようになり、周遊の選択肢がさらに広がりました。
黒部ダム — 日本一の高さ186mの巨大アーチダム
黒部ダムは、高さ186m・堤頂長492mを誇る日本最大級のアーチ式ダムです。1956年から7年の歳月と延べ1,000万人の作業員を投じて完成した「世紀の大事業」は、映画『黒部の太陽』でも描かれ、日本の土木史に燦然と輝く偉業として知られています。毎年6月下旬から10月中旬に行われる観光放水では、毎秒10トン以上の水が放物線を描いて落下し、晴れた日にはダムにかかる虹を見ることができます。展望台からは立山連峰と黒部湖のパノラマが一望でき、遊覧船「ガルベ」で湖上クルーズを楽しむことも可能です。黒部ダムへは長野県側の扇沢から電気バスで向かう立山黒部アルペンルートが定番のアクセス方法ですが、富山県側からキャニオンルートを使って訪れることもできるようになりました。
黒部峡谷トロッコ電車 — V字峡谷を走る絶景鉄道

黒部峡谷トロッコ電車は、宇奈月駅から終点の欅平(けやきだいら)駅まで約20.1kmを片道約80分で結ぶ観光鉄道です。もともとは電源開発のための工事用軌道として敷設されたもので、日本一深いV字峡谷の断崖に沿って走るスリル満点の路線として人気を集めています。車窓からは、エメラルドグリーンに輝く黒部川の清流、赤や黄に染まる紅葉の渓谷美、雪解け水が流れ落ちる滝など、四季折々の絶景が楽しめます。途中の鐘釣駅周辺では河原の露天風呂を体験でき、終点の欅平駅では人喰岩や奥鐘橋といった景勝地を巡ることができます。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉と見ごろが移り変わり、特に10月下旬から11月上旬の紅葉シーズンは予約が取りにくいほどの人気です。
黒部宇奈月キャニオンルート — 秘境を貫く新たな観光ルート
黒部宇奈月キャニオンルートは、2024年6月に一般開放された新しい山岳観光ルートです。宇奈月温泉と黒部ダムを結ぶこのルートは、関西電力の工事用設備(インクライン・竪坑エレベーター・バッテリートロッコなど)を活用しており、これまで一般人が立ち入ることのできなかった黒部峡谷の最奥部を体験できます。全行程は約3時間半で、高低差約800mを一気に駆け上がるインクラインや、地下200mを進むバッテリートロッコなど、通常の観光では味わえない冒険的な体験が待っています。このルートの開通により、宇奈月温泉から黒部ダム・立山黒部アルペンルートへの周遊が可能になり、富山県側から一気通貫で立山・黒部エリアを楽しむことができるようになりました。なお、利用には事前予約が必要で、1日の定員が限られているため早めの計画がおすすめです。
黒部市の観光スポット — 宇奈月温泉
黒部峡谷の玄関口に位置する宇奈月温泉は、富山県随一の規模と湯量を誇る温泉地です。大正時代に黒部川の電源開発とともに発展した温泉街は、峡谷の絶景と良質な湯を同時に楽しめる贅沢なリゾートとして、北陸を代表する温泉地に成長しました。
宇奈月温泉 — 峡谷美と名湯が融合する温泉街
宇奈月温泉の泉質は、弱アルカリ性の単純温泉で、無色透明・肌にやさしい「美肌の湯」として知られています。湯量は北陸でもトップクラスで、温泉街には大小の旅館・ホテルが立ち並び、黒部峡谷を望む露天風呂が自慢の宿も多数あります。温泉街の散策では、温泉噴水やトロッコ電車の宇奈月駅前に立つ「湯めどころ宇奈月」の足湯が人気スポットです。また、黒部川沿いの遊歩道「やまびこ遊歩道」を歩けば、朱色の山彦橋や新山彦橋を渡りながら峡谷の景色を堪能できます。冬季はトロッコ電車が運休しますが、雪に包まれた静かな温泉街で過ごす冬の宇奈月も格別の趣があり、スキー場も近いため冬の旅の拠点としてもおすすめです。
黒部峡谷の秘湯 — 黒薙温泉・鐘釣温泉・名剣温泉
黒部峡谷には、トロッコ電車でしかアクセスできない秘湯が点在しています。宇奈月温泉の源泉でもある黒薙温泉は、峡谷の深い谷間に湧く混浴の大露天風呂で、大自然に包まれた野趣あふれる入浴体験ができます。鐘釣温泉は、河原を掘ると温泉が湧き出すという珍しい「河原露天風呂」が名物で、黒部川の清流を眺めながらの足湯が人気です。終点の欅平駅から徒歩15分ほどの場所にある名剣温泉は、峡谷の断崖に張り付くように建つ秘湯の一軒宿で、谷底の露天風呂から見上げる峡谷美は圧巻です。いずれもトロッコ電車の運行期間(4月下旬~11月末)のみの営業となるため、訪問の際は事前に営業状況を確認しましょう。秘湯めぐりを楽しむなら、宇奈月温泉に宿泊して日帰りでトロッコ電車に乗るプランがおすすめです。
黒部市の観光スポット — 生地の湧水と街歩き
黒部市の海側に位置する生地(いくじ)地区は、北アルプスの雪解け水が黒部川扇状地の地下を通り、地表に湧き出す「清水(しょうず)」の里として知られています。山岳観光の黒部峡谷エリアとは対照的に、こちらは穏やかな漁港の街並みと澄んだ湧き水に癒されるエリアです。
生地の清水めぐり — 全国名水百選の湧水スポット
生地の清水(しょうず)めぐりは、生地地区に点在する約20か所の湧水スポットを徒歩で巡る街歩きコースです。環境省の「全国名水百選」にも選ばれたこの湧水群は、北アルプスに降った雪が数十年の歳月をかけて地中でろ過され、地表に湧き出したものです。年間を通じて水温は約12度と冷たく、そのまま飲むことができる清らかさが魅力です。代表的な湧水スポットには、弘法大師が杖で突いたら水が湧いたという伝説の「弘法の清水」、住宅地の中にひっそりと湧く「前名寺の清水」、地元の人々が野菜を洗う共同洗い場としても使われる「殿様清水」などがあります。生地の街は漁港の町でもあり、清水めぐりの途中には新鮮な魚介を扱う鮮魚店や、地元の人が通う食堂も点在しています。所要時間は約1~2時間で、黒部峡谷エリアとは趣の異なる、のんびりとした街歩きが楽しめます。立山連峰の雪解け水が生み出す恵みを、山と海の両方から感じられるのが黒部市の魅力です。
黒部市のグルメ — 名水が育む食の魅力
黒部市のグルメは、北アルプスの名水と富山湾の豊かな海の幸に支えられています。山から海までの距離が短い黒部ならではの食文化を楽しみましょう。
黒部名水ポークは、黒部川扇状地の湧き水で育てられたブランド豚です。名水で飼育された豚肉はクセが少なく、きめ細かな肉質と上品な甘みが特徴です。宇奈月温泉の旅館やレストランで提供されるほか、黒部市内の飲食店でもとんかつやしゃぶしゃぶなどで味わうことができます。
宇奈月ビールは、黒部川の名水を使って醸造されるクラフトビールです。宇奈月温泉の「宇奈月麦酒館」で製造・販売されており、十字峡(ケルシュスタイル)・カモシカ(ボック)・トロッコ(アルト)の3種類が定番です。それぞれ黒部峡谷にちなんだ名前が付けられており、温泉上がりの一杯に最適です。レストランではビールに合う地元食材を使った料理も楽しめます。
富山湾の海鮮も黒部市の食の魅力のひとつです。生地漁港は富山湾に面した漁港で、春のホタルイカ、夏のバイ貝、秋のベニズワイガニ、冬の寒ブリと、四季を通じて新鮮な魚介が水揚げされます。特に富山湾の宝石と呼ばれる白エビは、黒部の名水で洗い上げることで透き通った美しさと甘みが際立ちます。黒部市内や魚津市の回転寿司でも、富山湾鮨として地物のネタを手軽に楽しむことができます。
黒部市の観光モデルコース
黒部市の観光スポットは広範囲にわたるため、エリアを絞って効率よく回るのがポイントです。ここでは、おすすめのモデルコースをご紹介します。
黒部・宇奈月1泊2日モデルコース
黒部・宇奈月1泊2日観光モデルコースでは、黒部峡谷トロッコ電車と宇奈月温泉を中心に、黒部市の魅力を凝縮して楽しめるプランを詳しく紹介しています。1日目は宇奈月温泉からトロッコ電車で欅平へ向かい、峡谷の絶景と秘湯を満喫。宇奈月温泉に戻って名湯と地元グルメを堪能します。2日目は黒部宇奈月キャニオンルートで黒部ダムへ抜け、立山黒部アルペンルートで室堂や称名滝へと足を延ばすこともできます。時間に余裕があれば、生地の清水めぐりを組み合わせて、山と海の両方を楽しむ旅程も可能です。
そのほかの北陸モデルコースでは、金沢や能登を組み合わせた2泊3日の周遊プランも紹介していますので、黒部市を含めた北陸旅行全体の計画にお役立てください。
黒部市へのアクセス
黒部市への主要なアクセス方法を交通手段別にまとめました。
北陸新幹線でのアクセス
黒部市の玄関口は北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅です。東京駅から「はくたか」で約2時間20分、金沢駅からは約40分でアクセスできます。駅前からは富山地方鉄道の新黒部駅が隣接しており、宇奈月温泉駅まで約25分で乗り換えなしで向かうことができます。
車でのアクセス
北陸自動車道の黒部ICが最寄りのインターチェンジです。東京方面からは上信越自動車道・北陸自動車道経由で約5時間、名古屋方面からは東海北陸自動車道・北陸自動車道経由で約4時間30分が目安です。黒部ICから宇奈月温泉までは約20分です。黒部ダムへ車で向かう場合は、長野県側の扇沢駐車場を利用するのが便利です。
富山きときと空港からのアクセス
富山きときと空港からは、富山駅を経由して北陸新幹線または富山地方鉄道で黒部方面へ向かいます。空港から富山駅まではバスで約25分、富山駅から黒部宇奈月温泉駅までは新幹線で約15分です。羽田空港からの便が就航しており、飛行機と新幹線を組み合わせたアクセスも可能です。
周辺観光地への移動
黒部市を拠点に、富山県内の観光スポットへのアクセスも良好です。富山市中心部へは新幹線で約15分、魚津市の蜃気楼展望スポットや埋没林博物館へは車で約20分です。立山黒部アルペンルートの富山側の起点である立山駅へは、富山地方鉄道で約1時間です。黒部宇奈月キャニオンルートを利用すれば、宇奈月温泉から黒部ダムを経由してアルペンルートへ直接合流することも可能です。
黒部市は、日本一の規模を誇るダムと峡谷の大自然、北陸屈指の温泉、名水が育む食文化、そして素朴な漁港の街歩きと、多彩な魅力が凝縮された観光都市です。季節ごとに異なる表情を見せる黒部峡谷は何度訪れても新しい発見があり、宇奈月温泉の湯は旅の疲れを心地よく癒してくれます。キャニオンルートの開通で周遊の幅が広がった今、ぜひ黒部市を訪れて、山・峡谷・温泉・海のすべてを体感してみてください。
写真クレジット:
宇奈月温泉と黒部峡谷 — 掬茶(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
立山連峰(Wikimedia Commons)







