世界一長いベンチ — 460.9メートルのギネス記録が彩る能登の夕日

石川県志賀町の増穂浦海岸に、全長460.9メートルにもおよぶ巨大なベンチが延びています。その名も「世界一長いベンチ」。1989年にギネスブックに認定されたこのベンチは、日本海に沈む壮大な夕日を眺めるために生まれた、能登半島を代表する観光スポットです。

830人のボランティアが生んだ世界記録

海辺のベンチと夕日の風景
海に沈む夕日を眺めるベンチ(Photo: Unsplash)

世界一長いベンチは、1987年(昭和62年)に誕生しました。「この美しい日本海の夕日を、もっと多くの人にゆっくり座って眺めてほしい」——そんな地元住民の思いから、延べ830人ものボランティアの手によって組み上げられたのです。

完成から2年後の1989年、全長460.9メートルという規模が認められ、見事ギネス世界記録に認定されました。東京タワー(333メートル)をはるかに超える長さのベンチが、日本海を見下ろす高台に沿ってどこまでも続く光景は、訪れる人を驚かせます。

増穂浦海岸 — さくら貝が流れ着く浜

砂浜に打ち上げられた美しい貝殻
増穂浦海岸は「日本小貝三名所」のひとつ(Photo: Unsplash)

世界一長いベンチが設置されている増穂浦海岸は、「日本小貝三名所」のひとつに数えられる美しい海岸です。冬の季節風が吹くと、ピンク色のさくら貝をはじめ、約300種類もの小さな貝が波打ち際に打ち寄せられます。

さくら貝は「幸せを呼ぶ貝」として知られ、その淡いピンク色はまるで桜の花びらのよう。11月から3月頃にかけてが最も多く見られる季節で、ビーチコーミング(貝殻拾い)を楽しむ人々で賑わいます。海岸の近くにある「増穂浦さくら貝資料館」では、この海岸に打ち寄せられた貝殻の標本や、世界各地から集められた貝細工アートも鑑賞できます。

絶景の夕日スポット

日本海の海岸線に沈む美しい夕焼け
日本海に沈む夕日は息をのむ美しさ(Photo: Unsplash)

世界一長いベンチの最大の魅力は、何と言っても日本海に沈む夕日を特等席で楽しめることです。海岸の高台に設置されたベンチに腰かけると、目の前には遮るものなく広がる日本海の大パノラマ。夕暮れ時には、空と海がオレンジ色から紫色へと刻々と染まり、まるで巨大なキャンバスに絵を描くような壮大な光景が広がります。

460メートルもの長さがあるため、混雑することなく、お気に入りの場所を見つけてゆっくりと夕日を眺められるのも嬉しいポイントです。カップルや家族連れ、一人旅の方まで、誰もが思い思いの時間を過ごせます。

2024年リニューアル — 能登の復興のシンボルとして

海を見渡す静かなベンチの風景
リニューアルされたベンチで海を眺める(Photo: Unsplash)

長年にわたり多くの人に愛されてきたベンチですが、老朽化に伴い2023年冬に一時撤去されました。しかし、2024年5月にリニューアルが完了。座面にはすべて石川県の県木であるアテ(ヒノキアスナロ)が使用され、木の温もりを感じる美しいベンチに生まれ変わりました。

2024年10月には「世界一長いベンチリニューアルイベント」が開催され、「リレー方式で和太鼓を叩いた最多人数」でのギネス世界記録にも挑戦。志賀町は「太鼓のまち」としても知られており、和太鼓の響きとともに能登半島の復興への決意を世界に発信しました。見事、新たなギネス世界記録を達成し、志賀町は「世界一長いベンチのまち」としてだけでなく、「和太鼓のまち」としても新たな歴史を刻んでいます。

夏から秋のイルミネーション

日本海に沈む幻想的な夕焼け
夕暮れから夜へ移り変わる幻想的な風景(Photo: Unsplash)

毎年8月から11月にかけて、世界一長いベンチ周辺ではイルミネーションが開催されます。日が沈んだ後のベンチと海岸が色とりどりのLED照明で彩られ、昼間とはまた違った幻想的な雰囲気に包まれます。

夕日を眺めてからそのままイルミネーションを楽しむ——夏から秋にかけて訪れれば、一度の訪問で二つの絶景を堪能できる贅沢な体験が待っています。

周辺の見どころ

世界一長いベンチの周辺には、合わせて楽しみたいスポットがいくつもあります。

  • 道の駅とぎ海街道 — 地元の新鮮な海産物やお土産が揃う道の駅。能登の味覚を堪能できるレストランも併設
  • 増穂浦さくら貝資料館 — 約300種類の小貝の標本や世界中の貝細工アートを展示
  • 能登金剛 — 日本海の荒波が作り上げた断崖絶壁の景勝地。巌門(がんもん)は必見
  • 機具岩(はたごいわ) — 能登二見とも呼ばれる夫婦岩。夕日とのコラボレーションが美しい

アクセス情報

所在地〒925-0447 石川県羽咋郡志賀町富来領家町
車でのアクセスのと里山海道「西山IC」から約30分
バスでのアクセス北鉄バス「富来」バス停より徒歩約10分
駐車場あり(無料)
料金見学自由(無料)
お問い合わせ志賀町商工観光課 TEL: 0767-32-9341

能登半島の西海岸に位置するため、金沢市内からは車で約1時間30分ほど。能登方面へのドライブ旅行の際に立ち寄りやすいロケーションです。夕日の時間帯に合わせて訪れるのがおすすめです。

830人の思いが詰まった全長460.9メートルのベンチ。日本海の絶景を前に腰かけるひとときは、能登半島の旅の忘れられない思い出となるでしょう。

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写真クレジット:
海に沈む夕日を眺めるベンチ — Unsplash
増穂浦海岸の貝殻 — Unsplash
日本海に沈む夕日 — Unsplash
リニューアルされたベンチ — Unsplash
夕暮れから夜へ移り変わる風景 — Unsplash

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