万葉線 — ドラえもんトラムが走る高岡のレトロ路面電車|料金・乗り方・沿線観光ガイド
富山県高岡市と射水市を結ぶ万葉線は、全長約12.8kmのレトロな路面電車です。沿線には高岡の歴史的な町並みや射水の港町が広がり、車窓からは立山連峰の眺望も楽しめます。特に人気を集めるのが「ドラえもんトラム」。藤子・F・不二雄の故郷・高岡を走るこの青い電車は、鉄道ファンだけでなく家族連れにも大人気です。万葉線の料金や乗り方、沿線の観光スポットまで、路面電車の旅を余すことなくご紹介します。
万葉線とは — 高岡と射水を結ぶ路面電車

万葉線(まんようせん)は、富山県高岡市の高岡駅停留場から射水市の越ノ潟停留場までを結ぶ路面電車・鉄道路線です。正式には高岡軌道線(路面電車区間)と新湊港線(鉄道区間)の2路線から成り、万葉線株式会社が運行しています。沿線には高岡大仏や瑞龍寺といった歴史的名所のほか、海王丸パークや新湊きっときと市場など射水の港町の魅力もあり、路線全体が観光ルートとして楽しめるのが特徴です。
路面電車区間では、高岡の中心市街地を走る電車が信号待ちをしたり、車と並走したりする光景が見られ、地方都市ならではの風情を感じられます。鉄道区間に入ると専用軌道を走り、庄川を渡る鉄橋からは晴れた日に立山連峰の壮大なパノラマが広がります。片道約40分の短い旅ですが、車窓の変化に富んだ路線です。
万葉線の見どころ — ドラえもんトラムと沿線の観光スポット
万葉線の最大の見どころといえば、2012年に運行を開始した「ドラえもんトラム」です。高岡市は漫画家・藤子・F・不二雄(藤本弘)の出身地であり、市内には「藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」(高岡市美術館内)も設けられています。ドラえもんトラムは車体の外装がドラえもんブルーに塗られ、車内にもドラえもんやのび太たちのキャラクターが描かれた特別車両です。座席や吊り革にもキャラクターがあしらわれ、まるでドラえもんの世界に入り込んだかのような体験ができます。
ドラえもんトラムは毎日運行していますが、1日の運行本数が限られているため、乗車を希望する場合は万葉線の公式サイトで運行ダイヤを事前に確認するのがおすすめです。通常の運賃で乗車でき、予約は不要です。高岡駅から乗車すれば、出発時にドラえもんの声でアナウンスが流れるなど、細部まで凝った演出が楽しめます。
沿線の主な観光スポットとしては、まず高岡駅周辺が挙げられます。駅から徒歩圏内には日本三大仏のひとつ「高岡大仏」や、加賀前田家ゆかりの国宝「瑞龍寺」があります。少し進んだ坂下町停留場付近は高岡の伝統産業である高岡銅器の問屋街が広がるエリアです。金屋町の千本格子の町並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、鋳物の歴史を感じる散策が楽しめます。
路線の中ほどにある米島口停留場には万葉線の車両基地があり、タイミングが合えば車両が並ぶ姿を見ることができます。さらに終点の越ノ潟停留場付近では、海王丸パークに係留された帆船「海王丸」の優雅な姿や、新湊大橋の壮大なスケールを間近に感じられます。越ノ潟からは対岸の堀岡へ向かう無料の県営渡船も運航しており、短い船旅も楽しめます。新湊きっときと市場では富山湾の新鮮な海の幸を味わうことができ、白えびや紅ずわいがにのグルメも見逃せません。
万葉線の歴史と大伴家持ゆかりの路線名
万葉線の歴史は1948年(昭和23年)にさかのぼります。当初は富山地方鉄道が高岡軌道線として運行を開始し、高岡市の中心部を走る路面電車として市民の足となりました。新湊港線の区間は、もともと加越能鉄道が運行していた路線です。両路線は後に加越能鉄道に統合されましたが、モータリゼーションの進展により利用者は減少の一途をたどりました。
2000年代に入ると廃線の危機に直面しましたが、沿線住民や自治体の存続運動が実を結び、2002年に第三セクター「万葉線株式会社」が設立されて運行を引き継ぎました。このとき路線の愛称として採用されたのが「万葉線」という名前です。
万葉線の名前は、奈良時代の歌人・大伴家持に由来しています。家持は746年から越中国守として約5年間この地に赴任し、万葉集に収められた473首もの歌を詠みました。「万葉集」全4,500首のうち1割以上が越中で詠まれたことになり、高岡は「万葉のふるさと」と呼ばれています。沿線には家持が歌に詠んだ二上山(ふたがみやま)の姿も望め、万葉の時代に思いを馳せながらの電車旅は格別です。
車両面では、第三セクター化を機に導入された超低床車両「アイトラム(MLRV1000形)」が注目を集めました。バリアフリー対応の新型車両は、路面電車の近代化の象徴として全国から注目されました。一方、1967年製の旧型車両「デ7070形」も現役で走っており、レトロな車体と最新型が同じ路線で共存する光景は、鉄道ファンにとってたまらない魅力です。
万葉線の料金・乗り方・路線情報
万葉線は均一運賃制ではなく、乗車距離に応じた区間運賃制を採用しています。大人運賃は片道200円〜400円で、高岡駅から終点の越ノ潟まで乗車した場合は400円です。小児は半額となります。支払いは現金のほか、交通系ICカード(PASMO・Suicaなど全国相互利用カード)にも対応しています。
乗り方は一般的な路面電車と同じで、後方のドアから乗車し、前方のドアから降車する後乗り前降り方式です。乗車時に整理券を取り、降車時に運賃箱に運賃を投入します。ICカードの場合は乗車時・降車時にそれぞれリーダーにタッチします。1日乗車券(大人900円)も販売されており、沿線を自由に乗り降りして観光するなら大変お得です。1日乗車券は車内や高岡駅の観光案内所で購入できます。
運行ダイヤは日中約15分間隔で、朝夕のラッシュ時にはさらに本数が増えます。始発は6時台、最終は22時台で、観光にも日常利用にも使いやすいダイヤ設定です。高岡駅から越ノ潟までの所要時間は約43分。途中下車しながらの観光なら、半日から1日かけてゆっくり楽しむのがおすすめです。
路線図は万葉線の公式サイトで確認できるほか、高岡駅の観光案内所や車内でも路線図入りのパンフレットが配布されています。主要停留場としては、高岡駅、坂下町(高岡大仏方面)、広小路、志貴野中学校前、米島口(車両基地)、新町口、中新湊、海王丸、越ノ潟などがあります。
高岡駅へのアクセスは、北陸新幹線の新高岡駅からJR城端線で約3分、あいの風とやま鉄道で富山駅から約20分です。富山の路面電車とあわせて、富山県の路面電車めぐりを楽しむのもよいでしょう。
万葉線の周辺の見どころ
万葉線の沿線および周辺には、魅力的な観光スポットが数多くあります。高岡市内では、高岡古城公園が四季折々の自然が美しい市民の憩いの場として知られています。前田利長が築いた高岡城の跡地を整備した公園で、お堀をめぐる遊覧船や動物園もあり、散策に最適です。
高岡は400年の歴史を持つ鋳物の町でもあります。高岡銅器は国の伝統的工芸品に指定されており、高岡大仏もこの鋳物技術によって造られました。金屋町の格子造りの家並みを歩けば、脈々と受け継がれてきた職人の技と町の歴史を肌で感じることができます。
万葉線の終点・越ノ潟がある射水市では、放生津八幡宮の祭りが毎年10月に行われ、勇壮な曳山行事は富山県を代表する秋祭りのひとつです。新湊の内川沿いには漁師町の情緒あふれる風景が広がり、「日本のベニス」とも称されています。
万葉線を起点に足を延ばせば、氷見の寒ブリや雨晴海岸の絶景、世界遺産の五箇山合掌造り集落など、富山を代表する観光地へもアクセスできます。高岡・氷見・五箇山の日帰り観光モデルコースも参考に、万葉線の旅と組み合わせて高岡・射水エリアを存分にお楽しみください。
写真クレジット:
万葉線の電車が走る高岡駅 — くろふね(Wikimedia Commons / CC BY 4.0)








