能登半島には「キリコ祭り」と呼ばれる独特の祭りが200以上あります。キリコ(切子)とは奉燈(ほうとう)とも呼ばれる大型の角灯籠で、高さ10〜15mにも達するものもあり、夜になると内側から光を放ち、荒々しい掛け声とともに担ぎ手が練り歩く光景は圧巻です。2026年もキリコの炎が能登の夏夜を彩ります。

能登キリコ祭りとは|世界農業遺産の里が誇る夏の火祭り

キリコ祭りは能登半島の各地で開催される奉燈を担いで神社に奉納する祭りの総称です。起源は江戸時代とも平安時代とも言われ、各集落の氏神に五穀豊穣・大漁・無病息災を祈願する伝統行事です。「能登のキリコ祭り」は1997年に国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(選択無形民俗文化財)に選ばれ、2015年には「灯り舞う半島 能登 〜熱狂のキリコ祭り〜」として日本遺産に認定されており、能登半島の里山里海文化を象徴する祭りとして国内外から注目されています。

キリコの特徴は、竹や木で骨組みを作り、和紙や布を張って彩色した巨大な角灯籠。表面には武者絵や神話の場面が描かれ、祭りの夜は蝋燭や電球の灯りで内側から輝きます。担ぎ手は「ヤーサカサッサ」「ドウヤサ」など独特のかけ声で気勢を上げ、地域によっては海や火の中に入る勇壮な演出もあります。

地家キリコ祭り(珠洲市)の夜の巨大キリコ行列
珠洲市・地家キリコ祭りの勇壮な夜の行列(Photo: Narumi.SBT / CC BY-SA 4.0)

能登キリコ祭り2026|主要祭り日程カレンダー

以下は2026年に開催予定の主要なキリコ祭り日程です。一部の祭りは旧暦や毎年変動するため、参加前に各市町の観光協会公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。

祭り名開催地2026年予定日特徴
飯田燈籠山祭り珠洲市飯田町7月20日・21日高さ約16mの「燈籠山」が登場する春日神社の祭礼。珠洲市最大の祭り
あばれ祭り能登町宇出津7月第1金・土曜(7/3〜4頃)キリコを海や火の中に投じる勇壮な「あばれ」が名物。石川県指定無形民俗文化財
石崎奉燈祭七尾市石崎町8月第1土曜(2026年は8月1日)能登最大級・高さ約13mの大奉燈6基が競い合う迫力の祭り
宝立七夕キリコまつり珠洲市宝立町・見付海岸8月第1土曜(2026年は8月1日)キリコを海に入れる幻想的な「海中乱舞」が見どころ
地家キリコ祭り珠洲市宝立町地家9月中旬頃集落一体となった小規模ながら熱気溢れる祭り
輪島大祭輪島市(4地区の各神社)8月22〜25日(神社ごとに1日ずつ)重蔵神社・住吉神社など輪島市内4社の大祭。大型キリコが夜の輪島を照らす
お熊甲祭七尾市中島町9月20日枠旗(高さ20m超の竹竿)が乱舞する奇祭。国指定重要無形民俗文化財

あばれ祭り|火と海が舞台の能登最狂の祭り

能登町宇出津で毎年7月第1金・土曜に行われるあばれ祭りは、キリコ祭りの中でも特に激しい祭りとして知られています。深夜、大松明が燃え盛る中、担ぎ手たちがキリコを文字通り「あばれさせ」、海岸や海の中にキリコを投入する場面は他に類を見ない光景です。

祭りは2日間にわたり、1日目の深夜2時頃が最大の盛り上がり。熱気と火の粉が舞う中で「ヨーイヤサ」のかけ声が響き渡り、見物客も思わず引き込まれる迫力があります。正式名称は「宇出津のキリコ祭り」で、1989年に石川県の無形民俗文化財に指定されており、能登キリコ祭りの代表格として人気があります。

  • 開催地:石川県能登町宇出津・宇出津八坂神社周辺
  • 2026年日程:7月3日(金)〜4日(土)予定(毎年7月第1金・土曜)
  • アクセス:のと里山空港から車で約30分。金沢から能越自動車道経由で約2時間
  • 駐車場:臨時駐車場あり(事前に能登町観光協会サイトで確認要)

石崎奉燈祭|能登最大級の大奉燈6基が激突

七尾市石崎町で毎年8月第1土曜に開催される石崎奉燈祭は、石崎八幡神社の祭礼で、高さ約13m・幅約3m・重さ約2tの大奉燈が練り歩く能登最大規模の祭りのひとつです。奉燈は7地区にありますが、本祭で担ぎ出される大奉燈は6基です(西3区は本祭では小奉燈で参加)。各町内が趣向を凝らしたキリコは圧倒的な存在感があり、夜に浮かび上がる武者絵の美しさは格別です。

クライマックスは深夜に訪れます。奉燈が石崎漁港前に集結し、担ぎ手たちが激しくぶつかり合う「奉燈合わせ」は見応え十分。金沢から七尾経由でアクセスしやすく、北陸新幹線利用者にも人気の祭りです。詳細は石崎奉燈祭の詳細記事をご覧ください。

  • 開催地:七尾市石崎町・石崎八幡神社周辺(神輿のお涼み場所である「堂前広場」に奉燈が勢ぞろいします)
  • 2026年日程:8月1日(土)(毎年8月第1土曜。前日の金曜に前夜祭)
  • アクセス:JR七尾線「和倉温泉駅」からタクシーで約10分、またはバス利用
  • 駐車場:会場周辺に臨時駐車場あり。和倉温泉からの送迎シャトルバスも運行予定
地家キリコ祭り(珠洲市)の巨大キリコと装飾
珠洲市・地家キリコ祭りの巨大キリコに施された精緻な武者絵装飾(Photo: Narumi.SBT / CC BY-SA 4.0)

宝立七夕キリコまつり|海中に輝くキリコの幻想的な光景

珠洲市宝立町の見付海岸で毎年8月第1土曜(2019年に旧暦7月7日から変更。2026年は8月1日)に開催される宝立七夕キリコまつりは、海岸まで運ばれたキリコが波打ち際で乱舞し、海中に入る幻想的な演出が特徴です。漁火に照らされる夜の海と輝くキリコのコントラストは、写真愛好家にも人気の絶景シーンです。詳細は宝立七夕キリコまつりの詳細記事もご参照ください。

飯田燈籠山祭り|日本一高いキリコが珠洲の夜空に聳える

珠洲市飯田町の春日神社祭礼として毎年7月20日・21日に開催される飯田燈籠山祭りは、高さ約16mという日本最大級の「燈籠山」が夜の市街地を練り歩く圧巻の祭りです。電線を避けながら進む姿は迫力満点で、珠洲市内随一の観客動員を誇ります。なお七尾市山王町の大地主神社で7月に行われるのは「七尾祇園祭」(7月第2土曜)で、こちらは高さ3〜6間の奉燈11本が担ぎ出される別の祭りです。

キリコ祭り観覧のポイント|見どころ・楽しみ方

キリコ祭りをより深く楽しむためのポイントをご紹介します。

  • 昼間と夜で異なる表情:キリコは昼間でも迫力がありますが、やはり本領発揮は夜。内側から灯りが灯り、武者絵が浮かび上がる光景が最も美しい
  • クライマックスは深夜:多くの祭りで最も盛り上がるのは深夜0時以降。時間に余裕を持って行動し、宿泊を確保した上での参加を強く推奨
  • 屋台・露店:祭り会場周辺には多数の露店が並び、能登のグルメも楽しめる
  • 服装:夏の夜は蒸し暑いが、海風が吹くと冷える場合も。羽織れる薄手の上着が便利。担ぎ手が通る際に揺れで水がかかることもあるため、濡れてもよい服装が安心
  • 交通規制:祭り当日は広範囲で交通規制が実施される。公共交通機関か臨時駐車場を利用すること

能登キリコ祭りへのアクセス

能登半島へのアクセスは以下の方法が一般的です。

  • 車:金沢駅から能越自動車道を利用。七尾市まで約1時間、能登町まで約1時間40分、珠洲市まで約2時間30分が目安
  • 鉄道+バス:JR七尾線「和倉温泉駅」まで乗車後、能登半島内は北鉄奥能登バスや能登半島縦断バス「のりあいタクシー」を活用
  • 飛行機:のと里山空港(穴水町)が最寄り空港。羽田・大阪便あり(季節運航)
  • 祭り当日の特別バス:主要な祭りでは金沢や和倉温泉からの臨時シャトルバスが運行される場合あり。各市観光協会サイトを確認

キリコ祭りと能登観光を組み合わせた周遊プラン

キリコ祭りへの参加に合わせて、能登半島の観光スポットも一緒に巡りましょう。能登の祭り(キリコ祭り総覧)では全祭りの詳細を解説しています。また北陸の祭りカレンダー2026で他の北陸祭りと合わせて旅程を計画するのもおすすめです。

  • 祭り前日:輪島朝市・白米千枚田・能登食祭市場を観光。和倉温泉に宿泊して翌日の祭りに備える
  • 祭り翌日:珠洲エリアなら見附島・禄剛崎灯台を散策、七尾エリアなら能登島水族館や氷見海岸と組み合わせる
  • 輪島キリコ会館:祭りシーズン以外でもキリコの実物を展示してきた施設ですが、令和6年能登半島地震の影響で当面の間、臨時休館しています(2026年9月時点。再開時期は公表されていません)。輪島キリコ会館の詳細もご覧ください

能登キリコ祭りのよくある質問

能登キリコ祭りはいつ開催されますか?2026年の日程は?
能登キリコ祭りは能登半島各地で夏〜秋にかけて行われます。主要祭りの目安は、あばれ祭(能登町宇出津・毎年7月第1金・土曜/2026年は7月3・4日)、石崎奉燈祭(七尾市石崎町・毎年8月第1土曜/2026年は8月1日)、宝立七夕キリコまつり(珠洲市宝立町・毎年8月第1土曜/2026年は8月1日)、輪島大祭(輪島市・毎年8月22〜25日に4地区の神社で1日ずつ)、飯田燈籠山祭り(珠洲市飯田町・毎年7月20日・21日)などです。開催有無・交通規制は年によって変わるため、各市町の観光協会や公式案内で直前確認してください。
能登キリコとはどんな祭りですか?
能登キリコ祭りは、能登半島の各神社の祭礼に登場する大型奉燈「キリコ」を担いで練り歩く祭りの総称です。キリコは高さ数メートル〜最大15m級に及ぶ巨大な切子灯籠で、夜になると内側から光を放ちながら漁港や町を巡ります。あばれ祭(正式名称「宇出津のキリコ祭り」)は石川県指定の無形民俗文化財で、キリコ祭りのうち国の重要無形民俗文化財に指定されているのはお熊甲祭の「熊甲二十日祭の枠旗行事」です。「灯り舞う半島 能登 〜熱狂のキリコ祭り〜」は2015年度に日本遺産に認定されています(ユネスコ無形文化遺産の「山・鉾・屋台行事」とは別枠です)。
能登キリコ祭りへのアクセス・交通手段は?
金沢または和倉温泉を拠点にするのが基本です。金沢からはのと里山海道(無料)を利用した車・レンタカーが最も便利で、会場までおおむね1〜2時間。公共交通はのと鉄道(七尾〜穴水)と路線バスの組み合わせになりますが本数が少ないため事前確認が必要です。主要な祭りでは金沢や和倉温泉からの臨時シャトルが運行される場合があるので、各市観光協会の案内を確認してください。
祭り以外の時期にキリコを見ることはできますか?
キリコの実物を通年展示してきた輪島キリコ会館は、令和6年能登半島地震の影響で当面の間、臨時休館しています(2026年9月時点。再開時期は公表されていません)。再開の予定は同館の公式サイト、または電話(0768-22-7100)でご確認ください。祭り以外の時期に実物を見たい場合は、七尾市の和倉温泉お祭り会館が石崎奉燈祭の奉燈・青柏祭のでか山・お熊甲祭の枠旗を展示しています(9:00〜17:00・入館は16:30まで、毎月第2・第4水曜と年末年始は休館、入館料は一般800円・小中学生400円)。

写真クレジット:
珠洲市・地家キリコ祭りの夜の行列 — Narumi.SBT(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
珠洲市・地家キリコ祭りのキリコ装飾 — Narumi.SBT(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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わっか北陸編集部
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