能登の祭り(キリコ祭り総覧) — あばれ祭り・燈籠山祭り・お熊甲祭りなど年間200超の祭り文化
能登半島では毎年7月から10月にかけて、200を超える祭りが各地で繰り広げられます。その多くで担ぎ出されるのが「キリコ」と呼ばれる巨大な切子灯籠です。高さ10メートルを超えるものもあるキリコが夜の街を練り歩く光景は、能登でしか見られない圧巻の祭り文化。2015年には「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」として日本遺産にも認定されました。能登の各集落に息づく祭りの魅力を、主要な祭りとともにご紹介します。
目次
能登キリコ祭りの歴史と特徴

キリコ(切子灯籠)とは、神輿の先導役として担がれる巨大な御神灯のことです。能登では古くから、祭りの夜に大きな灯籠を担いで町内を練り歩く風習がありました。キリコの起源は室町時代まで遡るともいわれ、能登各地の神社の祭礼とともに発展してきました。キリコの最大の特徴は、その圧倒的な大きさと華やかな装飾です。高さは小さなもので2〜3メートル、大きなものは15メートルを超え、武者絵や花鳥風月の彫刻、箔押しの装飾が施された荘厳な姿は、まさに動く芸術品。夜になると内側からろうそくやLEDの灯りが灯され、闇夜に浮かぶ幻想的な光景が能登の夏の風物詩となっています。能登半島全域で年間200以上の祭りでキリコが登場し、その数は日本全国でも類を見ない規模です。
能登のキリコ祭り — あばれ祭り・燈籠山祭り

能登のキリコ祭りシーズンの幕開けを飾るのが、毎年7月第1金曜・土曜に能登町宇出津で行われる「あばれ祭り」です。この祭りでは、高さ約7メートルのキリコ約40本が町内を練り歩いた後、八坂神社の神輿を川に投げ込み、火の中にくべ、叩きつけるという激しい神事が行われます。「壊すほど神様が喜ぶ」という独特の信仰が根付いた、能登を代表する勇壮な祭りです。一方、7月第1金曜から日曜にかけて珠洲市飯田町で催される「燈籠山祭り」は、高さ約16メートルの山車「燈籠山(とろやま)」が町を巡行する祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されています。山車の頂上に人形が飾られ、夜にはキリコとともに幻想的な行列が続きます。どちらも能登の夏の始まりを告げる熱狂の祭りです。
能登のキリコ祭り — お熊甲祭り・蛸島キリコ・石崎奉燈祭
9月20日に七尾市中島町で行われる「お熊甲祭り(くまかぶとまつり)」は、熊甲神社の秋季祭礼で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。高さ約20メートルもの枠旗(わくばた)と呼ばれる巨大な幟を担ぎ手たちが地面に倒す「島田くずし」の技が見どころで、その迫力は能登の祭りの中でも随一です。珠洲市蛸島町の「蛸島キリコ祭り」は9月に行われ、漁師町ならではの威勢の良い掛け声とともに、キリコが海岸沿いを練り歩きます。また、七尾市石崎町の「石崎奉燈祭」は8月第1土曜に開催され、高さ約15メートル・重さ約2トンの巨大な奉燈を約100人の男たちが担ぐ姿は、能登最大級のスケールを誇ります。輪島キリコ会館では、これらの祭りで実際に使われたキリコが展示されており、祭りの時期に訪れられない方にもおすすめです。
能登のキリコ祭りと日本遺産・世界農業遺産
2015年、能登のキリコ祭りは「灯り舞う半島 能登〜熱狂のキリコ祭り〜」として日本遺産に認定されました。この認定は、キリコ祭りが単なる観光イベントではなく、能登の風土・歴史・信仰と深く結びついた生きた文化遺産であることを示しています。能登半島は2011年に世界農業遺産「能登の里山里海」にも認定されており、棚田や塩田の伝統とともに、祭り文化がこの地の暮らしを支えてきました。キリコ祭りは、各集落の住民が一年をかけて準備し、世代を超えて継承してきた共同体の絆そのものです。能登半島地震からの復興の中でも、祭りの再開は地域の人々にとって大きな希望となっています。能登を訪れる際は、ぜひ祭りのスケジュールに合わせて計画を立てることをおすすめします。
能登のキリコ祭りを楽しむための周辺スポット
キリコ祭りの観覧とあわせて訪れたい能登の見どころは数多くあります。七尾市の和倉温泉は、祭り見物の後に疲れを癒す名湯として最適です。能登食祭市場では能登の海鮮グルメと祭り文化の展示を楽しめます。のと鉄道に乗って七尾湾の絶景を眺めながら能登の各町へ移動するのも旅の楽しみです。奥能登エリアでは、輪島朝市で朝の買い物を楽しみ、白米千枚田の棚田風景を堪能するのがおすすめのコースです。祭りの時期は宿泊施設が混み合うため、早めの予約が必須となります。
能登キリコ祭りへのアクセス・開催スケジュール
能登のキリコ祭りは7月〜10月に能登半島各地で開催されます。主な祭りのスケジュールは、7月にあばれ祭り(能登町)・燈籠山祭り(珠洲市)、8月に石崎奉燈祭(七尾市)・沖波大漁祭り(穴水町)・西海祭り(志賀町)、9月にお熊甲祭り(七尾市中島町)・蛸島キリコ祭り(珠洲市)です。アクセスは、金沢駅から七尾方面へはJR七尾線またはのと鉄道で約1時間30分〜2時間。奥能登方面へは金沢駅から特急バスで約2時間30分〜3時間です。車の場合はのと里山海道を利用し、七尾まで約1時間30分、輪島まで約2時間が目安です。祭り当日は交通規制が敷かれることが多いため、事前に各市町の観光協会ホームページで情報を確認しておきましょう。
写真クレジット:
能登キリコ祭りの巨大灯籠 — Daniel Ramirez(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
能登キリコ祭りの行列 — Daniel Ramirez(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)
能登の祭り文化 — Noto Yosakoi(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)








