立山黒部アルペンルート — 雪の大谷・室堂平・みくりが池・称名滝を巡る天空の山岳ルート

立山黒部アルペンルートとは — 標高3,000m級の天空の山岳観光ルート

立山黒部アルペンルートは、富山県立山町の立山駅から長野県大町市の扇沢駅までを結ぶ、全長約37.2kmの世界有数の山岳観光ルートです。標高3,000m級の北アルプス・立山連峰を横断するこのルートは、ケーブルカー・高原バス・トロリーバス・ロープウェイなど6つの乗り物を乗り継いで進む、まさに天空の旅。毎年4月中旬から11月末までの期間限定で開通し、国内外から約100万人の観光客が訪れます。最高地点は室堂の標高2,450mで、3,000m級の山々を間近に仰ぎ見る大パノラマは圧巻です。春の雪の大谷ウォーク、夏の高山植物、秋の紅葉と、四季折々の絶景が楽しめる立山黒部アルペンルートは、富山が世界に誇る自然遺産のひとつです。

立山黒部アルペンルートの雪の大谷と室堂平

立山・みくりが池に映る立山連峰の絶景
みくりが池に映る立山連峰 — 「立山の瞳」と呼ばれる神秘の火山湖(Photo: Tx-re / CC BY-SA 3.0)

立山黒部アルペンルート最大のハイライトは、春の開通直後に見られる「雪の大谷」です。室堂ターミナル付近の道路を除雪して作られる雪の回廊は、最大で高さ20mに達することもあり、その迫力は圧倒的。例年4月中旬から6月中旬にかけて「雪の大谷ウォーク」が開催され、500mほどの区間を歩いて巨大な雪壁を間近に体感できます。世界でもここでしか味わえないこの光景は、立山黒部アルペンルートを代表する春の風物詩として、毎年多くの観光客で賑わいます。

室堂平は標高2,450mに広がる高原で、立山黒部アルペンルートの中心地です。日本最高所の天然温泉「みくりが池温泉」があるほか、室堂平一帯では夏になると高山植物の花畑が広がり、チングルマやハクサンイチゲなどの可憐な花々が咲き誇ります。また、国の特別天然記念物に指定されている雷鳥(ライチョウ)の生息地としても知られ、運が良ければ散策中に雷鳥と出会えることも。室堂平から立山三山(雄山・大汝山・富士ノ折立)への登山も人気で、雄山山頂(3,003m)の雄山神社を目指す日帰り登山は夏の定番です。

立山黒部アルペンルートのみくりが池と黒部ダム

室堂平で必ず訪れたいのが「みくりが池」です。周囲約630m、水深約15mの火山湖で、立山連峰を水面に映す神秘的な美しさから「立山の瞳」とも呼ばれています。風のない日には立山が鏡のように湖面に映り込み、息をのむほどの絶景が広がります。みくりが池を巡る散策路は約1時間で一周でき、途中には地獄谷の噴煙が立ち上る景観や、エンマ台展望台からの大パノラマも楽しめます。

立山黒部アルペンルートのもうひとつの目玉は、日本最大級のアーチ式ダム「黒部ダム」です。高さ186m、堤頂長492mのスケールは日本一を誇り、毎秒10トン以上の水が放たれる観光放水(6月下旬~10月中旬)は大迫力。ダム展望台からは黒部湖のエメラルドグリーンの水面と立山連峰の絶景が一望できます。黒部ダムの建設は世紀の大事業と呼ばれ、7年の歳月と延べ1,000万人の労力が注がれました。その壮大なドラマは映画「黒部の太陽」でも描かれ、今なお多くの人々を魅了しています。

立山黒部アルペンルートの歴史と称名滝

日本一の落差350mを誇る称名滝の全景
称名滝 — 落差350m、日本一の大瀑布(Photo: Saigen Jiro / CC0)

立山は古くから日本三霊山のひとつ(立山・富士山・白山)として信仰を集めてきました。奈良時代の開山伝説によれば、越中国司の子・佐伯有頼が白鷹に導かれて立山を開いたとされ、室堂には日本最古の山小屋「室堂小屋」(国の重要文化財)が残されています。江戸時代には「立山曼荼羅」を使った勧進が全国に広まり、立山は地獄と浄土が共存する聖なる山として多くの参詣者を集めました。立山黒部アルペンルートは1971年(昭和46年)に全線開通し、かつて修験者だけが踏み入れた霊峰が、一般の観光客にも開かれるようになりました。

立山黒部アルペンルートの玄関口・立山町には、日本一の落差を誇る「称名滝」があります。落差350mは日本最大で、4段に分かれた滝が轟音とともに流れ落ちる姿は壮観そのもの。春の雪解け時期には、隣に落差500mの「ハンノキ滝」が幻の滝として出現し、二筋の滝が並ぶ光景はまさに圧巻です。称名滝は国の名勝・天然記念物に指定されており、滝見台からの眺望は立山黒部アルペンルートを訪れるなら見逃せません。称名滝の遊歩道は立山駅からバスで約15分、駐車場から徒歩約30分で到達できます。

立山黒部アルペンルートへのアクセス・料金・おすすめ時期

立山黒部アルペンルートの富山側の起点・立山駅へは、富山地方鉄道で電鉄富山駅から約60分。車の場合は北陸自動車道・立山ICから約35分で立山駅の駐車場(無料・約900台)に到着します。長野側の起点・扇沢駅へは、JR大糸線の信濃大町駅からバスで約40分です。立山駅から扇沢駅までの通り抜け運賃は大人片道約10,790円、往復割引もあります。WEBきっぷの事前予約が可能で、混雑期は予約がおすすめです。

おすすめの時期は、雪の大谷を楽しむなら4月中旬~5月(高さがピーク)、高山植物と雷鳥なら7月~8月、紅葉は9月下旬~10月中旬がベストシーズン。所要時間は片道約5~6時間が目安で、立山駅から出発する場合は朝早くの出発がおすすめです。防寒着は夏でも必須で、室堂は真夏でも気温が10℃前後になることがあります。立山黒部アルペンルートは自然保護のためマイカー規制が実施されており、ルート内は公共交通機関のみで移動します。

立山黒部アルペンルート周辺の見どころ

立山黒部アルペンルートを訪れたら、周辺の富山観光スポットもあわせて楽しみましょう。黒部峡谷トロッコ電車は、日本一深いV字峡谷を走る絶景鉄道で、宇奈月温泉から欅平まで約1時間20分の渓谷美を満喫できます。砺波の散居村は、富山平野に広がるカイニョ(屋敷林)に囲まれた日本の原風景。展望台から望む散居村の夕景は格別です。高岡の国宝瑞龍寺は、加賀藩二代藩主・前田利長の菩提寺で、禅宗建築の最高傑作と称される国宝の山門・仏殿・法堂が見事です。また、白山手取川ジオパークは、標高差2,700mの壮大な大地の物語を体感できるユネスコ世界ジオパークとして注目を集めています。


写真クレジット:
立山・みくりが池と立山連峰 — Tx-re(Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0)
称名滝の全景 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC0)
室堂平と立山連峰 — Saigen Jiro(Wikimedia Commons / CC0)

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