富山県美術館(TAD)— アートとデザインの拠点・オノマトペの屋上と環水公園の絶景

富山駅から路面電車でわずか数分、富岩運河環水公園のほとりに佇む富山県美術館(TAD:Toyama Prefectural Museum of Art and Design)は、「アートとデザインをつなぐ」をコンセプトに2017年に開館した美術館です。ピカソやミロ、シャガールなど世界的な近現代アートのコレクションに加え、ポスターや椅子といったデザイン作品も多数所蔵。屋上には子どもから大人まで楽しめる体験型アート空間「オノマトペの屋上」が広がり、富山の立山連峰を一望できる展望スポットとしても人気です。アート好きはもちろん、家族連れや観光客にも支持される富山県を代表する文化施設の魅力を詳しくご紹介します。

富山県美術館(TAD)とは — アートとデザインの融合拠点

富山県美術館(TAD)は、1981年に開館した旧・富山県立近代美術館を前身とする美術館です。老朽化に伴い、富岩運河環水公園の西側に新築移転し、2017年8月26日にグランドオープンしました。設計は内藤廣氏が手がけ、アルミとガラスを多用した現代的な外観が、環水公園の水辺の景観と見事に調和しています。

TADの最大の特徴は、「アート」と「デザイン」の両方を扱う全国でも珍しいコンセプトにあります。絵画や彫刻といったファインアートだけでなく、ポスター・椅子・プロダクトデザインなど生活に根差したデザイン作品を積極的に収集・展示しています。所蔵作品数は約1万5000点を超え、20世紀以降の近現代美術を中心に、パブロ・ピカソ、ジョアン・ミロ、マルク・シャガール、アンリ・マティス、アンディ・ウォーホルなど世界的巨匠の作品が揃います。

富山県美術館TADの外観と環水公園
富山県美術館TADの外観と環水公園(Photo: 掬茶 / CC BY-SA 4.0)

館内は3フロアで構成されています。1階にはカフェ「BiBiBi & JURULi」やミュージアムショップがあり、入場無料で利用できます。2階はコレクション展示室で、常設のコレクション展や企画展が開催されます。3階にはデザインを体験できる「TADギャラリー」やアトリエなどがあり、参加型のワークショップも定期的に行われています。また、建物内の随所には椅子のコレクションが展示されており、実際に座って体験できるのもTADならではの魅力です。

富山県美術館の見どころ — 世界的コレクションとオノマトペの屋上

近現代アートの名作コレクション

TADのコレクション展では、20世紀美術を中心とした国内有数の作品群を鑑賞できます。とりわけシュルレアリスムや抽象表現主義の作品が充実しており、ミロの彫刻作品やシャガールの油彩画は見応えがあります。日本人作家では、瀧口修造のデカルコマニー作品群が特筆すべきコレクションです。富山県出身の詩人・美術評論家である瀧口の作品を核として、日本の前衛美術の歴史を辿ることができます。展示替えは年に数回行われるため、訪れるたびに新しい発見があるのも魅力です。

デザインコレクション — ポスターと椅子の宝庫

TADがユニークなのは、デザイン分野のコレクションが非常に充実している点です。世界各国のグラフィックデザイナーによるポスターコレクションは約2万点以上にのぼり、亀倉雄策や福田繁雄、横尾忠則、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンなど巨匠の名作が揃います。また3階のデザインコーナーには、名作椅子のコレクションが展示されており、イームズやヤコブセン、柳宗理らの椅子に実際に座って座り心地を体感できます。美術館でありながら「見る」だけでなく「触れる・座る」という体験ができるのは、TADならではの楽しみ方です。

オノマトペの屋上 — 立山連峰を望む体験型アート空間

富山県美術館で最も人気のあるスポットが、屋上に広がる「オノマトペの屋上」です。グラフィックデザイナーの佐藤卓氏がディレクションを手がけたこの屋上庭園は、「ふわふわ」「ぐるぐる」「つるつる」「ひそひそ」など、日本語のオノマトペ(擬音語・擬態語)をテーマにした8つの遊具が設置されています。子どもたちが自由に遊べる遊具でありながら、それぞれがアート作品としてデザインされた空間は、大人も思わず童心に返って楽しめます。

オノマトペの屋上からは、晴れた日には富山市街地越しに雄大な立山連峰のパノラマが一望できます。特に冬から春にかけて雪を頂いた山々の姿は圧巻で、絶好の撮影スポットとしても知られています。屋上は入場無料・展覧会チケット不要で利用でき、開放期間は3月中旬から11月下旬頃まで(冬期は閉鎖)。天候や気温によって閉鎖される場合もあるため、訪問前に公式サイトで確認するのがおすすめです。

環水公園とのロケーション

富山県美術館は富岩運河環水公園に隣接しており、美術鑑賞と公園散策を合わせて楽しめるのも大きな魅力です。環水公園は「世界一美しいスターバックス」と称される水辺のスタバや、天門橋の展望塔、運河沿いの遊歩道など、富山市民の憩いの場として親しまれています。TADの1階からは環水公園や富岩運河を一望でき、カフェでコーヒーを飲みながら水辺の風景を楽しむこともできます。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉と、四季折々の景色が美術館体験をさらに豊かにしてくれます。

富山県美術館の料金・所要時間・開館情報

富山県美術館の利用にあたって知っておきたい基本情報をまとめます。

観覧料(コレクション展)
一般:300円
大学生:240円
高校生以下:無料
※企画展は展覧会ごとに異なります(概ね1,000〜1,500円程度)
※オノマトペの屋上・1階のカフェ・ミュージアムショップは無料で利用可能

開館時間
9:30〜18:00(入館は17:30まで)
※オノマトペの屋上は8:00〜(3月中旬〜11月下旬の開放期間中)

休館日
毎週水曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
※臨時休館あり。訪問前に公式サイトで確認してください。

所要時間の目安
コレクション展のみ:約1時間
企画展+コレクション展:約1.5〜2時間
オノマトペの屋上+環水公園散策を含む場合:約2.5〜3時間
1階のカフェやショップも充実しているため、余裕をもった計画がおすすめです。

ベストシーズン
オノマトペの屋上を楽しむなら、屋上が開放される3月中旬〜11月下旬がベストです。特に4〜5月の残雪の立山連峰を背景にした景色や、秋の澄んだ空気の中での眺望は格別です。企画展も年間を通じて充実しているため、展覧会スケジュールに合わせて訪れるのもよいでしょう。

富山県美術館へのアクセス・駐車場情報

電車・路面電車でのアクセス
富山駅北口から徒歩約15分。または富山の路面電車「セントラム」環状線で「富山県美術館前」電停下車すぐ。富山駅から路面電車を利用すれば約10分で到着します。また、富山駅北口から富岩水上ラインの運河クルーズ船(約15分)でアクセスすることもでき、環水公園の水辺を船から楽しみながら美術館に向かう贅沢なルートも人気です。

車でのアクセス・駐車場
北陸自動車道・富山ICから約15分。美術館には専用駐車場(約103台)が併設されており、利用料金は美術館利用者は2時間まで無料です。土日祝日や企画展開催時は混雑するため、近隣の環水公園駐車場(無料)も合わせて利用するとよいでしょう。

住所
〒930-0806 富山県富山市木場町3-20
公式サイト
https://tad-toyama.jp/

富山県美術館の周辺の見どころ

富山県美術館周辺には魅力的なスポットが数多くあり、アート鑑賞と組み合わせた観光プランがおすすめです。

TADから環水公園を散策し、富山の路面電車に乗って富山市中心部へ向かえば、隈研吾設計の富山市ガラス美術館も訪問できます。現代ガラスアートの常設展示「グラス・アート・ガーデン」は必見です。さらに路面電車「ポートラム」で北上すれば、北前船の廻船問屋が立ち並ぶ岩瀬の街並みの歴史散策も楽しめます。

富山市内の主要スポットを効率よく巡るなら、富山市内1日観光モデルコースを参考にしてみてください。路面電車を活用して富山城、ガラス美術館、岩瀬の港町をめぐるコースで、TADを組み込んだプランも可能です。足をのばせば、高岡・氷見・五箇山の日帰り観光コースで国宝瑞龍寺や世界遺産の合掌造り集落を訪れることもできます。富山県美術館を起点に、富山の多彩な魅力を存分に楽しんでください。

写真クレジット:
富山県美術館TADの外観と環水公園 — 掬茶(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)

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