永光寺 — 瑩山禅師が開いた曹洞宗の古刹と能登の禅の道場
石川県羽咋市にある永光寺(ようこうじ)は、鎌倉時代の正和元年(1312年)に曹洞宗の高僧・瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師によって開かれた古刹です。總持寺祖院とともに曹洞宗の発展に深く関わった寺院で、能登の禅文化を語るうえで欠かせない存在です。羽咋市の山間に静かにたたずむ永光寺は、坐禅体験もできる禅の道場として、現代の参拝者にも開かれています。
永光寺の歴史

永光寺の歴史は、瑩山禅師が能登の地に禅の教えを広めるために開いたことに始まります。瑩山禅師は道元禅師から数えて四代目にあたる曹洞宗の祖師で、日本における曹洞宗の大衆化と発展に大きく貢献しました。永光寺はその最初の拠点として、瑩山禅師が修行と布教の基盤を築いた場所です。
開山以来、永光寺は能登における曹洞宗の中心的な寺院として発展しました。その後、瑩山禅師は門前町に總持寺を開き、曹洞宗はさらに全国へと広がっていきます。永光寺には瑩山禅師の墓所(御廟)があり、總持寺の前身ともいえる重要な寺院として、曹洞宗の歴史において特別な位置を占めています。戦国時代には兵火による被害も受けましたが、その後復興され、現在に至るまで法灯を守り続けています。
永光寺の境内と見どころ
永光寺の境内は、羽咋市の山間の谷あいに広がり、うっそうとした杉林に囲まれた静寂な空間です。参道を進むと、山門、仏殿、法堂、僧堂などの伽藍が整然と配置されており、禅宗寺院の格式ある佇まいを今に伝えています。特に法堂は、能登の禅寺建築の代表例として見応えがあります。
境内奥にある瑩山禅師の御廟は、静謐な雰囲気に満ちた聖域です。また、山の中腹には五老峰と呼ばれる展望地があり、能登の山々を一望できます。春には桜、秋には紅葉が境内を彩り、四季折々の自然美と禅の精神が融合した空間を楽しめます。伽藍を囲む苔むした石段や古木の姿にも、長い歴史を感じさせる趣があります。
永光寺と瑩山禅師
瑩山紹瑾禅師(1264-1325)は、曹洞宗を民衆レベルに広めた功労者として「曹洞宗の中興の祖」と称されます。道元禅師が説いた厳格な只管打坐(しかんたざ)の教えを基盤としつつも、在家信者にも門戸を開き、祈祷や葬祭を積極的に取り入れることで、曹洞宗を庶民の間に浸透させました。
永光寺は、瑩山禅師がこうした改革的な布教活動を展開した最初の寺院です。禅師はここで弟子の育成に努め、やがて峨山韶碩(がさんじょうせき)をはじめとする優れた後継者を輩出しました。峨山禅師の系統から多くの末寺が全国に広がり、曹洞宗は日本最大の禅宗教団へと発展していきます。永光寺に伝わる瑩山禅師ゆかりの文書や法具は、この偉大な禅僧の足跡を今に伝える貴重な資料です。
永光寺の坐禅体験
永光寺では、一般の方を対象とした坐禅体験を受け入れています。瑩山禅師が修行した寺院で坐禅を組むことは、能登の歴史と禅文化に触れる貴重な体験です。静まり返った禅堂で足を組み、呼吸に意識を集中させるひとときは、日常の喧騒を離れた深い安らぎをもたらしてくれます。
坐禅体験は事前予約が基本で、寺院に直接問い合わせて日程を調整します。坐禅のほか、写経体験ができる場合もあります。初心者でも丁寧に指導してもらえるので、禅の修行が初めての方でも安心して参加できます。能登の自然に囲まれた環境で行う坐禅は格別で、心身のリフレッシュにもつながります。気多大社への参拝と合わせて、能登のスピリチュアルな旅を楽しむのもおすすめです。
永光寺へのアクセス

永光寺へは、のと里山海道の千里浜ICまたは柳田ICから車で約20分です。金沢市内からはのと里山海道を利用して約1時間。羽咋市中心部からは車で約15分の距離にあります。山間部に位置するため、公共交通機関でのアクセスは限られており、車またはタクシーの利用が便利です。
境内には駐車場が整備されています。参拝は自由ですが、堂内の拝観や坐禅体験を希望する場合は事前連絡が必要です。周辺にはコスモアイル羽咋や中能登町の見どころもあるため、あわせて訪れるのがおすすめです。静かな山寺の雰囲気を満喫するなら、午前中の早い時間帯の訪問が理想的です。
写真クレジット:
洞谷山永光寺の境内 — Pale Blue(Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0)
永光寺周辺に広がる能登の自然 — 雷太(Wikimedia Commons / CC BY 2.0)








